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1214 びいどろ
びいどろは根岸鎮衛の『耳袋』に次のような話があります。
山中という私の知人が幼い我が子にびいどろを与えたところ、いつも喜んで吹いていた。
ある日。
妻が子供を連れて里帰りをした。
その夜、私の知り合いが淋しかろうと、山中の家に遊びに行った。
二人で酒を酌み交わしていると、押入れからびいどろを吹く音が聞こえてきた。
ぽっぺん、ぽっぺん……。
山中は驚いて押入れの戸を開けた。
びいどろは紙に包まれていた。
思い直して酒盛りを再開した。
ぽっぺん、ぽっぺんと、また聞こえてきた。
そこへ妻の実家より急な使いが来て、子供が引きつけを起こし、急死してしまったという。
このびいどろ。
子供の死を知り、音を上げていたのでした。
・音を上げる=泣き声をあげる。苦しさに耐えられず声を立てる
・ビードロ=玩具の一種。吹くとポピンポピンという音がする
・根岸鎮衛(ねぎししずもり・1737~1815・旗本)
・『耳袋』(みみぶくろ・雑話集)




