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1261 白昼の飛物
白昼の飛物は『梅翁随筆』に次のような話があります。
寛政11年10月14日。
大阪の天気は快晴で風もなく、まるで2、3月の小春日和のように穏やかだった。
その日、先が丸く固まった蜘蛛の糸のようなものが空を飛んだ。
それはふわふわと漂いながら飛び、地面に落ちそうになると、すうーと再び空に舞い上がり、淀川方面から天王寺方面へ向かって移動した。
いくつか地面に落ちたものがあったので、拾ってみると、まさしく蜘蛛の糸のようではあるがずいぶんと太い。
手のひらで揉んでみると跡形もなく消えた。
それは昼頃から始まって、昼過ぎには最盛期を迎えたが、八ツ時には見えなくなったという。
この白昼の飛物。
イトもたやすくに消えました。
・イトも=糸も=いとも(非常に)
・寛政11年=1799年
・八ツ時=午後1時から3時
・『梅翁随筆』(ばいおうずいひつ・作者不詳・江戸時代後期・奇談集)




