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戦闘

 そういえば俺はあんまり戦闘シーンと言うものを語ったことが無い。


 といっても治安がいいから戦闘が少ないと言うわけではない。


 戦時中の名残で各地には山賊がはびこり、また魔物も横行し、国の機関だけでは処理しきれず、民間経営の冒険者ギルドがあるくらいだ。


 ただ戦闘はなんとなく殺伐として、あまり具体的に伝えてもおもしろくないからだが、今回はキチンとおもしろく伝えるように努力してみよう。


「山賊A~Cが前方に、D~Gが後方に現れた!


 右は崖、左は急斜面の森です。逃げ場は無い!!絶体絶命です!


 おお~っと、山賊は定番の「女と荷物を置いていけ」発言!誰に向かって言ってるのでしょうか!もしかして子供の私にですか!?


 しかし、ジャンヌ様(姫)は敵を無視した!


 完全に目に入ってない模様。歩くことすら止めません!


 山賊は女と子供の2人連れを見て、これは「鴨がネギしょってあるいてきた」と思っているに違いないでしょう。


 ここにきてあ~~っと、ジャンヌ様(姫)、山賊A~Cの間をまさか、まさかの素通り!


 慌てて山賊A~Cは回り込みます。遅れて後方の山賊D~Gもジャンヌ様(姫)を囲みます。子供である私は完全無視です!


 そしてここでなんと!「待ちな、ね~チャン」


 参りました!ここで伝家の宝刀、二束三文剣を抜き、弟でもないのにね~チャン発言!!」


 チチチチチチンと、金属が当たるような音が鳴る。


「あ、終わっちゃった。これからだったのにな~」


『五月蝿いんだけど』


『あ、起きてたのか?』


 アリスが念話で話しかけてくる。


 そういえば戦闘シーンが少なくて姫の戦い方もあまり解説してなかったな。


 姫は五歳にして免許皆伝の天才剣士だった。


 七歳にして戦場に出て数々の武勲を挙げている。


 俺が国政に関わり、帝国や他の国との戦争が硬直状態に陥るまでの五年間、その殆どを戦場で過ごしている。


 当然人を斬った回数は数知れず、切る音から地獄のナイチンゲール(小夜啼鳥)と呼ばれていた。


 ナイチンゲールと呼ばれる由来は先程の音。


 刀を抜く動作もそれを納める動作も見えず、ただ納められた時の鍔鳴りだけが鳥の鳴き声のように聞こえる。


 そう、姫の剣術は「抜刀術」なのだ。


 それも唯の抜刀術ではない。


 言ったように目にも留まらぬ速さで剣を収め、常に抜刀術のみで戦う「神速抜刀術」というものだ。


 抜いて斬りかかってくる姫ははっきり言って怖くない(抜いて切りかかって来るときは冗談なのである。まあそれでも十分に強いのだが)。


 姫の場合、鞘に刀が収まっている時の方が怖いのだ。


「ジャンヌ様(姫)どうするんですか?これ。通行の邪魔ですけど」


 まるで蝋人形になってしまったかのように動かない盗賊達。


「ほっておけばいい。こんな処を通る物好きも少ないだろう。それまでには野の獣達が片付けてくれるさ」


 歩いて先に行く姫を追いかける。


 少し離れた時、後ろ山賊の方から、何かボールの様なものが落ちたようなゴロゴロっという音が聞こえる。


 そしてホースから水が噴出すかのような音、俺はそこで耳をふさいだ。


 もう、なんかホラーみたいで怖いんだよ!姫の殺し方は!!


 返り血浴びないわけですよね……。




 さて、そんなこんなでやっと目的地近くまで来た。


 俺達が向かっているのは「ドワーフの地下迷宮」だ。


 元々はドワーフの地下帝国だったのだが、ドワーフ達が別の大陸に移住したため、残った都市が迷宮化したものだ。


 ちなみにエルフ達と違って、ドワーフの子孫達はこの大陸の各地にいる。


 今いるこの北の山脈から現在の帝国領土のあらゆるところに伸びている。


 全長は1000kmになると噂されるが定かではない。


 今回はここを通って帝国にいこうとしている訳だ。


 戦時中の国境を歩いて越えるわけにはいかないから当然だろ。


 それにここを通れば帝国の首都メタルブロスの近くに出れる。


 簡単に行き来が出来るように言ってるが、この迷宮の難易度は桁が違う。


 入り口付近ですら王都迷宮の30階層あたりのモンスターが出る。


 俺と姫だからここを通っていく方法を選んだのだ。


 さらに俺はお得意のネズミファミリアーで、この地下都市の誰も知らない道も知っていたし、安全地帯も把握している。


 そして、なんと帝国の地下迷宮に直接繋がる秘密の通路があるのだ!


 これは帝国のものすら知らない秘密の通路だ。


 しかし……なんか俺のファミリアーの紹介ってネズミばっかりだ……。


 やばい、タイトルがラットマスターになったらどうしよう。


 あれ、目から汗が……いや、きっと話せる機会があるさ。俺のすばらしきファミリアー達を(ネズミ以外の)。


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