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1238 怪異に逢し事
怪異に逢し事は松浦静山の『甲子夜話』に次のような話があります。
上様の側に仕え、雑用の職務をしていた飯室兵庫の体験談である。
その日。
飯室は宿直の当番にあたっていた。
江戸城の勤務部屋で寝ていた彼が夜中に目を覚ますと、なぜか天井板が目の前にあった。
驚いて左右を見ると、布団の先は何もない宙で、その先に欄間が見えた。
――俺は布団ごと、天井まで浮き上がっているのだろうか。
そう思って再び上を見ると、天井板は元の位置にあった。
宿直になった者はその部屋で寝る決まりで、ここで寝ると、天井まで浮き上がる怪異に遭うのだという。
これは狐狸の類の仕業であろう。
この怪異に逢し事。
宿直の当番はコリゴリしたのでした。
・コリゴリ=狐狸狐狸
・松浦静山(まつらせいざん・1760~1841・肥前平戸藩主)
・『甲子夜話』(かっしやわ・随筆)




