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1208 虱瘤
虱瘤は江戸時代前期、浅井了意の「伽婢子」に次のような話があります。
日向の国の商人が原因不明の病気になり、それは背中の一部が腫れ、痛みはないが痒さは堪えがたいというものでした。
あちこちの医者にかかるも効果はなく、このときたまたま日本を訪れていた南蛮の名医チャクテルスにこの病を見せました。
「これは虱瘤といって、皮と肉の間にシラミがわくものです。百年使った櫛を焼いて、その灰を黄竜水に溶いて塗るしかありません」
チャクテルスは腫物に薬を一さじ塗りました。
その晩。
腫物からシラミが出ること十升あまり。
商人は七日ほどで完治したといいます。
この虱瘤。
原因は皮肉にもシラミだったのでした。
・皮肉=皮と肉の間
・皮肉にも=予想に反して
・十升=1升は約1・8リットル
・浅井了意(あさいりょうい・?~1691・仏教学者)
・『伽婢子』(おとぎぼうこ・仮名草子)




