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妖怪百物語  作者: keikato
1236/1312

1236 家をのぞく者

 家をのぞく者は柳田國男の『遠野物語拾遺』に次のような話があります。

 附馬牛つきもうし村の某という家では、娘が死んでから毎夜、何者かが座敷に来るようになった。

 初めは影のようなものが障子に映り、そして座敷に寝ている者は全員がうなされた。

 ある夜。

 兄が妹の幽霊なら会って見たいと、物陰に忍んでいると、奥座敷の床の間の障子に、さっと何者かの影が映った。

 よく見ると、一匹の大きな狐が家の中の様子をうかがっていた。

 そっと近づき、藁打槌で狐の背を打つと、狐はコーンと鳴いて逃げ出し、裏山に入って見えなくなった。

 その後。

 幽霊は二度と現れず、兄にも何の祟りもなかったという。

 この家をのぞく者。

 妹の幽霊はコンのでした。


・コン=来ん=コーン(狐の鳴き声)

・柳田國男(やなぎだくにお・1875~1962・民俗学者、官僚)

・『遠野物語拾遺』(遠野郷に古くより伝えられる習俗や伝説、怪異譚)


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