表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/110

共闘

 握手しようとして手を出した格好のまま姫は固まっている。


 次の瞬間、ウォーレンの手を跳ね除けて、スラリと刀を抜き放つ。


「辞世の句はあるか?いや、ないな。あるはずが無い。私の胸を触ったのだからもうこの世に未練など無いに違いない。今すぐあの世に送ってやる」


 姫の後ろには怒りの吹き出しがゴゴゴゴと浮かび上がり、炎が立ち上がるのが見える。


 ただ、殺気を向けてこない相手には抜刀術までは使わないようだ。


「姫!どうどう!落ち着いて」


 俺は後ろから姫を押さえ付ける。


「何がドウドウだ!私は馬じゃない!離せ!奴を殺してお前も殺す!」


「え!?そういう場合奴を殺して自分も死ぬでしょう!?なんで俺まで殺しのターゲット!?」


「カカカ、やはりお前はおもしろい。あ奴とは全然違うな」


「そういやおっさん。さっきから気になってたんだけど「あ奴」って誰だ?」


 俺は姫を押さえながら聞く。


「ん~少し前になるか、ここで寝ていると妙な気配を感じてな。この2つ下の大きな街にいったのだが……」


 ウォーレンが妙な気配を感じ、7階層真都に赴いたときのこと。


 真都の中心にある鉄の城アイアンキャッスルの最上階の王の間。


 そこに一人の男が王座に座り、その周りには黒い服に身を包み角を生やした悪魔達がいた。


 その男の姿は俺の魂の形に似ていたと言う。


 ウォーレンには人の魂の形が見えるらしい。


「丁度お前の魂と同じ姿形をし、白いローブのようなものを身にまとっていた。だが直ぐに違うと解った。見た目とは違いその器の中にはこう蛆虫の湧いたような気持ちの悪い異質なものが詰まっているように感じゾッとしたわ」


 その後悪魔と戦いになったが、途中でその男が血を吐いて倒れ、慌てた悪魔達が空中に穴のようなものを空けてその男を何処かに連れていったという。


 そして、それと入れ替わりに穴から黒い刀を持ったミイラのような悪魔が現れ、そいつと1週間近く斬りあったがチョコマカと動く敵で決着が着かず、ムカついたので隙を見てこの王座を奪って逃げてきたらしい。


 本人曰く「逃げてきたんじゃない!戦略的撤退だ!」らしいが。


 王座奪ってきたって……、挑発しないでくれる?


「空間魔法、とうとう現れたか悪魔が……。その上俺に似た白いローブのようなものを羽織った男……」


 嫌な考えが頭をよぎる。『きっと……そうなんだろうな。しかしそれよりも……速すぎる。後数年は時間が欲しい』


「そういえばアンブロシウスよ。2年前は世話になった。して、約束の望みは決まったか?」


「望み?」


「言ったであろうが、お主に助けられた(封印を解いたもらった)時、望みを言えとな」


「ああ、そんな事言ってたな。俺がそんなのいいからって、急いで帰ったんだっけ」


「お前か~~~!?この男の封印を解いたのは!」


 じいさんが突然俺の胸倉を掴んで締め上げてくる。


「じいさん苦しいって!偶然!偶然だったんだよ!」


 2年前、俺はこの地下都市に来た時、この階まで一人で降りてきた。


 ネズミモニターが4階までしかサーチできないため、この5階だけでも確認しようと来てたまたまここで封じられていたウォーレンと出会い、たまたま念話で話ができて、たまたま手が滑って封印を解いてしまった。


 まあ、歴史の教科書に載り、各地に肖像画や銅像のあるような人物だから単純に蘇らせたらおもしろいかな~て思ったわけじゃない、決して・・多分・・。


「ええい!そんな事はどうでもいい。それより悪魔が持っていたという黒い刀というのはこれか?」


 姫は俺達を蹴り飛ばし、懐から大きな本のページを破いたような紙の束を出してウォーレンに見せる。


「それまだ持ってたの!?」


 そういえばあの後のドタバタで奪うの忘れてた……。


怒っていたはずの姫が話の途中から静かになったと思ったら黒い刀の事考えてたのね。




「チョット大変よ!?」


 アリスが階段の下を指差しながら叫ぶ。


 皆で急いで階段のほうに向かい、下を見る。


 殺気が消えた為か、どこからともなく500を越えるモンスターの軍勢が現れ、神殿を取り囲んでいた。



「黒い刀の話は後でゆっくり聞かしてもらおう」


 姫はそう言うと階段をゆっくりと歩いて降りはじめる。


「ふむ」


 ウォーレンは顎の無精髭を撫で、おもむろに俺達の横で床に手をつく。


 手から一瞬光が漏れたかと思うと、床からまるで木が生えるかのように巨大な大剣が現れた。


 両手剣グレートソードにしては長さも刀身の太さも巨大すぎ、人が振れるようなものとは到底思えないそれを軽々と片手で肩に担ぎ、ウォーレンは姫の横に続く。


「ち~と数が多かろう。半分引き受けた」


「構わんが、私の邪魔はするなよ」


「それはこっちの台詞だ。お嬢ちゃんは下がっててもいいぜ」


 2人は笑いながらモンスターの大群の前に立ちはだかった。


 これが、後に「蒼の剛騎士」「紅の柔騎士」と呼ばれる、俺に付き従う『双璧の騎士』二人の初めての共闘であった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ