59.紫色のキズナ
……うん。
髪の乱れなし。
制服も乱れなし。
そして。
渡すアレの準備もOK!
朝の支度なんていつもテキトーだったから、ちょっと時間かかっちまったな。
さあ、急いで出発しねえと。
アタシに勇気をくれた、あの大先輩たちに。
愛美とのこと。
キチンと報告してお礼を伝えなきゃーー!
◇◆◇◆◇
ピンポンパンポーン♪(百合子、学校へ到着っ)
よかった、まだみんな校舎から出てきてない。
えーっと……。
どこで待とうかな。
3年生にとっては門出の日だからな。
アタシを見て変にビビらせたら申し訳ない(苦笑っ)
あんまり目立たない場所は……っと。
とりあえず、あの木の辺りにでもするか。
ガヤガヤガヤッーー。
おっ、そうこうしてる内に3年生たちが出てきたな。
それじゃあ、ここでコッソリ待つとするか!
◇◆◇◆◇
ピンポンパンポーン♪(1時間後っ)
う〜ん……。
全然出てこねえな、先輩たち(汗っ)
みんなもう、ほとんど帰っちまったぞ。
おかしいな……。
校舎から出てくる人は全員くまなく確認したけど、先輩たちは絶対に見なかった。
……ま、まさか。
こんな日に限って、欠席とかっ⁉︎
フッーー(校舎から、ゆっくりと2人の生徒の影っ)
はっ!
だ、誰かでてきた!
あれは……。
間違いない、先輩たちだ!
よかった、ちゃんと来てたんだ!
タタタッーー(2人の生徒のもとに駆け寄りっ)
「先輩っっっ!」
「っっっーー⁉︎」
「よかった、会えて……」
「ま、松城……?」
「どうして、あなたが……」
スッーー(百合子、背中の後ろに隠していたモノを差し出しっ)
「卒業……おめでとうございますっ。浅宮先輩、北浦先輩ーー!」
「っっっーー!(天華&椿、驚きっ)」
サアァァァ……(3人の間を優しい風が通り抜けっ)
「は、花束……?(天華、目が点っ)」
「こんなことぐらいしかできませんが……アタシからの、お祝いの気持ちです」
「っ…………(天華&椿、見つめ合って固まりっ)」
あ、あれ?
先輩たち、受け取って……くれない?(戸惑いっ)
パサッ……(天華&椿、それぞれ花束を受け取りっ)
あっ……。
受け取って、くれたーー(肩の力が抜けっ)
「あ、ありがとう……まさか、私たちが誰かに祝ってもらえるなんて想像もしてなかったから……(天華、面くらった表情で花束を見つめっ)」
「っ……なにがイイか考えたんですけど、アタシの頭じゃコレぐらいしか思い浮かばなくて……」
「いや、私たちには十分すぎるぐらいだよ……なっ?(天華、椿に目をやりっ)」
「うん……嬉しい(椿、優しく微笑みっ)」
ホッ……よかった。
たぶん、ホントに喜んでくれてるっぽい。
……おっと。
安心してる場合じゃなかった。
お祝いだけじゃなくて。
大事なコト、早く伝えなきゃーー!
「せ、先輩!」
「ん?」
「あ、あの、アタシ……」
「おう」
「ア、アタシっ……!」
「……あん?」
スウゥッッ…………(百合子、大きく息を吸いっ)
「アタシ、結ばれたんですーー!!!」
「っっっーー⁉︎」
先輩たちのおかげで。
2人が、アタシの背中を押してくれたおかげでーー。
「愛美と……凛咲愛美と、恋人同士になれたんですっーー!」
「っっっーー!!!(天華&椿、目を見開きっ!)」
「ずっと、頭から離れなかったんです。先輩から『自分の気持ちに素直にな』って言われたコトーー(※第50話参照)」
「松城……」
「その言葉があったから、後悔しないように動けたんです。愛美を……デートに誘えたんですっ」
「っ……! やるじゃねえか、松城っ」
「思い通りにいかない不器用なデートでしたけど……最後は、包み隠さず自分の気持ちを素直に伝えることができました(※前話参照)」
ちょっと。
……いや。
てゆーか。
心底、欲望にまみれた変態的告白だったけど(汗っ)
「そしたら、愛美もアタシのことが好きだって言ってくれて……恋人同士になれたんですーー」
「そっか……よかった! よかったな、松城!」
「おめでとう……百合子!」
「先輩たちが願ってくれたおかげです。アタシの恋が、うまくいくようにってーー(※第50話参照)」
「なに言って……大げさなヤローだな」
「そんなことないですっ、絶対に……絶対に、そうに決まってます!」
「百合子……」
「誰がなんと言おうと、先輩は……先輩たちは……」
フッーー(百合子、凛とした笑みっ)
「アタシにとっての『英雄』ですっーー!」
「っっっーー!!!(天華&椿、思いもしない言葉に胸がズキュンっ⭐︎)」
サアァァァ……(再び3人の間を風が優しく通り抜けっ)
「英、雄…………そうか。もしそうだったら、少しでも力になれてよかった」
「ふふ……まさか、私たちが誰かの英雄になれる日がくるなんてね」
「はは……でも、会えてホントによかったです。なかなか出てこないから、もしかして欠席されたのかと」
「いや、さすがに卒業式をバックれたりはしねえよ」
「で、ですよね。でも……なにかあったんですか?」
「ん? ああ……そうだな。せっかくの卒業式だから、ちょっと2人だけで『秘密の思い出づくり』をしてた……なっ?♡(天華、意味深な笑みを浮かべて椿の顔を見やりっ)」
ドボフンッッッーー!(※注 百合子の頭の中が爆発しました)
ーーその後、百合子が昇天したのは言うまでもない。
……って。
ダメダメダメダメダメだぁぁぁっっっ〜!
あ、あまりに刺激的な想像をかき立てる言葉に、久しぶりに昇天してしまったじゃないか!
……つーか。
愛美以外で昇天されられたの、先輩たちが初めてだ。
や、やっぱり、この人たちスゴイ……(汗っ)
「もう、百合子の顔が真っ赤になってるじゃない。からかってイジめちゃダメよ」
「なはは……ワリィ、ワリィ」
うぅぅ……。
なんか、先輩たちが急に色っぽく見えてきた。
きっと、この2人。
あんなコトやこんなコトまで、メチャクチャ経験豊富に違いない……(生つばゴクリッ)
はうぅぅ〜!
尊敬します、大先輩!
アタシもいつか、必ずその領域にたどり着いてみせますぅぅぅ!
「じゃあ……私たちはソロソロ行くわ。ありがとな、松城。お前のおかげで最高の卒業式になったよ」
「アナタたちなら、きっとなにがあっても大丈夫。愛美を……大切にね」
「……はいっ!」
ザッーー(天華、百合子の肩をポンと叩いて椿と立ち去りっ)
ありがとうございます、先輩。
絶対に、愛美を幸せにします。
……いや。
愛美と、幸せになってみせます!
……あ。
つーか。
大事なコト、訊き忘れてた!
「先輩っっっ!!!」
ピタッーー(天華&椿、足を止めて振り向きっ)
「なんだよ?」
「あ、えっと、その……」
「あん……?」
「いや、あの……ですね」
「っ…………?(天華&椿、キョトンッ)」
「あ、あのっ……どっちが浅宮先輩で、どっちが北浦先輩なんですかっっっ⁉︎」
「…………へっ?(天華&椿、時が止まりっ)」
シ〜ンッ…………。
……ズ。
ズコォォォッッッッッッーー!!!(天華&椿、豪快にひっくり返りっ!)
「マ、マジでっ……? 今さらそこっっっ⁉︎(天華、愕然っ)」
「百合子……区別、ついてなかったのっ⁉︎(椿、頬がピクピクッ)」
「は、はは……すいません(百合子、苦笑い&後頭部をポリポリッ)」
「ま、まあ、松城らしいっちゃ松城らしい……か?」
「そう……ね」
ふみゅうぅぅ……。
す、すいませ〜ん!(百合子、シュルル〜と縮みっ)
でもっ。
これだけは訊いとかないと、さすがに気持ちわるいんでお許しを〜!(汗っ)
「はぁ……1回しか言わねえから、よく覚えとけよ。赤髪の私が浅宮天華だっ」
「……で、青髪の私が北浦椿」
「あ、ありがとうございます! 覚えました!(百合子、背筋ピシィ&敬礼ポーズッ)」
ふふっーー(天華&椿、優しく笑いっ)
「……なんか、ホント憎めないヤツだな」
「ふふ……最後の最後でカワイイ後輩になっちゃうとか、ズルいにもほどがあるわね」
スッーー(天華&椿、百合子に向けて軽く手を振りながら笑顔で立ち去りっ)
先輩……。
どうぞ、お元気で。
またいつか会えた時には、お互いの恋バナに花を咲かせたいです!
そのために……。
アタシも、愛美とたくさんの思い出をつくっていきます!(天華&椿の背中に向けて、深々と礼っ)
……さあ。
あとは。
いよいよ。
運命のクラス替え。
2年生の始業式を、迎え撃つのみーー!
ーー天華と椿の卒業を見届けた百合子。
そして。
時は流れ、ついに2年生の始業式へーー。
百合子の不器用でピュアな初恋ストーリー。
次回、いよいよグランドフィナーレ!




