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妖怪百物語  作者: keikato
1224/1291

1224 船坂の靄船

 船坂の靄船もやふねは怪異の一種です。

 これは「比叡山の七不思議」で次のような話が伝わっています。

 その昔。

 延暦寺会館を下った先に「表坂」といわれる坂道があるのですが、比叡山は女人禁制だったため、女性は入ることが許されず、ここで想いを残して死んでいった者が多くいました。

 そうした女の亡者が、深く靄が立ち込める夜、その靄に浮かぶ船に乗って表坂を登ってきました。

 その船を見た某僧は、女の亡者と目が合ったとたんに気を失い、翌日に死んでしまったといいます。

 それ以来。

 この表坂を船坂と呼ぶようになりました。

 この船坂を登る靄船。

 比叡山で想いを残して死んだ女の亡者たちにとっては、まさに渡りに船だったといいます。


・渡りに船=靄船

・渡りに船=必要なときに必要なものがそろったり、望ましい状況になったりして好都合なこと


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