↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かつて大賢者だった黒猫は王子に転生しても魔王ひとすじ  作者: 前野羊子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/80

58【取り調べ】

いつもお読みいただきありがとうございます!

このページでゆっくりしていってください~♪

「う⋯⋯」

 両足が使い物にならなくなって横たわってる男一人の銃を奪い、他に持ってたナイフなどをさっと取り去るのをスボールに任せながら、もう一人の銃を構えた男に向き合う。


「ああ、さっき、このおじさんが痛い目にあってる間に、弾を装填しちゃったんだね」

「⋯⋯」

「ほら。撃ってご覧、さっきは上手く行かなかったみたいだけど、今度は僕に届くから」

「ふん、思ったより小さな的だが、ここまで近くなら外さねえぜ」

「だろうね。どうぞ」

「ガキでも手加減しねからなっ」


 バンッ バシッ バンッ バシッ



「なっ、なぜ塞がれる」

「続きをどうぞ。まだ沢山あるでしょう?装填したところだし。

 一応外さずにちゃんと俺に届いているよ」

「クソっ」


 バンッ バシッ 

 バンッ バシッ バンッ バシッ


 銃って凄いね、弓より連射が早い。でも一つずつだから魔法より受け止めやすい。

 それに、突っ立ったまま動かずに同じところばかり狙ってるから、簡単。この人は兵士とかそういうのでもないのかな。何者なんだろう。ガンマン? 鑑定に表示される見慣れない単語。職種ってことか。


「そんな⋯⋯」

 

「ただね、僕にはこんな物通用しないってことだよ」


 カチッ カチッ カチッ 


「弾切れになったのかな。じゃあこれどうしよう」


 ジャラッ ジャラッ


 受け止めた幾つもの弾丸を、ジャグラーのように手の上で弾ませながら。


「僕には不要だから返すね」


 弾の一つを三本の指で挟んで狙いをつける。


「く⋯⋯来るな」

「貴方がこっちに寄ってきたんじゃないか」



 ピンッ ⋯⋯バシッ


「うわっ」


 今度は振りかぶらずに指先だけで弾くように一つ飛ばす。もちろん指に身体強化を施してさらに弾丸に風魔法をのせると、それは前の男の脇腹を狙い通りにかすっていく。ちょっと深めに。中途半端なかすり傷って意外と痛いんだよね。


「なに?熱っ⋯⋯」

「え? そう?風魔法しか乗せてないのに」


「魔法⋯⋯っ」

 痛くなってきたみたいだね。

「そう魔法。

 魔法はね、銃みたいな道具がなくても火器として十分な役割が担えるんだよ。勿論、杖があったほうがやりやすい魔法使いもいるけどね。

 もう一度、今度は違う魔法を見せてあげるね。」


 と言いながら手の上にろうそく程度の火の玉をひとつ浮かす。

「火の魔法⋯⋯」

「そ、これはファイヤーボール。このまま貴方に投げてみよっか。その服に燃え広がったりして。

 でもこのままじゃ小さすぎるし温度も低いから⋯⋯」

 パチパチ

 オレンジ色のファイヤーボールの温度を上げていく。

「ひっ」

「よし、これぐらいなら、鉄も溶けちゃうよ」


 火の玉は青く激しい炎になっている。炎が青くなるとパチパチと良い音がして小さな火花が散り始める。これがきれいなんだよな。


「そのうえもっと大きくも出来ちゃうよ」


 手を少し上げて、青い炎を大きくしていく。横腹を押さえて屈んでいる男の顔の前にその顔と同じぐらいの大きさに。


 ゴー パチパチパチ


「あっつっ。ううっ」

「そう、熱いってこういうことでしょ。でもね術者には熱くないんだよね不思議と。

 とはいえこんな物使わなくても、貴方はお腹に怪我を追ってるんだったね、放っておいたら運が悪いと死んじゃうね」

 本当はかすり傷だから、死ぬことはないけどさ。

 青い火の玉を消してさらに近寄り、呆然としている男の銃に手をかけて奪い取ろうとしてみた。

「やめろっ、のやろう!」

「おっと」

 空っぽの銃を持って振り回してきた。

「なるほど、銃は鉄で出来てるんだっけ。でもねこう見えて僕って体術にも自信があるんだよっ」

 その大きな体の懐に入って相手の襟とベルトを掴んで、投げる。


「よいしょ」


 ドスン


「うっ」


 はずみで男の手から離れた拳銃を踏みつける。

「空っぽでも危ないから預かるね」

 と、アイテムボックスに仕舞う。

「おじさん、拳銃は使えるだろうけど、他の戦闘スキルないんだね。お腹をちょっと怪我しただけで。

 一体何しに来たの? まさか戦争?」

「⋯⋯」

「言えないのかな」

 

 そして男をうつ伏せにして後手に縛る。

 こんなのあっという間に出来るんだよ。 


「ちょっと、こっちに来て」

「っ⋯⋯」

 ズルズルズル⋯⋯

 手と腕に強化魔法を乗せたまま、男を引きずっていく。

 ローテーブルの焚き火の前には膝をやられた男もスボールに後ろ手と胴を縛られて長座で座っていた。まだ止血など怪我の手当はしていない。

 それとは炎を挟んで反対側に、腹に傷を負っている方の男を座らせる。


「手は縛ってるけど、こいつも胴を縛っといて」

「わかった」

「リーンは本当にすげえな」

 スボールが男を縛りながら俺を褒める。やめてよね。

「何が?」

「肝の座り方とか」

「可愛くなかった?」

「おっさんを投げ飛ばす子供は可愛くないのでは」

「ははは、たしかに」



 二人の顔を覆ってた黒い布をナイフで切りながら取り去る。ミイラを包む布が黒いとこんな感じかもしれない。何しろ目しか出てなかったからね。


「んじゃ、こっちの血だけ止めとこうかな。痛みは止めないから、動きにくいけど、死にはしないからね」

「⋯⋯」

 両足を怪我してる方に光魔法を軽く掛ける。もう一人の脇腹にも。


「もったいないリーン、そんなおっさん達に貴重な光魔法を使うなんて」

「しょうがないでしょ」

「後でしっかり請求しろよ」

「なるほど、覚えておいてねアズール」

「ああ」

「で、リーン、この場で尋問してしまう?」

「勿論」


「尋問だと?」

「ガキのくせに」


「そのガキの三人組を襲ってきたのは、おっさん達だぜ」

「よせアズール。

 リーンの尋問に立ち会うのはこの私、ランデルソール王国騎士団に所属している、スボール・ド・サバダリファ」

 と騎士の剣を二人に見せてくれた。

 これでこれからの尋問が正式な犯罪者への対処だと相手も分かるだろう。

 ま、俺自身も八歳にして尋問できる権限はあるけどね。アズールにも。でもここはまだ二人は身分証は出さないでいる。


「⋯⋯」

「そんな、ガキにしか見えないが騎士だと」

 スボールもたしかにまだ十三歳だもんね。近衛としては見習いだけど、騎士としては見習いは卒業しているのだ。


 まずは年下のほうから聞こうかな。二人とも顔が見えなかったから大人の男性としか分かってない。まあ鑑定したけどね。


「では、お腹が痛い貴方から。名前を言いなさい」

「⋯⋯」

「まあいいよ、分かってるからボゥグ。年齢は二十歳」

「!なぜその名をっ。年齢まで知られているというのか」

 鑑定したからとは言わないよ。すでに魔法を見せてしまってるからね。まだ色々見せるわけには行かないよ。

「この子が聞いたことだけ話しなさい」

 スボールが補助してくれてるよ。これみよがしに銀の剣を担いだポーズで。

「⋯⋯わかった」

「足が痛いほうはダンゲだね。歳は三十二歳」

「⋯⋯ああ」


 もはや自分を子供だと強調するのは意味ないので〈僕〉は終了。


「まず、貴方達は俺を襲った時点で実は無期懲役か島流し、場合によっては死刑です」

「は?襲っただけで?」

「怪我はさせてないぜまだ」

「怪我させようとした時点で傷害未遂罪だ」

「ウッ」

「しかも、殺そうとしてたなら、殺人未遂罪だ」

「⋯⋯」

「襲うだけで死刑になる相手っているんですよ」

「まじか」

「そんな⋯⋯」

「でも、貴方達のここでの答え方次第ではチャンスが訪れるかも知れないですよ」


 俺の隣では、アズールがメモを取っている。良い感じだ。書記は必要だよ。


 二人はくすんだ青い髪に黒い瞳、褐色の肌。ボゥグは三十代。ダンゲは白髪混じりで生え際が後退している四十代ってところか。帝国人らしい特徴だ。

 

「ボゥグ、帝国にも冒険者ギルドはあるでしょう?」

「ああ、俺も一応所属している」

 

「タグは⋯⋯銅か。Cランクだな」

 手を縛られているボゥグの首からタグを引っ張り出すスボール。

「Cランクでリーンに挑むのがそもそも無理だったな」

「は?」

「俺はこう見えてもAランクなんだよほら」

 と金色のタグをちらりと見せる。

「ひっ」

 ダンゲの方もAランクではないもんな。むしろボゥグより下のD。

「ボゥグ、銃だけ持って何をするつもりだったんだ?」

「銃は魔法より強いと聞いていたのだ」

「誰から?」

「⋯⋯」

「ボゥグ、リーンの問いに答えなさい」

 催促するのは剣を担いでいるスボール。


「帝国の〈対魔法省〉だ」

「それはまた物騒な名前の組織だな」

 

「そこに所属している役人は、捕えた魔法使いの魔力量によって昇進や報酬が決まる」

「報酬は帝国から出るの?」

「ああ、俺達もそこの役人だ」

 うん、それは鑑定で分かっている。鑑定では身分証に刻まれていないことも見れるからな。

「どうして魔法使いや魔女を捕らえるの?」

「そいつらは忌み嫌われるべき職業だからな」

「忌み嫌われる?」

「魔法は他人を呪い殺すことが出来るからな」

「それはまた偏った知識だねぇ」

「銃を持ってきて、他国の人を殺そうとしたりするほうが忌み嫌われるんだけど」

「⋯⋯うっ」

「ほんと、ひどい話だぜ」

「自分たちを棚に上げてよ」

「⋯⋯言われてみれば」

 二人とも、まだ身体的な痛みがあるのに、子供三人のツッコミで精神を削られている。


「それで、捕えられた魔法使いはどうなるんだ?」

「魔法使いたちを入れる更生施設があるのだ、そこで働かされたのち、魔法が使えなくなったら放逐される」

「ふむ、殺すわけじゃないんだな」

「殺すなど、帝国はそんな野蛮な国ではない」

「よく言うよ、銃を支給しておいて」

「そうだね、あたりどころが悪ければ死んでしまう武器でしょ」

「⋯⋯抵抗されたら仕方がない」

 再び俺達ガキに追求されて苦い表情になるボゥグ。


「外国にまで魔法使いを捕えに行って何をしたいんだろうな」

「たぶん、魔力の搾取でしょ」

「魔力の搾取?」

「なるほどな」


 帝国から帰ってきて具合の悪かった人ほど魔力が多かった。

 魔力が多いほどより強力に魔力を吸い出すようなところに入れられていたのかも知らないね。


 二人は青白い顔になっているけどさ。こっちも、想像以上に帝国の問題が深刻なことに頭を抱えそうになってしまう。




グッドボタンお願いします♪

お星さまありがとうございます。

ブックマークして頂くと励みになります!

それからそれから、感想とかって もらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。