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妖怪百物語  作者: keikato
1260/1278

1260 応声虫の女

 応声虫おうせいちゅうの女は伴蒿蹊の『閑田次筆』に次のような話があります。

 元文3年頃。

 京都四条坊門油小路に住む見世物興行師が、「奥丹波の農夫の妻で、50歳ばかりの女が応声虫に罹患している」という噂を聞きつけ、自分の見世物小屋に出ないかと、交渉のためさっそく現地に行った。

 たしかに女の腹から声がした。

 女が何かしゃべるとオウム返しに腹の声が応じ、それが実にはっきり聞こえる。

 夫の話によると、前年の11月、二人で六条詣でをしたときに茶屋で休んでいると、急に妻の腹の中から声がし始めた。

 周囲の人々から色々と言われて腹が立ち、ただちに帰路についたという。

 この応声虫の女。

 いまだ腹の虫がおさまらないのでした。


・腹の虫がおさまらない=立腹してやまない

・伴蒿蹊(ばんこうけい・1733~1806・歌人・文筆家)

・『閑田次筆』(かんでんじひつ・1806年刊・随筆集)


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