54.想い描く未来へ(エアバトラー百合子編)
「さぁ、気を取り直して次いこっか」
はぁぁぁ……次か。
ここまで、散々な結果のオンパレード。
アタシがこんなにゲーム音痴だったなんて、さすがにちょっと想定外だった(チーン&泣っ)
いったい、どんなゲームならカッコイイ姿を見せられるんだ……トホホ。
「ねえ、百合ちゃん。次はあれをやってみない?」
「え?」
「ほら、あれ!(愛美、前方を指差しっ)」
「あぁ……エアホッケーか?」
「うん! 私ね、前から1回やってみたかったんだ。テレビのバラエティ番組とかでやってるのを見てたら、すごく楽しそうだな〜って」
なるほど、あれもゲーセンの定番だよな。
よし、愛美の希望ならドンとこいだぜ!
「ああ、イイぜ。やってみるか」
「やったあ、楽しみ!」
はわわぁ……。
無邪気に喜ぶ妖精の少女。
その光景だけで、ご飯100万杯はイケるぜ〜(悦っ)
「ねえ百合ちゃん、早く、早く!」
「あっ、ちょっ、ちょっと待てって!」
ふきゅうぅぅぅ〜!
今アタシ、まるで恋人のように急かされちゃった!
あぁぁぁんっ!
もうっっっ!
待ってよ、愛美ひぃぃぃ〜んっ♡(ルンルンルンッ)
◇◆◇◆◇
ピンポンパンポーン♪(百合子&愛美、エアホッケーのゲーム台に到着っ)
「わぁ……このパックを打つ丸いヤツ、1回持ってみたかったんだ!」
「へぇ、そうなんだ」
……と、スカして返しつつも。
こんな些細なことで感動してる愛美が可愛いすぎるよぉぉぉ!
あぁ……。
アタシもあのパックを打つ丸いヤツになって、愛美に強くヤラしく握られたいぃぃ〜!(※注 百合子は今日も元気いっぱい変態です)
「先に11点を取ったほうが勝ちだって。じゃあ、早速やってみよっ!」
「お、おう」
チャリ〜ンッ(百合子&愛美、100円を投入っ)
「よ〜し、それじゃあいくよ。それ!(カンッ)」
「おっと……それっ(カンッ、ガコンッ)」
「あぁっ!」
え。
待って。
……入った?
…………。
入っちゃったぁぁぁっっっ⁉︎
「はわわぁ……(愛美、汗っ)」
い、いや、待って!
なんか、一撃必殺のカウンター炸裂みたいな感じになったんですけどっ⁉︎
ち、違うんだ愛美!
アタシはただ、テキトーに打ち返しただけなんだ!
お、おっかしいなぁ……。
まっすぐストレートに打ち返したのがいけなかったのかっ?
「よ〜し、今度こそは……それ!(カンッ)」
「おっとと……それっ(カンッ、バンッ、ガコンッ)」
「あぁんっ!」
ひゃあぁぁぁっっっ!
ま、また1発で決まったぁぁぁっっっ!
ななな、なんでっ⁉︎
今度はストレートじゃなく、壁に当てて返したのに!
か、角度っ?
当てた角度が、偶然に絶妙なトコをついたのか⁉︎
なんか、これじゃあアタシが容赦なく無双してるみたいじゃねえかぁ〜!(泣っ)
「う、う〜ん……次、いくね?(カンッ)」
わわっ、ちょっと待って!
まだ返し方の分析ができてないのに!
えっと、ええっと……。
とりあえず、さっきと逆側の壁に当てて返そう!
「それっ(カンッ、バンッ、ガコンッ)」
「はうぅっ……!(愛美、愕然っ)」
ひぃぃぃっっっーー!
まっ、まさかの必殺カウンター3連発ぅぅぅ!
な、なんでっ?
どうしてこうなっちゃうの⁉︎
なぜ、こうも見事に1発で決まっちゃうんだよぉ〜!
「っ…………(愛美、シュンっ)」
ままま、愛美ぃぃぃっっっーー!
違うんだ!
これは、なにかの間違いなんだぁぁぁ!
つーか。
もしかして、アタシってばエアホッケーにセンスがあったんですかっっっ⁉︎
「むぅぅ……ていっ!(カンッ)」
おわあっ!
言ってるそばから次が来たぁぁぁ!
えっと、どうするっ?
どうするぅっっっ⁉︎
はっーー!
そうだ、左手で返そう!
利き手じゃねえほうなら、デタラメなトコロに打ち返せるはずだ!
「それいっ!(カンッ、バンバンバンバンバンッ、ガコンッ)」
「はっ、はうぅぅんっっっ……!」
……ま、待って。
もう。
色々と。
ちょっと。
…………。
待ってぇぇぇっっっ〜!!!(号泣っ)
いったい、なにをどうすればラリーになるワケっ?
アタシの両手、そんなに神がかってるのぉぉぉ⁉︎
……いや。
違う。
これは。
アタシのエアホッケーセンスがすごいのではなく。
おそらく。
愛美が……。
愛美が、エアホッケー下手すぎるんだぁぁぁっっっ!
な、なんてことだっ……。
初めて愛美からやりたいと言ってくれたゲームなのに、これじゃあ全然楽しんでもらえないぞ⁉︎
ち、力を抑えてゆるめに返すか?
……いや、ダメだ。
そんなことしたら、手加減してるのがバレバレで愛美のプライドを傷つけるだけだ。
でも。
だったら、どうすればイイんだよぉ〜!
あぁっっっ!
誰か教えてぇぇぇっっっ〜!!!
◇◆◇◆◇
ピンポンパンポーン♪(エアホッケー、終了っ)
…………。
え〜。
結果。
ですね。
対戦スコア。
11対0ぉぉぉぉぉぉっっっっっっ〜!(大号泣っ)
や、やれることはやったんです!
打ち返す瞬間に目をつむるとか!
パックの端っこを狙って打つとか!
やれることはやったんですっ!
でも。
全部、ゴールに吸い込まれたんですぅ〜!(絶望っ)
「は、はは……(愛美、呆れながら遠い目っ)」
ままっ、愛美ぃぃぃっっっ!!!
やばいっ、これはやばいぞ!
愛美のテンションが、今世紀最大級に下がっている!
ど、どうするっ?
どうしたらイイ⁉︎
とりあえず、なにかフォローしなければ!
「な、なんか……意味わかんねえな、このゲームっ」
「へっ……?」
「あっ⁉︎ いや、ほら……なんか、こう……色々と」
「…………あぁ……」
シ〜ン…………。
えぇ〜と。
これは。
……うん。
…………。
フォロー、大失敗の巻ぃぃぃっっっ〜!!!
なんてことだっ……。
早くフォローしようと焦るあまり、自分でもワケわかんねえこと言っちまった!
愛美も『え……???』みたいな顔してるぅ〜!
はうぅぅ……。
なんでっ?
なんで、今日はこんなに全部が空回っちゃうんだよぉ〜(泣っ)
「はは……ホント、意味わかんないね……私も」
Noォォォォォォォォォウッッッッッッ!!!
ち、違うんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ〜!
やばい!
もう、すべてがやばいっ!
これ以上なにか言ったら、取り返しがつかないほど変な空気になっちまう!
ここは、ほかのゲームに強制移行だ!
「こ、今度はあっちのほうに行ってみるか? なんか楽しそうなヤツがあるぞ⁉︎(焦っ)」
「えっ? あぁ……うん」
ーーまさかのホッケー無双を果たした百合子。愛美のテンションを復活させるべく選んだゲームとは……⁉︎(次回へ続くっ)




