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1273 窟女
窟女は江戸時代中期、菊岡沾涼著『諸国里人談』に次のような話があります。
寛文年間の頃。
伊勢国壱志郡を流れる川俣川の劒が淵には、およそ3メートル四方の洞窟があるのですが、その中で仰向けになっている女が発見されました。
歳の頃は30ばかり、長い髪の先が天井の岩にニカワで貼りついたようになっていて、体はなかば吊り下がっていました。
女を村に運んで帰り、水を飲ませ、薬を与えると正気になりました。
女は前後のことは何も覚えておらず、ただ自分は美濃の竜が鼻の村長の妻だと言いました。
藩庁に届け出ると、美濃から迎えの者が大勢やって来て、女を連れ帰ったといいます。
この窟女。
何ともドウクッタ出来事でした。
・ドウクッタ=洞窟=どうくった(ふざけた)
・寛文年間=1661~1673年
・菊岡沾涼(きくおかせんりょう・1680~1747・俳人、作家)
・『諸国里人談』(しょこくりじんだん・1743年刊・奇談・怪談)




