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妖怪百物語  作者: keikato
1225/1292

1225 鬼僧

 鬼僧は小倉敬典の『浪華奇談』に次のような話があります。

 天明年間。

 讃州高松の金松屋善兵衛が所用があって萬年町へ行った。

 その帰りの谷町農人橋にて、見るからにやつれて髪の伸びた僧が、破れ衣を着て向うへ歩いてるところに追いついた。

 僧は振り返ると善兵衛の背に抱きつき、「我を負うてくれ」と言った。

 その重いこと例えようがなかった。

 善兵衛はこれはかなわんと、「南無大師遍照金剛」と唱えた。

 すると僧は「こやつは四国のものだな。南無三宝」と言って、善兵衛の右の頬を三度叩いて、去っていった。

 その後。

 善兵衛はやっと大川町の宿へ帰り着いたが、長らく患って、ようやく回復したという。

「鬼僧に頬を叩かれたんです」

「ホオー」


・ホオー=ほお

・天明年間=1781年から1789年

南無大師遍照金剛なむだいしへんじょうこんごう

南無三宝なむさんぽう

・小倉敬典(おぐらたかのり・生没年不明。郷土史家)

・『浪華奇談』(なにわきだん・1835年成立・奇談)


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