交流
今回は短めです。
Dランクです。Dランクです。Dランクです。同じ言葉が何度も頭の中で、反響する。その度に、そんなことないよなーと、そこらへんの人に、俺のランクはいくつですかと聞きまくった。そしたら王女様から怒られた。悲しい。
目の前のスープをじっと見つめていると、がちゃんと前の席で音がなる。顔を上げると、クラスの問題児1、円城とうまだった。
「おい、どけよDランク。そこは俺たちの席だ。」
あまりにも失礼な物言い。普通は怒るはずだ。だが、俺は怒らなかった。何故ならDランクではないからだ。
「悪いけど、俺はDランクじゃないよ。ただ、君たちの席を占有して悪かったね。」
お盆を持って、立ち上がると、あからさまな嘲笑が飛んできた。
「はっ。心根までDランクってか。情けねぇ!おい、こうはなりたくねぇな。」
ぎゃははははと、仲間と共に、大きな笑い声をあげる。流石に、そう言われたら、こちらも黙っていられない。心根はDでも、スキルはDじゃない!と、言い返してやろうとすると、
「スキルのことを言うのはどうかと思うよ。彼も、僕らと一緒に戦う仲間じゃないか。」
後ろからお盆を持った前田が、円城をたしなめる。その注意に、ウンザリしたような態度をとる円城。
「流石、期待の勇者様!お優しいこって!」
あからさまな挑発まで仕掛ける始末。だが、前田はそんな挑発には、乗ろうとはしなかった。それが癪に触ったのか、円城は前田に詰め寄る。一触即発の空気。そんななかで、ガチャン!と大きな音がした。音の主は、誰かが食器を落とした音だった。
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
大人しそうな女子が慌てて片付けをする。それに毒気を抜かれてしまったのか、円城は前田から視線を外す。
「ちっ、シラけちまった。とりあえずは、許してやるよ。」
そんな言葉とともに、仲間と食事をはじめる。とりあえず、許されたらしい前田は、友人と合流し別の席へと移動して行った。
俺は、2人から隠れるように人混みへと紛れる。そして、先程この場を救ってくれた恩人へと声をかける。
「山室さん、さっきはありがとう。」
ショートカットと眼鏡が似合う、大人しい女子の山室さん。この子が、さっきの一触即発の状況を解決してみせたのだ。しかし山室さんは、それをを誇るどころか、恥ずかしそうに目を伏せるばかりだった。
「私はなにも。」
そう一言告げると、どこかへ走り去ってしまう。うーん。声をかけたのは、むしろ申し訳なかったか。そう反省する。今度、お詫びと感謝をしたいが、話しかけないことが、お詫びと感謝になりそうだな。残念な気持ちをいだきつつ、俺は食事を再開した。
食事を終えると、自室に向かう。大食堂から俺たちの寮というか、居住スペースは結構な距離がある。うっかりすると、迷いそうだ。そう考えてた矢先、1人の迷子を発見する。あからさまに、周りを見渡し、ウロウロと動く姿は、間違いなく迷子だった。あれは、同級生の1人、紺野ひかるだ。声をかける。
「なぁ、帰る場所わかるか?」
声に反応した紺野は、こちらを振り返り、怪訝な表情を浮かべる。
「君は、確かd」
と、声に出したところで制止する。その言葉は今は聞きたくなかった。というか、クラスメイトなのに、名前を覚えてないのかよ。と思ったが、どうやら予想は一部外れていたようだ。
「どうした?大黒屋?」
俺はどこの、遭難した商人だ。
「む、すまない。人の名前を覚えるのは苦手でな。」
すまないと言いながら、悪びれもせず、その長い髪をかきあげる姿は、格好良かった。というか、声に出てたらしい。
「ふむ、ならヒントを出そう。俺は、前田よりも出席番号が3つ後ろで、紺野さんよりも、6つわかいぞ。」
そう伝えると、考えるそぶりを見せる紺野。だが、ハッと顔を上げると
「うちは、出席番号が名前順じゃないから、そのヒントは意味ないぞ。」
と、真顔で伝えてくる。思ったより悩んでたあたり、ヒントを間に受けてたらしい。
「ごめんごめん。それより、自分の部屋わかる?」
と聞くと、困ったような顔をする紺野。どうやら迷子だったのは当たりらしい。
「だったら、大広間まで案内するよ。そっからなら、女子もいるだろうから、女子エリアまで案内してもらえるんじゃないかな。」
そう提案すると、顔を綻ばせる。うむ、魅力的だ。そんな下ごごろを秘めつつ、俺は大広間まで案内した。
紺野を大広間まで案内したあと、俺は自室に戻りティータイムを楽しんでいた。旅館みたいに、ここにはお菓子が常備されており、ベルを鳴らせば、メイドさんがお茶をいええてくれる。だが、流石に毎回来てくれるのは申し訳ないし、何より、他人をプライベート空間に入れることが、あまり受け入れられない。そのため、最初の一回はきてもらい、そのときにお茶の淹れ方を教えてもらった。そこからは、お湯と茶葉だけもらって、自分で淹れて、ティータイムを楽しんでいたのだ。そんな、癒しの時間を、邪魔する者が現れた。
コンコンと、扉を叩く音。癒しの時間を邪魔されたくないので、寝たふりをして、やり過ごそうとする。しかし、来客は諦めない。再度、扉を叩く。再びの無視。しかし諦めない。音は大きくなる。再び無視し、コッソリ扉に近づく。そして、扉が叩かれようと言うタイミングで、思いっきり扉を開く。すると、ノックの主は、部屋の中に思いっきり、転がり込む。イタタと、頭を押さえながら、恨めしげにこちらを見上げる。その姿に、大きく驚かされる。何故なら、不意の来客。それは王女だったからだ。
「ようこそ王女様。お茶はいかがですか。」
「お招きに預かり光栄です。いただきます。」
本場のカーテシーは見事だった。
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