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かつて大賢者だった黒猫は王子に転生しても魔王ひとすじ  作者: 前野羊子


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11【失くしたわけじゃないんです!たぶん】

いつもお読みいただきありがとうございます!

このページでゆっくりしていってください~♪

 「お待たせしました、リーン様こちらへ」


 すぐに戻ってきてくれたセリシャが俺の移動を促す。

 

 カウンターの横には手洗いにいく通路と、解体場に続く通路、上に行く階段があるみたいだ。

 今回はそれを登っていく。


 冒険者ギルドは表側の建物が三階建てで、一階の奥に訓練場が繋がっているらしい。

 階段をのぼりながらセリシャが説明してくれる。

 で、二階もパブリックスペースで、会議室、資料室、そして小さく区切られた打合せ室があった。


「こちらにお座りください」

「はい、あの俺、犯罪者じゃないですからね」

「くすくす、それは存じてますよ。そう言うわけじゃないんです、お待ちくださいね」


 また置いて行かれた。


 きょろきょろと部屋を見る。


 大きめのテーブルとそれに二つずつ向かい合わせの椅子。

 その一番入り口側に座っている。


 窓はあるけど上の方にあるので、空しか見えていない。

 壁も床も木材で覆っているだけの何もない部屋。


 コンコンコン

「入るぞ」

 ガチャリ


「お前がリーンか?」

「はい」


 入ってきたのは、父上より年上に見える筋骨隆々のおっさんだ。

 顔も筋肉質に見える。左ほほにバッテンの古傷。

 セリシャ達と揃いではなく、着こなせていない貴族っぽいジャケットを着ているの。こういうのはギルドでは上の方の立場の人だ。

 マネージャーか副ギルマスか最悪ギルマスか…。


 袖をまくっている筋肉質の腕にも怪我の跡が複数ある。

 このおっさんも手袋をしてして、さっき俺が触った水晶玉と紙を持っている。

 水晶玉は相変わらず虹色になったままだ。

 

 歴戦を経験してきた冒険者だろう。つまり…

「アーノルドだ俺がここのギルマスだ」


 ギルドマスターだった。


「リーンですよろしくお願いします」


 テーブルをはさんでどっかりと向かいに座り、上から下までじろじろ見られる。


 登録でこんな目に合うのは初めてだな。


「さて、リーンはこの用紙に書いてある通り、こうして外見を見ても八歳の子供に見えるのは確かだ」


 と、手に持った紙を一枚俺の前に出す。さっき俺が書いた申込用紙。

 

「はい」


「しかし…お前さんの水晶へ流し込んだ魂の波長によると、違う人物が出てくるのだ。いや名前は同じなんだが」

「はい?」


「これだ」


 と、古い登録用紙の写しを隣に置かれた。


「今から120年前に引退したはずの、その名も同じリーンという高ランクの冒険者がいたのだ。これはそいつが10歳の時に書いた登録用紙の複製だ」


「…それが?」

「お前が触った水晶の魂の波長では、このリーンと同一人物だと記されるのだ」

「は?そんなルールありましたっけ」


「リーン…お前はやはり

 知らなかったのか?この仕組みは150年前から構築されているのだ」

「どうして?」

「世の中にはとんでもなく長生きをするやつがいるからな。そんな奴が冒険者に復帰したときに揉めた事があって、それで作られたそうだ」


 そんな…二度の転生前の冒険者をやってる期間にそう言うことになっていたのか。


「アーノルドさん、俺はこのリーンとは関係ないのに、引っ掛かって冒険者にはなれないってことですか?

 リーンなんてありふれた名前の冒険者なんて、それこそ大陸中にごまんといるでしょう?」

「いるが、他のやつにこんな反応は出ない」


 いかつい顔は睨んでくる。

 威圧されているのは分かるんだけど、この位では怯まないよ。


「で、どうなんだ?お前はこのリーンの生まれ変わりとかじゃないのか?

 これこの通り、筆跡も似ているだろう?

 攻撃の種類は多少変わってるが…それもここに魔法の項目が無いからだ。こっちの仕様が変わっているからな」

「俺がその120年前のリーンだと言えばどうなるんですか?」

「冒険者ギルドで預かっているこいつの財産の一部をお前に譲渡できる」

 と、古い方の申込用紙を手袋のままトントンと叩いている。


「本当ですか?」

「しかし120年分の保管料を差し引いてだがな

 結構あるんだぜ。覚えているんだろ?」


「さあ…気にするものなのだろうか…」


 黒猫の時はさすがに小遣い稼ぎは思うようにできなかったけど、前は結構稼いだもんな。

 稼いだというか、そんなに使わなかったから残額を知らなかっただけで。


 愛しい人はいたけれど、結婚したり家庭を持ったりはしなかった。

 子育ては…孤児を何人か育てたことはあるけど。


「そのリーンのさらに前の記録はないのですか?」


「残念ながら、この仕組みが出来たのは150年前だからな、それ以前に死んだ冒険者の情報はない」


アーノルドというギルマスはなおもテーブルの上を手袋の指でトントンと叩いている。


「俺がこのリーンだとして、その情報は他の冒険者ギルドで共有されるのですか?」


「120年前のリーンの財産が新たな冒険者の手に渡った事は共有される。

 この昔の申込用紙の存在はどこの冒険者ギルドでも取り出せるようになっているが、お前さんの情報と統合されると、データは消滅して、お前のデータに上書きされる」


「なるほど」


「で、どうだ?多少なりとお前の財産が増えるわけだが…どうする?

 今のお前さんだと自由に使える金はまだ多くないだろう?」


「だから冒険者登録したんですけどね」


「ちなみにお前が古い方を放棄して手続きされれば、古い方の財産は全額ギルドの物になってしまう」


 それは嫌だな。死ぬ前とは言え、命がけでこなした依頼の報酬もあったし、あの人に手伝ってもらって遂行した仕事もあったはずだ。

 その成果を、これからも世話になるとは言えギルドに渡るのは釈然としないかも。

 金額の問題じゃなくて、権利として。


 …うんと言うしかないよね。


「わかりました、では、その昔のリーンのデーターを引き継ぎます」

「いいのか?ランクはSだったぜ」

「それは書き換えられますか?」

「制限付きで可能だ」

「どういう?」

「五年だけAランク以下にできる」

「Cランクにもできるか?」

「CランクならAランクまでひと月しか持たん」

 

「どういうことですか?!」

「その間に差を埋めろっていう事だ」

「意地悪過ぎる」


 CとAの差をひと月で自然に埋めるのは無理だ!

 冒険者ギルドに毎日これるわけじゃないし!


「わかりました、五年だけAランクで」

「しかし今のお前さんのタッパでAランクでやれるのか?」

 たしかに身長もちびっこい。


「一応見習い兵士としては剣術でA級をもらってます」

 とスキルカードをチラリと見せる。

 これは色だけで分かるから、フルネームを刻まれてるところをじっくり見られないようにさっとね。

「ほう金色じゃねえか、やはり前世の才能が…」

「今、毎日頑張って訓練しているのです」


「そう言うことにしておこうか。」

「本当に内緒にしてくれるんですよね」

「もちろんだ、そんな八歳のガキがあの財産をもってるってばれたら、殺されるぜ」

「でも死んだらまた財産は凍結されるんでしょ?」

「まあな」


「それにしてもおかしいなぁ、俺の前世は黒猫だったんだけどな」

「は?くろねこ?」

「うん。魔の森に住んでたんですよ」

「まじか…」


「なんてね」

 まじだけど。


「ひとつ、聞きたいんですけど」

「なんだ?」

「Aランクになれば魔の森に行けるんですよね」

「ああ、しかしパーティを組む必要はあるぞ。子供のうちは俺が許可しない」

「えー」

「成人(十五歳)するまで待つか、Sランクになれば単独でも行けるが」

「なるほど。

 魔王の郵便受けまでは?」


「魔王?…それならAランク単独でも」


「ならAランクにして下さい」


「なんだそれ…わかった用意しておくから一応戦闘訓練を…

 あ、今のリーンは魔法は使えるんだよな。

 こんなにカラフルなら」


 と水晶を示す。


「それって、それも測定されるの?」

「ああ、もう一人お前さんの連れのアズールだっけ、あいつも土属性の魔力が結構ありそうだが、お前さんのこれは全属性だろ」

「…そうです」

「なら戦闘訓練は確認程度で、冒険者の方のライセンスもAだ」


「でも、今は魔法は使ってはいけないのでは?」


「冒険者ギルドは治外法権なんだ。帝国の理想は無視して良い。

 ギルドとしては魔法を復活させたい。だが帝国の連中にばれない程度でだがな」


「はい」


「あと、魔の森だが、中に入り込むには、お前さん孤児とは名乗っていたらしいが、保護者がいるだろう、保護者じゃなければ一番上の上司。その恰好だと宮殿の中将だな」

「はい」

「その人の許可証がないとだめだからな」

「保護者のサインが必要なんですか?」

「もちろん!十五歳の成人までは必要だ」


 えーそんなの偽名使ってるのばれるじゃん!


 コンコンコン


 再びドアをノックされる。


「ギルマス、アズール様の戦闘試験がおわりましたよ。合格ですって」

 セリシャの声だ。


「うむ、では次はリーンだな」

「はい」

「戦闘試験の相手はもとSランクの冒険者で、今でもAランク以上の実力の指導者だ、遠慮なくやってやれ」


「煽りますねぇ」

「だってよ、あのリーンかもしれない奴の今の実力を見たいじゃねえか」

「皆には内緒にしてくれるんでしょ?」

「俺が見たいだけだ」


「しょうがないなぁ。わかりました」

「身体強化を使っても良いぞ」

「わかりました」

「やっぱり、使えるんだな」

「あ」


「もしも120年前のギルド証が手に戻ってきたら必ず提出してほしい」

「無理ですよ」

「流石に紛失しているか」


「だってこの国にいたわけじゃないんだから」


「ヴォーレスタ王国の王都の奥の間の森の手前に住んでいたという記録があるな」


「こんなガキが勝手にそこまで探しに行けるわけないでしょ。

 俺はいきたいんだよね、指名依頼してくれたら探せるんだけど」


「やはりそこに?あるんだな」


…しまった。


「絶対とは言えないよ」


「そうだな、120年前だからな」

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