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1207 鶏塚
鶏塚は幕末の対馬藩士、中川延良の随筆集『楽郊紀聞』に次のような話があります。
その昔。
渡嶋という男は、飼っていた鶏が三夜続けて鳴くと忌み嫌って殺し、近くの海岸寺の裏門に捨て置いて帰りました。
その夜、海岸寺の住職の夢に、赤い冠を頭につけた者が現れ、怒った様子で言いました。
「私は渡嶋の家の者で、猫が主人を殺そうとしたのを鳴いて教えたのだが、反対に殺されてしまった」
翌朝。
住職が渡嶋の家で夢のことを語ると、飼い猫が膳の上を飛び越えました。
すると吸い物に蛙が入っており、それを犬に食わせところ即死しました。
その後。
寺に鶏の塚が作られました。
この鶏。
主人に殺されてオカンムリだったといいます。
・オカンムリ=お冠=おかんむり
・おかんむり=機嫌が悪い
・中川延良(なかがわえんりょう・1795~1862・対馬藩士)
・『楽郊紀聞』(らくこうきぶん・見聞集)




