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妖怪百物語  作者: keikato
1207/1261

1207 鶏塚

 鶏塚は幕末の対馬藩士、中川延良の随筆集『楽郊紀聞』に次のような話があります。

 その昔。

 渡嶋という男は、飼っていた鶏が三夜続けて鳴くと忌み嫌って殺し、近くの海岸寺の裏門に捨て置いて帰りました。

 その夜、海岸寺の住職の夢に、赤いかんむりを頭につけた者が現れ、怒った様子で言いました。

「私は渡嶋の家の者で、猫が主人を殺そうとしたのを鳴いて教えたのだが、反対に殺されてしまった」

 翌朝。

 住職が渡嶋の家で夢のことを語ると、飼い猫が膳の上を飛び越えました。

 すると吸い物に蛙が入っており、それを犬に食わせところ即死しました。

 その後。

 寺に鶏の塚が作られました。

 この鶏。

 主人に殺されてオカンムリだったといいます。


・オカンムリ=おかんむり=おかんむり

・おかんむり=機嫌が悪い

・中川延良(なかがわえんりょう・1795~1862・対馬藩士)

・『楽郊紀聞』(らくこうきぶん・見聞集)


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