68【ねるねるねるよ】
おまたせ!
いつもお読みいただきありがとうございます!
このページでゆっくりしていってください~♪
ミントを始め、幾つかの薬草を施療院の庭で摘んで、建物の中に入る。
中ではブルハが椿の実から油を取り出している。なかなか手際が良いから、普段からやってるのかな。
「ちょうどよかった、俺もペチカの火を借りよう」
傍らの食卓に色々アイテムボックスから取り出す。
野外料理用に持ってたラード、用途の多い蜜蝋、そして王宮で始めに摘んで乾燥させていた銀シダ、それに光属性の魔石。
「おや、それは?」
「銀シダですよ」
「リアシルバーも持ってたのかい?」
「王都で銀蓬といっしょに摘んでたんです。あとは来る途中に摘んできた⋯⋯」
「デーモンピーチ?」
「これは後で食べるよう」
「さっき山で採ってたやつだろ。熟してない栗だと思ってた」
又従兄どのが近寄ってきた。
「これは桃だよ」
「桃?あの果物の?」
「これも美味しいんだよ。
桃って産毛があるだろう?」
「まさか、このイガのようなトゲトゲトゲは」
「そ、産毛。でも今回使うのは葉っぱだよ」
葉っぱはこれも産毛がおおいけど。
「葉っぱは普通の桃の葉より柔らかそうだな」
「だろ」
「リーン俺も手伝うよ」
「んじゃアズール、レシピを書き出しておいて」
「わかった」
「いつも感覚で作ってるからさぁ」
「いつもって、いつ作ってた?」
「え?いつもだよ、しらなかった?」
そういえば今世では作ってなかったっけ。
「椿油できたよ」
「ありがとう、わあきれいですね」
「そうかい」
「じゃあ、やるよ」
大きめの乳鉢に、ラードを入れ、温めた蜜蝋を混ぜて、そこに椿油を足して乳房で練る。
「リーン、ミルサー使うかい?」
ブルハが魔道具を出してきてくれた。
「もちろん!魔石も挽ける?」
「丸ごとからはやめてほしいけど」
「んじゃある程度は自力やってからだね」
「ああ」
ミルサーの器の上で、真っ白に光る魔石を両手に包んで手の中で砕く。
それをバラバラとミルサーに入れて、その他の材料も一気に入れて。
「アズール。ちょっと粉にしておいて。長く回して細かくするんだよ」
「了解」
ミルサーの使い方はダッシュ領で見てるもんね。
「ブルハ、ミントと椿油で、ミントオイルおねがいします」
「まかせて。かゆみ止めだね」
「そ!」
「出来たと思うよ」
「うん⋯⋯」
指を突っ込んで様子を見る。結構光ってるから見ただけでは分かりづらいのだ。
「うん。いいね」
先に作っておいた軟膏の基剤にミルサーの中身をサラサラと入れていく。
片栗粉より細かいそれは緑色に輝きながら乳鉢に入っていく。
夜になってきたから余計に光っている。
「んじゃ、これを光のムラがなくなるまで練って」
「よしっ」
嵩が多いからね。結構大変だよ。
「光る軟膏なんて初めて見るぜ」
「薬草が入ってるから緑色できれいだね」
「ですよね。光属性の魔石を入れることによって、他の薬剤の腐敗も防ぐんですよ」
「その発想はなかった!」
「そう?昔からよくある手法だと図書館の魔導書にあったんだけど」
「光の魔石は魔道具にしか使わないんだよ普通は。石ごと消費するのはもったいないだろう」
「そうかな」
アズールは真剣に練っている。
「意外とこれ楽しい」
「やっぱりアズールも魔法使いに向いているんじゃね」
「ほんと?」
出来上がったそれを一対三に分ける。
「この多い方にミントオイルを」
「わかったよ」
試しに、ミントオイルを練り込んだほうを自分の腕の内側にちょっと塗ってみる。
「いいね、大丈夫そう。頑張って練ってくれたから、良い感じ」
「そう?よかった。面白かったけど大変だなこれ」
「薬師って大変なんだよ。
んじゃこれで、患者のところに行こう」
「軟膏を塗るの患者は女性の方が良いから、シスターがまだ居てくれたら呼んでほしいんだけど」
「そうだね」
辺りはすっかり暗くなっていて、二階の病室の窓の外も紺色になっていた。
«ライト» を唱えたのは俺。
暗いと処置がやりにくいからね。
「なあにこれ?きれい、光るクリーム」
病室に入ってきたシスターが壺に入った軟膏をみて感嘆していた。
「では、割れて血が滲んでるところはこっちを先に塗って、ほかはミントオイル入りを塗ってやってください。顔はミントオイル入りは避けたほうがいいですよね」
ブルハに同意を求める。
「ああ、目がしみるかも知れないからね。
これなら治りそうじゃないか。光の魔石を粉にして練り込んであるんだよ」
「すごい発想ですね。
寒がっているもの、早く直してあげたいわ」
体は魔力不足で寒いのに、皮膚の炎症で痒がっている。
表面が温まると痒みが増すから、窓を開けて風を通していたんだねこの部屋は。
痒みって結構辛いもんだものな。
前にもこういう症状の魔力枯渇病があったよね。他の人みたいにいきなり魔力を直接補充すると、皮膚が急激に活性化するのか、さらに激しく痒くなるんだ。それでかきむしるとあとが残ってしまう。今回は掻きむしるのを防ぐために軟膏を用意したんだ。
「じゃあ、軟膏を塗った人から俺が魔力を流していきますね」
「はい」
「塗り終わった。この娘はまだひび割れてなかったから、ミントの軟膏だけで」
「わかりました」
横になってる女性の頭の方に回って声をかける。
「今から首をちょっと触りますよ」
頷いた。
「では」
「暖かくなってきたわ」
「よかった、お肌もきれいになってきたよ」
「さっきシスターが薬を塗ってくれてかゆみが引いたの」
「それはこの施療院の薬草のミントの効果さ」
「ああ。そういえばあのミントを紅茶に入れるのが好きなの」
「旨いよなミントティー。明日ならもう飲めるさ」
「ええ。飲みたいわ」
「座れる?」
「ええ」
「じゃあ、このポーション一つ飲んでて」
「ありがとう」
「次はブルハの妹さん行こうかな」
「頼んだよ」
彼女のベッドに近づく。ちょうどシスターが塗り終えたところみたい。
「この軟膏、出血が止まるのね」
シスターが言う。
ベッドで眠る女性は薄っすらと光り輝いていて、なんとも幻想的だ。
薬で光ってるんだけどさ。
「じつは、この軟膏があれば誰でもかすり傷を治せるんだよね。光属性を使える魔法使いが近くにいなくても」
「誰でも?」
「そう、だけど、粉にしちゃった魔石の魔力は留まりにくくて一昼夜しか保たないんだよね」
「一昼夜。それはまるで生菓子のようだね」
「だから旅行とかの携帯には向いていない。俺達みたいな冒険者にも常備できたら良いんだけどね」
「なら小分けして使い切りのパッケージにすれば良いんじゃね?空間拡張じゃなくて、時間だけ止めるやつ」
「ナイスアイデアだよ、アズール!さすが!」
「リーンに褒められても、なんだかなぁ」
「どうしてだよ。今度、小分けの入れ物を考えよう」
「リーンが暇になったらな」
「いつになるかな」
「学園を卒業してから」
「まだ先だよな」
グッドボタンお願いします♪
お星さまありがとうございます。
ブックマークして頂くと励みになります!
それからそれから、感想とかって もらえると嬉しいです。




