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妖怪百物語  作者: keikato
1237/1314

1237 老僕の予言

 老僕の予言は根岸鎮衛の『耳袋』に次のような話があります。

 本郷に三河屋という質屋があった。

 ある日。

 この店で長年働く老僕が、「もうすぐ近所で火事がある」と言った。

 数日後、本当に近所の家から火が出た。

 店の者たちはあわてたが、老僕は「この店まで火は来ない」と教えた。

 その予言どおりだったので、火事に関わっているのではと、老僕は火付改めに逮捕されたが、すぐに解放された。

 また深夜、老僕の部屋でたまに話し声がするのを使用人たちが聞いていた。

 店の主人がそのことを問いただすと、「夜中に山伏が訪ねてきて、あちこちで起こる災難を聞かせてもらっていました」と、老僕は答えた。

「では、今回の火事も?」

「サイナンです」


・サイナン=そうなん=災難

・老僕=年とった下男

・根岸鎮衛(ねぎししずもり・1737~1815・旗本)

・『耳袋』(みみぶくろ・雑話集)


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