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1260 応声虫の女
応声虫の女は伴蒿蹊の『閑田次筆』に次のような話があります。
元文3年頃。
京都四条坊門油小路に住む見世物興行師が、「奥丹波の農夫の妻で、50歳ばかりの女が応声虫に罹患している」という噂を聞きつけ、自分の見世物小屋に出ないかと、交渉のためさっそく現地に行った。
たしかに女の腹から声がした。
女が何かしゃべるとオウム返しに腹の声が応じ、それが実にはっきり聞こえる。
夫の話によると、前年の11月、二人で六条詣でをしたときに茶屋で休んでいると、急に妻の腹の中から声がし始めた。
周囲の人々から色々と言われて腹が立ち、ただちに帰路についたという。
この応声虫の女。
いまだ腹の虫がおさまらないのでした。
・腹の虫がおさまらない=立腹してやまない
・伴蒿蹊(ばんこうけい・1733~1806・歌人・文筆家)
・『閑田次筆』(かんでんじひつ・1806年刊・随筆集)




