62【テイム】
ここから色々本文を工事してしまいました。読み進めてしまった人再読してくれると嬉しいです!
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いつもお読みいただきありがとうございます!
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「おい、リーン!
ネイチャーなんとかってそんな複雑そうな魔法使ったことあるのか?」
「ネイチャーパルス契約だよ。使ったことはあるよ」
「いつ。
ここ数年自分かスボールは一緒にいるけど、お前がそんな魔法を使ったなんて知らないよ。ラマーノ先生に教わったのか?」
「ラマーノ先生は魔法なんかは教えてくれないよ」
家庭教師の先生は、国立学園長ではあるけれど、魔法使いではない。
魔法を使うことは出来るかも知れないけれど。使ったところを見たことはないしね。
「そうだな」
俺が書いた魔法陣にもう一枚羊皮紙をのせて魔法ペンでなぞってくれているのはアズール。手伝いながら問い詰めるという器用なやつだ。
「内緒。あ、ラマーノ先生にも言っちゃ駄目だよ。知らないかも知れないから。
まかせて、失敗したことないから。
とにかく、殺しちゃうよりこっちが絶対いいから。
犯罪者を牢屋に連れて行くまで大仰な鎖で、街の人々にも見えるように連れて歩くなんて野蛮じゃん。それにそれを連れて歩くのが騎士とはいえまだ十三歳の新米スボールとガキの俺達だぜ」
「そうだな、ここから俺達の進行方向で、外国から来た犯罪者が収容できる騎士団がいる街は辺境伯領しかない」
「でしょ」
しばらくまともな街は通らない。
「結局とんでもないものを拾ったよな」
「ワハハ。たしかに今まで以上に厄介なやつ」
「どんな拾い物でもお宝に変えればいいのさ」
「おっさんたちがお宝になるのか?」
「おっさんって⋯⋯ボゥグはまだ〈にいさん〉って感じじゃないか」
「スボール、そもそも俺達とスボールで年齢差が四~五歳あるんだからさ」
「なるほど、そりゃおっさんに見えるか」
ワチャワチャと話している俺達と対照的に、空気のように無になっている二人。
「よし、じゃ使う素材はこれとこれにしょうかな」
「その赤い石は何?きれいだな」
「これは炎の鶏冠っていう魔物の魔石で、ギルドの近くの雑貨屋さんで見つけたんだ。彼はほら、魔石ペンが赤く光ったからね。これが合うはずだ」
年上のダンゲの方から始める。
「じゃあダンゲ、じっとしてね」
彼の背中に回り、魔法陣を描いた魔羊皮紙を心臓の裏側に置く⋯⋯落ちる!
「もうちょっと前かがみになって」
「つっ⋯⋯」
「後で怪我はきっちり直すから我慢」
「はい」
李ぐらいの赤い魔石を、彼の背中に置いた魔法陣との上に置き、俺の左の手のひらとで挟むように押さえる。
«空と水と森の精霊よ、我とこの者に忠実なる繋がりを与え給え»
ダンゲの背中と俺の掌の間が赤く光ったとおもうと輝きがまして白くなる。そうして光はダンゲを包む。
このまま怪我も治してしまおう。
治癒魔法を重ねて発動して、肩越しに彼の膝の傷が治っていくことも確認する。
ダンゲは目をつぶっている。
「出来たよ」
手を離す。
「うわ、魔法陣が消えて、あれ?魔石も無くなってる」
「魔物の体内には魔石が必要でしょ。
今、ダンゲは心臓の後ろに魔物と同じように魔石を抱いている。
でも、隠蔽の魔法も重ね掛けしているから、魔物と気付かれることはないよ。討伐されちゃわない限りね。冒険者ギルドでのステータス表示が上手く行ってるか、辺境伯領で確認させてほしいところだけど」
「わかりました」
彼の正面に回って様子を見る。
うん、別に鶏冠は生えてないね。
「どう?」
「少し体が熱いです」
「それは魔石の効果で魔力が増えたからさ。魔法使いほどではないけどね。しんどいとかはないでしょ?」
「はい」
「そういえば私もリーンに教わって魔法の練習を始めた時に、感じたよ」
「自分もだ」
「ところで怪我の痛みも治ったんじゃない?」
「お、銃の弾が地面に落ちてるぞ」
「三つあったらいいんだけど、スボール」
「えーっと⋯⋯うん。三つある」
「おっけー」
「どうだ?」
穴の空いたボトムのところをスボールが押す。
「たしかに⋯⋯痛くないです」
「オッケー、じゃあ次。
ボゥグはこれ」
「紫色の魔石ですね」
「これがナイトアリゲーターの魔石だよ。これも雑貨屋でみつけたんだ」
「幾らするんですか?」
「うーん、幾らだったけ、安かったよ」
「リーンの安いは当てにならん」
ボゥグの背中に回って同じように魔法をかける。紫色の光というのはなんとも神秘的だ。
「よし、これで、あとは他に必要なものを拵えて渡すね」
「こしらえる?」
「うん⋯⋯」
「あの、リーンさん俺⋯⋯」
「なに?」
「今、無性に名前が欲しいです」
「名前ー!」
「はい、ダンゲと言う名前に違和感があることが分かるのです」
「名乗れないわけではないことも分かるんだね」
「はい」
「じゃあとりあえずつけようか、その方が連れ帰る時は都合が良いしね。うーん⋯⋯人の名前なんて付けたことないからなぁ⋯⋯」
国名とか地名とかはあるけど。
「よし、君はクレスト。魔石の魔獣フレイムクレストの名前からね」
「クレスト!いい名前です。気に入りました」
そうすると、ダンゲが全体的に赤く光り、魔力の渦に囲まれたと思うと収まっていく。
「おおっ、髪色が変わったぜ」
「赤くなったな、白髪も無くなったんじゃねえか」
「赤?」
「それじゃ帝国人とは分からないかも知れねえな」
「リーンさん俺も名前を⋯⋯」
「ボゥグもかー!」
俺の代わりに唸ってくれたのはスボール。
「んじゃーナイトアリゲーターの黒い魔石だったし、闇属性だし⋯⋯
ボゥグは、ノワールで」
「ノワール、かっこいいです!」
今度は黒いモヤのようなものが彼を薄っすらと包んで収まる。
「名前の通り黒髪になったな」
「リーンと同じ色じゃないか」
「!嬉しいです!」
「喜んでくれたらよかった。
ふわぁ、もう俺は眠くて仕方ないな」
「ああ、寝ろ。おっさんたちの拘束はまだこのままだろ」
「うん。トイレの時は悪いけど」
「分かってるよ」
「じゃあ、おやすみ」
それでも馬車の中に潜り込んだ俺は、必要なものを拵え始めた。
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