57.想い描く未来へ(気持ちに素直に編)
1年間、楽しかったのがアタシのおかげ?
ど、どういうことだ……?
「私ね、見てのとおり陰キャだから、これまでずっと友達のいない地味な学生生活を送ってきたの」
えっ……?
「私はもともと1人でいるのが苦になるタイプじゃないから、別にそれで問題はなかった。でも、密かに思ってたんだ。飾らない自分で一緒にいられる友達ができたら、どんなにステキな毎日を送れるだろう……って」
ま、愛美……。
「だから、実は高校生になったらキャラ変しようと企んでたんだ。常に明るい表情をつくり、話しかけられやすいオーラを出そう……って」
そ、そんなこと考えてたのか。
今のままで、十分ステキなのにーー。
「でも、その企みもアッサリ失敗に終わっちゃた。だって、初めが肝心なのに入学式の日をカゼで休んじゃったんだもん。次の日、すでに仲良さそうに話してるクラスメイトたちを見て思ったの。ああ、もう私の入るスキはないんだな……って」
……そうだったんだ。
愛美、あの時そんなことを思ってたのか。
「また陰キャとしてボッチな高校生活を送ることを覚悟したつもりだった。でも……それを見事に覆してくれたのが、百合ちゃんだったの」
ア、アタシーー?
そこで、アタシ登場っ?
「ファーストコンタクトは今でも鮮明に覚えてる。居眠りして机に垂らしたヨダレを吸い取ろうとする百合ちゃんを見て、なんて一生懸命で可愛い人なんだろう……って、思わず笑っちゃった(※第1話参照)」
うぐっっっ!
そ、それは思い出したくない黒歴史なワケで……。
「そのあと、私が渡したポケットティッシュを使い果たした百合ちゃんは心から謝ってくれたでしょ? その瞬間にわかったの。最初はクールで近づきがたい雰囲気を感じたけど、この人は本当にピュアで優しい人なんだってーー」
へっ…………?(カアァァァ)
「だから、私は刹那に決心したの。この人と仲良くなりたい。たとえ嫌われても失敗してもイイから、後悔しないように私から全力でアプローチしてみよう……って」
そ、そうだったの……?(照れっ)
「でも、慣れないことを無理しちゃダメだよね。会話すらほとんどしてないのに、いきなり『百合ちゃん』なんて呼んで……得体の知れない女子からそんなゼロ距離アプローチされて、百合ちゃんも困ったよね」
い、いや。
むしろ。
それによって、アタシの鋼鉄のハートは見事なまでに撃ち抜かれたワケで(苦笑っ)
「それでも、百合ちゃんはそんな私を避けることなく接してくれた。それが、とても嬉しかったーー」
な、なに言ってんだよ。
それは、こっちのセリフだっつーの……。
「お互いに口数が多いほうじゃないから、挨拶以外に言葉を交わすことはほとんどなかったけど……でも、隣りに百合ちゃんがいてくれるだけでよかったんだ。それだけで心の中が満たされて、毎日が本当に楽しかったんだ! だから……本当に、ありがとう(愛美、目に涙を浮かべながらニコッ)」
バ、バカッ……お礼を言うのはアタシのほうだ。
愛美のおかげで、どんだけ毎日が楽しかったか……。
「ねえ、百合ちゃん……」
「あ、あん?」
「もし……2年生になってクラスが別々にわかれても、ずっと……ずっと、友達でいてね?」
「っ…………!」
「学校ですれ違った時は、声をかけてね?」
「っっっ…………!!!」
「1秒でもイイから……毎日、アタシの顔を思い浮かべてねーー?(愛美、涙が溢れっ)」
……プツンッーーーーーーーー。
「……ふ」
「っ……?」
「ふっ…………!」
「っっっ……?」
「ふっっっ…………!!!」
ガバッッッッッッーー!(百合子、立ち上がりっ)
「ふざけんじゃねえっっっっっっっっーー!!!」
「っっっーー!!!(愛美、ビクゥンッ)」
「これからもずっと友達でいろ……? 学校ですれ違ったら声をかけろ……? 1秒でもイイから毎日顔を思い浮かべろ……? そんなこと……そんなこと、できるワケねえだろっっっ!!!」
「えっ……⁉︎(愛美、ショックで目の色が薄れっ)」
「そんなんで……そんなんで、足りるワケがねえっつーのっっっ!!!」
「っっっーー⁉︎」
「アタシは、これからもずっとお前と一緒にいたいっ!」
「えっ……?」
「色んなトコにデートに行って、手をつなぎながら歩きたいっ!」
「っ……!」
「オシャレなカフェめぐりをして、他愛もない話をしながら笑い合いたいっ!」
「っ……!!」
「親がいない休みの日は、コッソリ家で秘密のお泊まり会をしたいっ!」
「っ……!!!」
「そんなお泊まり会の夜は、ファーストフードやお菓子をパクつきながらパジャマパーティがしたいっ!」
「っっっ……!!!」
「そして! お風呂タイムには互いのカラダにたっぷり泡をつけて、あんなトコやこんなトコまでイヤらしくトロけるように洗い合いたいっ!」
「……え?(※注 愛美さん、百合子の発言がおかしくなったことに瞬時に気づきました)」
「さらに! お風呂からあがってベッドインしたら、手をつないでネットリ濃厚なおやすみのディープキスをかわしたいっ!(※注 なにかのスイッチが入った百合子さん、もう止まりません)」
「……え、えっ?」
「そんでもって! 意識がぶっ飛びそうなほど恍惚の世界に浸りながら、それはもう超絶エロティックにカラダを貪り合いたいっ!」
「え、えっ、えぇぇっっっ……⁉︎」
「最終的に! 朝は『おはよう、百合ちゃん♡』という愛美のキスで目覚めて、そのまま裸エプロンで味噌汁をふるまってほしいっ!」
「はっ……はぇぇぇっっっ……⁉︎」
「そして、そして! シメのデザートは! 裸エプロンの愛美を机の上に押し倒し、あんなトコロやこんなトコロまでじっくりと味わい尽くしたいっ!」
「っっっ…………(愛美、頭から煙がボフンッ!)
「とにかくーー! アタシは愛美のことが世界で誰よりも大大大大だぁぁぁぁぁぁい好きだから、これからずっとアタシの嫁として、一生そばにいろぉぉぉぉぉっっっっっっーー!!!!!!」
「っっっーーーー(愛美、真っ赤な顔で呆然と百合子を見つめっ」
シ〜ンッッッ…………。
あ。
や。
……………………。
やっ…………!
やあっっっちまったぁっっっっっっっっっーー!!!
まっ、愛美があまりにも切ないお願いしてくるもんだから、抑えていた感情がつい爆発してしまったぁぁぁっっっ!!!!!!
しかもっ!
後半は、もはやただの欲望丸出しな超ド級の変態発言じゃないかぁぁぁっっっ!!!
お、終わった……。
もう、完全に終わったーー。
愛美から、120%嫌われてしまった。
というか。
100億光年ぐらい離れた場所まで、思いっきり引かれてしまったーー(ガクブルッ)
ヤ、ヤダッ……。
こんな、こんなヒドイ終わり方なんてヤダよっ!
で、でも……。
だからといって。
もう、どうしようもないーー。
「バ………」
……っ?
「バッ………!」
へっ?
ガバッッッッッッーー!(愛美、立ち上がりっ)
「もうっ、バカァァァッッッッッッッッーー!!!」
「ひぃぃぃっっっっっーー⁉︎(百合子、ビクウッ)」
「夕陽が浮かぶ海っていう最高にロマンチックなシチュエーションなのに、なんでそんなチカラ任せの乱暴な告白するのっっっっっっ⁉︎」
はいぃぃぃっっっ!!!
すすっ、すいませぇんっっっ!!!(百合子、愛美の勢いに押され直立不動でビシィィッッッ!)
「なのに……なんでっ?」
「え?」
「なんで……なんで、こんなストレートに熱い想いが突き刺さってくるのーー?」
「……へっ?」
「だから……だから、百合ちゃんは酸っぱくて甘いんだっっっ!!!(※第25話参照)」
「す、酸っぱくて、甘い……?」
「私だって……」
「っ……?」
「私だって……!」
「は、はぇ……?」
「私だってーー! 百合ちゃんのことが世界で一番、大大大大大大大大大大大大大大大大だぁぁぁい好きなんだからぁぁぁっっっっっっ!!!!!!」
「っっっーーーー(百合子、ポカ〜ンッ)」
「もちろん……LOVEの対象でって……コト(愛美、過去イチの照れ顔で涙ポロリッ)」
……え。
……………………。
えええぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっっーーーー⁉︎
ーー勢い任せのドエロ告白にまさかのアンサーっ! 想いを解放し合った百合子と愛美、デートはついにクライマックスへ……!(次回へ続くっ)




