手違い、勘違い
飛行船が王都に付いたのは、太陽が地平線に半分ほど沈もうとしている夕刻。
迎えの馬車と一緒に来ている、王宮付きの操縦士と交代する。
「さあ、少し遅くなったが帰るか」
ん?生徒達が皆、俺の側に集まってくる。
そしてアソロが一歩前にでて、
「せーの」
「「「先生ありがとうございました!そして今まですみませんでした!」」」
びっくりした。
何がびっくりしたかってアソロさんが初めて先生と呼んでくれたからだ。
理由が解らず俺が固まっていると、
「初めは私が先生に謝るって話を皆にしてたんですけど、途中から皆も一緒に謝るって話になって。
えと、なんか今まで意地張っちゃって、私の半分程の歳の子供に、私達の何がわかるんだって思ってて。
それで、えと、今までいろいろ失礼な事言って本当にすみませんでした」
頭を下げるアソロ。
その横にバーンズが立ち、
「俺も実はよ。先生の事心の中じゃ「ガキが先生ならちょろい」とか思っててよ。
でもなんか今日いろいろあってよ、ガキだったのは自分なんだって気付いちまってよ。
ドラゴンが山程出て来たときなんかよ。俺マジびびってたのに、先生はよまったく平気で、俺らが先生の側にいった時になんか、なんて~のかよ、こう、守られてるって安心感感じてよ。
あ~上手いこと言えね~」
さらに後ろからナルカさん。
「私達もだよ。同じ事思ってた。
それに今日先生は約束どおりに、魔法使いとはなんなのか、魔法使いの未来とはどうあるべきなのか、私達は見せて頂きました。
だから、それらの事全部ひっくるめて、改めてありがとうございます」
「「「ありがとうございました」」」
「いや、俺もいろいろと勉強させてもらった。人を教え導く難しさを改めて知ったよ。
至らぬ事も多々あるだろうが、これからもお前達と共に成長して行きたいと思う。
宜しく頼む」
「「「先生~!」」」
皆が俺にすがり付き、涙を浮かばせるものいる。
夕日を浴びながら先生と生徒達が寄り添う。端から見たらすごい感動シーンだろう。
しかし俺はそんな中、皆を優しく見つめながら心の中では「ブハハハ腹いて~金○先生かよ」と一人笑いを堪えるのに必死だった。
翌日
「え~ということで・・」
次の日の朝、S組教室で学園長が冷や汗をハンカチで拭いながら話始める。
側にいるのは俺と、見知らぬ眼鏡をかけた教師風の男。
「実はちょっと手違いがありまして、連絡はあったのですが事務のミスで伝わっておりませんでした。
それであらためてこちらに居ります方が、お身内の不幸事で着任が遅れていました三年S組の新しい臨
時講師のバルマ先生です」
バルマと呼ばれた男が軽く挨拶をする。
皆はまだ何を言っているのか理解できてないという顔で固まっている。
「そして、この4日間という短い期間ですが、Sクラスの担任をしてくれましたアンブロシウス先生ですが、実は手違いでして、今日から小等部2年に生徒として編入されることになりました」
俺は両方の頬に人指し指を当て、
「今日からよろちくね。先輩」
と、S組の皆を見ながら微笑んだ。
もの凄い音を立てて、S組生徒全員が四方八方にずっこける。
人生でこれほど派手に転ける人達を俺は見たことがなかった。
「しっかりしてアソロさん。大変、沫を吹いて白目を剥いて動きませんわ。誰か治療術師を~」「先生バーナーがずっこけ過ぎて窓ガラスを破って落ちてしまいました!」「アソロさんが口から大量の血を吐いています!!」
その日からしばらく、S組は出席者不足でクラス閉鎖となったのでした。




