52.想い描く未来へ(ミッション⭐︎スタート編)
ふぅ……レーシングゲームか。
まあ、アクセル踏んでハンドル切ればどうにかなる。
落ち着いてやれば大丈夫だ!
「わあ、コレで撃つんだね」
え。
撃つ?
…………(百合子、謎なフレーズに愛美をチラッ)
「結構ズッシリしてるんだね、コレ(愛美、ショットガンを両手で握りっ)」
えええぇぇぇっっっーー⁉︎
愛美さん、なんでそんな物騒なもん持ってんのぉ⁉︎
はっーー!
そ、そうか……。
アタシはレーシングゲームを指差したが、愛美は隣りのガンシューティングゲームだと勘違いしたんだな?
ま……まあ。
なにしたって一緒だから、別にそっちでもイイけど。
「ヴゥゥゥ……(ガンシューティングのゲーム台から、オドロオドロしい声っ)」
ピクウッーー!
な、なにっ?
今の……(百合子、ゲーム台の画面をチラッ)
「ヴゥアアアアッッッ!(そこに、おぞましい姿のゾンビがアップでドォォォン!)」
ピギィィィィィィィィィィッッッッッッーー!!!(百合子、恐怖で凍りつきっ!)
まままっ……待ってえっっっ!
コレ、ゾンビを撃ち倒す系のヤツゥゥゥッッッ⁉︎
マ、マジか……!
よりにもよって、アタシが唯一苦手なジャンルじゃねえか!(※注 百合子はお化けが超苦手な可愛い女子なのだ! 第18話、第20〜21話参照)
ど、どうするっ?
愛美はすでにショットガンを持って臨戦態勢だ!
今さら、実は隣りのレーシングゲームだったなんて言える雰囲気じゃない!
……お、落ち着け。
大丈夫だ、ここはお化け屋敷じゃない。
店内はガンガンに明るいし、流れるBGMも陽気。
周りだって、笑い合う人間たちであふれてる。
そう。
したがって。
怖がる要素は一切ないーー!
このゾンビだって、所詮は画面の中から出て来ない。
よし、イケるぞ!
やってやるんだ、アタシ!
チャリン、チャリ〜ン(百合子&愛美、それぞれ100円を投入っ)
「わあ……なんか、ドキドキするね!」
「そ、そうか?(汗っ)」
ドキドキドキッ……!
どこだ?
どこから出て来やがるっ?
「ヴゥアアアア……(画面奥側からゾンビ出現っ)」
ひいぃぃぃぃぃぃっっっーー!
こ、こっちに来るぅぅぅ!(※注 ここからは、混乱MAXで奮闘する百合子をお楽しみください)
バァァァンッ! バァァァンッ! バァァァンッ!
バァァァンッ! バァァァンッ! バァァァンッ!
バァァァンッ、バァァァンッ、バババァァァンッ!
あ、当たったっ⁉︎
ちゃんと当たったのかっ⁉︎
つーか、今のヤツは倒せたのかっ⁉︎
ヤバい、画面の中だけでもやっぱり怖いよぉぉぉ〜!(涙目っ)
「ヴゥアアアア……」
ひいぃぃぃぃぃぃっっっーー!
また来たぁぁぁ!
バァァァンッ! バァァァンッ! バァァァンッ!
バァァァンッ! バァァァンッ! バァァァンッ!
バァァァンッ、バァァァンッ、バババァァァンッ!
く、来るなぁぁぁ!
来るんじゃねえっっっ〜!
カチッ、カチッ、カチッ。
あ、あれ?
ちょっと?
なんでっ⁉︎
なんか、急に弾が出てこなくなったんですけどぉ⁉︎(※注 むやみやたらに撃ちまくったため、早くも百合子のショットガンは弾切れしました)
ままっ、待ってぇぇぇ!
コレ、どうしたらイイのぉっっっ⁉︎
このままじゃ、ゾンビにやられちゃうぅぅぅ!
弾っ、弾っ、弾ぁっっっ!(百合子、号泣しながらショットガンの引き金をカチカチカチッ!)
はっーー!
そ、そうだ!
もう1回、100円を入れたらイイんだな⁉︎
それで弾が補充できるシステムなんだなっ⁉︎
い、急げ〜!(百合子、100円を手に取りっ)
「あ、あれっ? 百合ちゃん、なにしてるのっ?」
「えっ⁉︎ ああ、弾が切れたから補充する!」
「まま、待って! それ、100円入れなくても補充できるよ⁉︎」
「へっ?」
「ほら、こうやって……」
ガシャコンッ(愛美、ショットガンの銃口を下に向けて振りっ)
え?
「見て、弾の残量ゲージが満タンになったでしょ?」
……あ。
ホントだ。
「ゲームスタート前の説明画面で流れてたんだ。簡単でしょ?」
…………。
マジか。
……………………。
は、恥ずいぃぃぃぃぃぃーー!(超赤面っ)
ゾンビの恐怖に気を取られて、そんなもん全然見てなかったあぁぁぁ〜!
それにっ。
愛美のほうに教えてもらうとか、ゲーセンで遊び慣れてないことがモロバレじゃねえか!
あうぅぅぅ〜!
な、なにやってんだよアタシィィィ!(泣っ)
「ヴゥアアアア……」
ひいぃぃぃぃぃぃっっっーー!(ビクウッ!)
で、出たぁぁぁぁぁぁ!
たっ、弾っ、弾っ、弾ぁっっっ!(百合子、ショットガンを必要以上にブンブンブンッ!)
「ゆゆ、百合ちゃん⁉︎ もう、補充できてるよっ!」
あああぁぁぁっ〜!(ガシャコンッ、ガシャコンッ、バァァァンッ! バァァァンッ!)
ああああああああぁぁぁっっっっっっっっっ〜!!!(ガシャコンッ、ガシャコンッ、バァァァンッ! バァァァンッ! バババァァァンッ!)
◇◆◇◆◇
ピンポンパンポーン♪(ガンシューティングゲーム、終了っ)
「はあぁぁ〜、スリル満点だったね! 私は26体しか倒せなかったよ……百合ちゃんは?」
「え……? あ、ああ……17……体」
はぁぁぁ……。
まさか、1発目からこんなミットもない姿を見せてしまうなんて。
やっぱりゲーセンなんてやめときゃよかったかな……(ショボンっ)
……いや。
いやいやいやいやいやっ。
なにをヘコんでんだ、アタシ!
今日のデートは始まったばかりーー。
まだ、いくらでも挽回できるチャンスはある!
そう。
100点からどんどんマイナスされる減点方式ではなく、0からプラスを積み上げていく加点方式でいけばイイんだ!
よし、そう思うと希望が湧いてきたっ。
松城百合子、こっからエンジンをかけていくぜっ!
「そしたら、次はなにしよっか?」
ふふ、愛美さん。
次のゲームはもう決まってますよ。
それは……。
「じゃあ、コレでもしてみるか?」
「わあ……レーシングゲームだね」
そのとおり!
本来、まずプレイするのはコッチのほうだったんだ。
疾走感あふれるドライビング・テクを見せつけて、アタシのカッコイイ姿をお届けするぜ!
チャリン、チャリ〜ン(百合子&愛美、それぞれ100円を投入っ)
「わあ……なんか、ゲームってわかっててもドキドキしちゃうね!」
「そ、そうか?」
ヤ、ヤバいっ。
なんか、やっぱりアタシも緊張してきた!(汗っ)
……って。
な、なに気後れしてんだよ!
アタシはこれからサーキットの星になるんだ!
よぉし、イッチョぶちかますぞ!
3、2、1……GO!!!(レース、スタートッ)
ええっと、ええっと……。
あ、あれ?
なんか、この車フラフラしてねっ?(※注 緊張のあまり、ハンドルを握る両手が左右に震えていることに百合子は気づいておりません)
ど、どうなってんだ、クソ……!
おっと、ここで左にカーブだ。
よし、ハンドルを左にきれ!
ズザザアァァァ、ガシャアンッッッ!(百合子の車、コースアウトしてフェンスに衝突っ)
おわあっ!
な、なんじゃ、こりゃあっっっ⁉︎
そんなに曲がるほどハンドルきってねえだろっ!
い、いったいどうなってんだ⁉︎
ウイィィ〜ンッ(百合子の車、強制的にコースへと戻されっ)
うぐぅぅぅ……。
いきなり遅れをとってしまった。
早く先頭集団に追いつかなければ!
おっと、今度は右カーブだっ。
よし、さっきより優しめにハンドルをきるぞ……!
ズザザアァァァ、ガシャアンッッッ!(百合子の車、コースアウトしてフェンスに衝突っ)
な、なにぃぃぃっっっ⁉︎
今度は、ほとんど曲がらずに真っ直ぐフェンスに突っ込んだあっっっ!
どど、どうなってんだっ⁉︎
普通にきってもダメ、優しくきってもダメッ!
ちょ、ちょっと、メーカーさんよぉ!
あんたんとこのゲーム、故障してんじゃねえのかっ⁉︎(※注 愛する女の横で焦るあまり、難クセをつける百合子を愛でてやってください)
ウイィィ〜ンッ(百合子の車、強制的にコースへと戻されっ)
な、なんか、早くも心が折れそうなんですけどっ!
ヴォ〜ンッ……ズザザアァァァ、ガシャアンッッッ!(百合子の車、コースアウトしてフェンスに衝突っ)
はわわわわぁ!
ヴォ〜ンッ……ズザザアァァァ、ガシャアンッッッ!(百合子の車、コースアウトしてフェンスに衝突っ)
ふっ、ふみゅうぅぅ……!
ヴォ〜ンッ……ズザザアァァァ、ガシャアンッッッ!(百合子の車、コースアウトしてフェンスに衝突っ)
ふっ……ふぇぇぇ〜んっっっ!(号泣っ)
ふぇぇぇ〜んっ……。
ふぇぇん……。
◇◆◇◆◇
ピンポンパンポーン♪(レーシングゲーム、終了っ)
「ふぅぅぅ〜、なんとかゴールできたよ! 私は8位かぁ、百合ちゃんは?」
「…………(百合子、生気のない顔で遠い目っ)」
「え?」
チラッ……(愛美、百合子のゲーム台画面を確認っ。そこに『Timeup! retire』の文字っ)」
「はっーー!(愛美、思わず両手で口を覆いっ)」
「ふ、ふふふっ……(※注 百合子は壊れました)」
「あぁぁ〜、そそ、そっかあ! なんか、難しかったもんねぇ! あれっ? 私の8位って……これ、バグじゃないかなぁ⁉︎(愛美、必死のフォローっ)」
「……イイんだよ、別に。もう……イイんだ(百合子、なにかを悟ったようにすがすがしい表情っ)」
「ゆ、百合ちゃん……?(愛美、汗ダッラ〜)」
カッコイイ姿をお届けするつもりだったのに。
サーキットの星になるはずだったのに。
しかしながら。
その結果は。
まともにコースも走れず、時間切れでリタイアーー。
そして。
愛美に気をつかわせて、全力でフォローさせる始末。
……終わった。
そう。
今、すべてが終わったんだ……(百合子の魂、カラダから抜けっ)
『ダメだっっっ!』
はっーー!!!
だ、誰だっ?
『アタシは、お前の中のもう1人のアタシだ』
な、なにいっ⁉︎
アタシの中のアタシ……。
つまり、『リトル百合子』だとっ?
『デートはまだこれからだってのに、なにを勝手に諦めてんだっ?』
そ、そんなこと言ったって……。
こんな醜態をさらしちゃあ、もうカバーのしようがねえよ。
『バカヤロウッ! お前は0からプラスを積み上げていく加点方式でいくんじゃなかったのかっ?』
そ、それは……。
でも、アタシには無理だよ。
思ってた以上に、全然ゲームセンスがないんだっ。
『関係ねえっ!!!』
っーー!(ビクウッ)
『……その程度だったのか? 人間に興味がなかったお前のハートを射抜き、面白みのない毎日をハッピーなものに変えてくれた愛美への想いはーー』
ち、違う……!
愛美を想う気持ちは、宇宙よりも果てしなく大きい!
『……なら、やるんだ。こんなトコロで諦めたって、お前の欲しいモノは手に入らないぞ?』
…………。
ふっ……。
わかったよ、リトル百合子。
シュルンっ!(百合子の魂、カラダの中に戻りっ)
そうだな。
まだ、なにも終わってなんかいない。
アタシは、今日のデートで愛美とイチャイチャでラブラブな深い関係になるんだ。
そのためならっ!
たとえ、どんなに打ちのめされようと何度だって立ち上がってやる!
スクッーー!(百合子、力強く立ち上がりっ)
「ゆ、百合ちゃん?」
「……次、いこうぜ」
「あっ……! うんっ!」
オンナ、松城百合子。
こっからがホントの本番スタートだっっっ!
ーーリトル百合子の助けでなんとか復活したリアル百合子。果たして、今後の展開やいかに⁉︎(次回へ続くっ)




