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妖怪百物語  作者: keikato
1276/1294

1276 産怪

 産怪は森田盛昌の『続咄随筆』に次のような話があります。

 元文元年8月23日。

 高山氏の妾は懐妊して11カ月になり、いよいよ腹痛があって、出産の兆しが見えた。

 ところが妾は産婆が来る前に、なぜかこつ然と姿を消した。

 皆で手分けして捜したところ、妾は土蔵の2階で器物に埋もれるように倒れていた。

 意識が戻った妾は、「男の子をぶじ産んだのに、どこからともなく『この子はもらっていく』と声がして、そのあとのことは覚えていません」と言った。

 このとき、妾は妊婦の体ではなく、また出産した形跡もなく、産気が胎児ごと消えたようだった。

 しかもこの妾は、こうしたことがこれで3度目だったという。

 この産怪。

 サンカイありました。


・サンカイ=産怪=三回

・元文元年=1736年

・森田盛昌(もりたもりまさ・1667~1732・加賀藩士)

・『続咄随筆』(ぞくはなしずいひつ・随筆)


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