34【魔法測定会(小規模)】
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「では、皆の魔法を調べてみよう」
倉庫から引っ張り出したものは、羅針盤のような道具で、盤の部分は大きさも手盆ぐらいある。そこに様々な模様や印、文字や数字が書いてある。
「さっき殿下が言ってた色分けがされてるんだ」
「そう」
「大きなガラス…レンズ?きれい」
「これも魔石だよ。魔石ペンと同じで形を整える加工されているけどね」
中心部には小皿を被せたような丸いけど平べったい加工された透明な魔石。
「殿下は本当にお詳しいですね」
「何でも勉強だよね」
うそ、これの仕組みの基本を考えたのは大昔の俺だから。
「これで見た結果はみんな他所へは言わないこと。自信がない人には忘却の魔法をかけるからね」
「言わないよ」
「守秘能力は任せて」
「でも数字はわかるけど文字が読めないわ」
「これも古語なのよ。古い道具だわ」
「古くは見えないけどね」
「まあ、色が分かればいいじゃん」
「そういうことだ」
「じゃあ、スウからやってみようか。
これを触ると魔力が感じられるから、その後練習がしやすいんだよ」
「わかったわ
これをさわるのね」
「そう。手のひらのところをこの魔石にくっつけるんだ」
「うん」
小さな手のひらを、おっかなびっくり近づけている。
ぴと
「わわっ!」
真ん中の魔石が光るのが手の隙間からもわかる。
「気持ち悪くても我慢」
「へいき、くすぐったい」
「その感じ覚えといてね。
さてスウは…」
赤い光の矢が三つ生えてきて、それぞれを差している。
長さは短いけどね。短いのは魔力が少ないってことなんだけど三つは良いね。
しかも、
「わあ、黄色と、青と、緑!」
「これは、良い魔女になれるぜ。魔力は5だね。少ないけどスウの年齢なら十分さ。それに属性が三つはいいよ」
「ほんとう?やった!
このいろはぁ、かぜと、おみずと、つち!」
「そ!覚えたじゃん」
「うん!」
魔力が増えれば、光属性も生えるかもしれない。
スウのお兄ちゃんのハオは、風・土の二属性、魔力は10。
アズールはギルドで見た通り風と土の二属性はスウと同じだけど魔力は30。さすが王族の血を引くのである。
「アズールは魔力が多いんだね」
「殿下に比べたらこんなだけど」
と人差指と親指を近づけて隙間を作っている。
「増やそうね」
「ああ」
スボールは風だけ、魔力は30
「私も魔力があったんですね」
「強化魔法を教えてもらえば、殿下に勝てるかもしれないね」
「それはありがたい!
護衛対象より弱いってありえないからな」
さて、マリアーノの息子のサムエルだ。
「お前四属性もあるじゃないか」
マリアーノは息子の結果に嬉しそうだ。
「驚いた」
「しかも魔力も130もある。これはすぐに魔法係に配置換えをお願いせねば」
「私がですか?」
「三桁ってすごいんだよ。昔なら魔法師団の真ん中ぐらいだ」
「なんと」
サムエルはまだ二十代だから十分伸びしろが期待できる。
「セリシャさんも見る?」
「あたしは冒険者ギルドで見たことあるから大丈夫」
「わかった」
「それにしても、みんなに魔力があったんですね」
「だろ?そんな中、魔法禁止なんてありえないよね」
「ええ」
「魔力が無い人間というのは140年前の帝国に現れたと言われている5人だけだったのかもしれませんね」
サムエルがつぶやく言葉に頷く。
「まるで別世界の存在だな」
「別世界」
「魔力に変わるエネルギーを使う文明を持っていたと言ってたな」
「なるほど、言われてみれば合点がいきます」
140年前にその人たちと結婚した子孫などもいるだろうけど、その魔力がまったくない人はもういないのじゃないのだろうか。
いつか、帝国にいって調べることができたら。
「ねえ、でんかがこれでしらべたらどうなるの?」
スウが素直な好奇心を俺に向けてくる。
「俺の場合は、何もわかんないと思うんだよね」
「何も?」
「そう」
「意味がわからないよ、やって見せてほしいな」
「う…わかったけど、本当に誰にも言うなよ」
「もちろん」
「ここでのことは秘密なんでしょ」
「ああ」
皆の視線の中、真ん中の魔石に触れる。
「めちゃくちゃひかる!」
「赤い矢印が何本も出てぐるぐるしているぜ!」
「きしょく悪っ」
失礼だぞアズール!
「特定できないと言うことは殿下は全属性だということなんですね」
「うん」
「属性がない場合はどうなるの?」
「矢印が出てこないんだ、魔力量だけ表示される」
「なるほど」
「また貴重な属性だ」
「まあね」
「積層の魔導士リィーン・ラ・ビブリオーや 香櫞緑の魔女リーン
も全属性と言われてきましたが、なるほど、殿下も魔法が得意だということが納得できました」
何度生まれ変わっても変わらないんだよね。
流石に猫に生まれ変わったときは測定してないけど。
「魔の森の、デューク様も全属性ですよね」
「そう、しかも魔力もレベルの桁違いなんだ。怒らせたらだめなんだって、ご先祖様から言われている」
「こわ」
ちょっとウイザール母子!変なこと言わないの!
デューク様は怒ったりしないよ!
もう…
さて、気を取り直して……。
「次は魔力制御だね。
基本の魔素神経を感じるところから言ってみようかな」
「魔力制御?」
「魔法は何でもイメージが大事ってのは前にも言ったけどね、
この本のこの絵を見てね」
そこには大雑把な人体のシルエットがあって、簡単な魔素神経と魔素溜まりの図解が描いてある。
「本当は血管みたいに複雑に入り組んでるんだけどね、血管と違って魔素神経の魔力の流れは一方通行じゃないし、自分の意志で動かせることもできるんだ。
じゃあ、みんなに一つずつ無属性の魔力が入った魔石を渡すよ」
牛乳を水で薄めたような乳白色の魔石を配る。
「ここに入ってる魔力を自分に取り込んでみよう。まずは石の魔力を感じるんだよ」
「ガラスみたいっておもったけど、ちょっとあたたかいのね」
「そう、そこがただの石とか魔力が空っぽになった魔石の違い。
ハオやスウのお父さんも寝込んでたときは、空っぽの魔石みたいに体温が低かっただろう」
「うん!」
「なるほど」
「さあ、その魔石の温かさを感じた手のひらの熱を手首から肘に動かしてみよう」
「手のひらから手首に……きた!肘に…なるほど」
「わわっこそばい」
「これはわかりやすいですね」
「殿下の説明がわかりやすい」
「じゃあ魔力が動かせたら、魔石をおいて、自分の体の中だけでその熱を回してみよう」
「目をつぶってやると集中するわよ」
マリアーノが追加のアドバイスをくれる。
みんな静かに集中している。
体温が少し上がるからか、アズール達の額に汗が浮いている。
パン!
「そこまで。いきなり長時間ぐるぐるしたらダルくなるからね」
俺も転生したてのときに理解した。
まあ一日中寝転んでいる赤ん坊だから。気がつけばぐるぐるしてた。
乳母のバレリアには「発熱した!」って慌てられてたから、彼女がいないときにね。
「わかりました」
「暑!」
「熱く感じたら、魔力溜まりに持っていって貯めるんだよ。
一番溜まるのはお臍の下の魔力溜まり。
そこにたくさん貯めるようにすると魔力が上がる。
毎日ちょっとずつ、朝起きたときとか、ご飯を食べて体温が上がった時とかにするといいよ。
女性は冷え性や血の道の改善に効果があるし、男は単純に強くなれるしね」
「頑張ろ」
「寝る前はあまりやると興奮しちゃうから、リラックスする程度で終わるように」
「「「はーい」」」
子どもたちは良いお返事。
「なるほどね」
「冷え性に聞くならいいわね」
「今日から毎日魔力循環を続けて、一週間後にまた魔力測定をしよう」
「上がるかな?」
「増えてるといいな」
「よし!」
「ある程度魔力が上がれば、魔法が使えるから。
サムエルさんはすぐにでも魔法が使えると思うけど、マリアーノと相談して、おとなしいものからチャレンジを」
「わかりました」
みんな違ってみんな良い。そんな魔法講座の初日が終わった。
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