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1270 くらやみ坂の怪
くらやみ坂の怪は江戸時代後期、平秩東作の『怪談老の杖』に次のような話があります。
あるとき。
江戸はくらやみ坂にある武家屋敷内の土が、3間ほどの幅で下の崖に崩れ落ち、その跡から石棺が出てきました。
石棺の中には白骨などがあって、それは人を葬ったものらしく、そのまま埋め戻しました。
後日。
石棺が出た近くにある井戸のかたわらで、行水をしていた下女2人が気を失って倒れました。
2人の話では、蔵の陰から色白の男が現れたのだが、あとは覚えていないといいます。
さらに後日。
屋敷の庭で草をむしっていた主人の祖母が、やはり蔵の裏手で色白の男を見て気を失いました。
この色白の男。
見た者はクラっときたといいました。
・クラっと=くらっと=蔵っと
・3間=5・4メートル
・平秩東作(へづつとうさく・1726~1788・戯作者、狂歌師)
・『怪談老の杖』(かいだんろうのつえ・怪談)




