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アタシの愛美に手を出すな!〜百合子が初恋した話〜  作者: 碧木美月


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50/60

50.キケンな先輩(テンツバ編)


……さて。


やって来たぜ、3年生の棟。

でも、こっからどうすっかな。


なんせ、()()()()()の所属科もクラスも知らない。

とりあえずはテキトーに探すしかねえか。






ウロウロウロッ……。






「ねえ……アレ、1年の松城百合子じゃない?(通りすがりの3年女子A、ビビリっ)

「うわ、本当だ! なにしに来たんだろ……まさか、上級生にケンカ売りに来たとか⁉︎(通りすがりの3年女子B、ゾゾ〜っ)」




……いや。

んなワケねーだろ。




はあぁぁ……。




そこら辺のパイセンにこうと思ったのに、こりゃ無理そうだな(汗っ)


とりあえず、地道に全部の教室を回っていくか。






ウロウロウロッ……。






いねえな。

もう帰っちまったのかも。


仕方ねえ、今日のトコロはアタシも帰るか……。












フッーー(百合子、前方の教室から出てきた2人の生徒の姿をとらえっ)











っーー!!!






あ、あれは……。





見つけたっ!











「あ、あの、先輩っーー!」


「……あん?」











くるんっ……(百合子に呼び止められた2人の生徒、足を止めて振り向きっ)











「……どうも、お久しぶりっす。()()()()……いや、あさみや てん 先輩、きたうら 椿つばき 先輩ーー」



「お前は、松城……(天華、驚き気味に返しっ)」











シーン…………。











「ワザワザこんな所に来て、なんの用だよ?(天華、尋ねっ)」

「あ、その……」






どうしても、確かめたいことがある。






2日前ーー。

インテリ風ナンパ野郎と廊下で話をした時。



アタシが先に立ち去って廊下を曲がった瞬間、2人の女子生徒がいた。



忘れもしない、入学式の日にからまれた赤髪の先輩と青髪の先輩ーー。



あれは、間違いなくこの2人だった。



歩きながらすれ違ったアタシとは違い、2人は廊下の壁に背を預けて立ち止まっていた。



ーーつまり。



いつからかは知らねえが、2人はあの場所に腰を据えて立ち止まっていたんだと思う。



そうなると。

静かな廊下で話していたアタシたちの会話が、きっと聞こえていたはずだ。



……だから、気になる。



インテリ風ナンパ野郎をシバいたのがこの2人だとしたら、私たちの会話がなにか関係していたのかーー。








「あ、あの……2年の原ってヤツをシバいたのが先輩たちだっていう噂……ホントっすか?」








シーン…………。








「ああ、本当だ(天華、静寂を切り裂き返答っ)」



っ……!

やっぱり、ホントだったんだ。



「な、なんでっすか?」

「……逆に、なんでそんなことくんだよ?」

「それは……」



ど、どうしよう。

なんて返したらイイ?


……いや。

ここまできて、なに尻込みしてんだよ。


アタシは、このモヤモヤを解消しにココへ来たんだ。

ありのままをぶつけたらイイーー。




「2日前、たぶん先輩たち聞いてましたよね? アタシと原が廊下で話してるトコ」

「っ……!(天華&椿、ピクっ)」

「それと今回のコト、なにか関係があるんすか?」

「……お前には関係ねえだろ(天華、バッサリっ)」




……教えて、くれないのか。




「イイんじゃない? 教えてあげれば。関係なくはないでしょ(椿、ポツリっ)」




あ……。

初めて聞いた、青髪先輩の声。




「……まあ、お前がイイなら私は構わないけど」




っ……!

お、教えてくれるのか?




「アイツをシバいた理由は、アイツが『女の敵』だったからだ」

「女の、敵……?」

「お前があの場をハケたあと、アイツがバカ丸出しでヒトリゴト言ってたんだよ。自分が優しく口説いたら年下の女はイチコロだってな」

「っ……!」

「今まではバレないように他校の女をもてあそんでたらしいけど、ついにウチの学校の女にも手を出そうとしたんだ。その標的が、凛咲愛美だったってワケ」






っっっーー!


そ、そんなっ……。






「他校の知り合いに情報を探らせたら、本当に被害者がたくさんいることがわかってよ。裏もキッチリ取れたから、昨日ボッコボコにシバいてやった。顔の原型がわかんねえぐらいにな」




ひ、ひぇ……。


容赦ねえな、この2人。




「でも、アイツをシバいた理由はほかにもある」

「っ……?」

「私たちが1番許せなかったのは……アイツが、お前の大切な『恋心』を土足で踏みにじったことだ」

「えっ……⁉︎」











「……お前、好きなんだろ? 凛咲愛美のこと」










っっっーー!!!











な、なんでっ?


バレてる……!






「……あの時さ、私たち嬉しかったんだぜ?」

「へっ?」

「アイツに凛咲のことが好きなのかかれた時、お前は自分の気持ちを取りつくろって誤魔化したりしなかった。ちゃんと、無言で『YES』と答えてた。それが、すごく嬉しかったんだ。だってーー」



だ、だって……?








グイッーー(天華、椿の左腕に自分の右腕をからませっ)








「チョ、チョット⁉︎ はぁ……もう(椿、呆れながら照れっ)」







え?


せ、先輩?


なにやって……。














「だって、私たちも()()()()L()O()V()E()R()だからーー!」













え。






……………………。











えええぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっっーー⁉︎










「マ、マジ……すか?(百合子、目が点っ)」

「誰にも言うんじゃねえぞ。()()()()のお前だから言ったんだからな」

「は、はい……」




い、いや、言わないけど!


でもっ。


なんかっ。


サラッと、すごいカミングアウトされたんですけど⁉︎




「チラッと教室のぞかせてもらったけど……可愛いじゃねえか、凛咲愛美」

「へっ?(照れMAXで顔から湯気がプシュウッ)」

「安心しろ。お前の恋を口外しないよう、原のヤツにはちゃんと釘を刺しといた。つーか、記憶が消えるくらいボコッたから、もう覚えてねえかもな」

「は、はぁ……(苦笑っ)」

「あの日、たまたま私たちが暇つぶしで1年の棟をブラついてたのもなにかの縁だったのかもな。でも……私たちができるのはココまでだ」








スッーー(天華、椿の左腕から右腕を離しっ)








「想いが通じ合って結ばれるっていうのは、すごく難しい。それが女同士ってなると、さらにハードルは高くなる。空高く、見上げるほどにな」




っ…………。




「私たちは運良く結ばれたけど、お前の恋が同じようにいく保証なんてどこにもない。だから、無責任に『がんばれ』とか『キットうまくいく』なんて軽々しく言えない。でも、それでも……」











フッーー(天華&椿、優しく微笑みっ)











「それでも、私たちはそのピュアで『まっしろ』な恋がうまくいくことを……願っているーー」










トクンッッッーー!(百合子、胸の中にかつてない感情の波が押し寄せっ)











「じゃあな(天華、椿とともに立ち去りっ)」











…………。




待って。




…………。




先輩。




…………。




待ってください。








スタッ、スタッ……(遠ざかる、天華&椿の背中っ)














「先輩っっっーー!!!」














「っ……!(天華&椿、立ち止まって振り向きっ)」

「あの、ありがとうございます。凛咲を……愛美を、助けてくれてーー(百合子、深々と頭を下げっ)」

「……な、なに頭なんか下げてんだよ。私たちはお前に負けたヤツらだぞ?(※第1話参照)」






……そんなこと、どうだってイイ。






愛美を。




そして。




アタシを。






こんな、生意気な年下の小娘の恋を……。






守ってくれて。




応援してくれて。






ホントにーー。













「ありがとう、ございますっーー(百合子、大粒の涙があふれっ)」














……クスッ(天華&椿、顔を見合って笑いっ)












「顔を上げな、松城」

「…………(百合子、天華の呼びかけにゆっくりと顔を上げっ)」

「あんまり泣くと、目がれて凛咲が心配するぞ? 女はそういうのに敏感だからな」

「っ……(百合子、右手の甲で目をコシコシッ)」

「よし、それでイイ。とりあえず、お前は美人なんだから自信を持て」

「か、からかわないでください!(赤面っ)」

「からかってねえって。あとは……いつだって気持ちに素直にな、松城!」











グッーー⭐︎(天華&椿、力強く親指を立てっ)











「っ……は、はいっーー!」




ペコリッ!(百合子、再び深々と頭を下げっ)











ザッ……(天華&椿、立ち去りっ)











……ありがとうございます、先輩。

あなたたちの恋のカタチを包み隠さず教えてくれて。



先輩たちの幸せそうな背中を見て、なんか少し勇気が出ました。



4月からは2年生ーー。



また愛美と一緒のクラスになれる保証なんてない。

なのに、このままなんとなくフワッとすごしてちゃダメだ。



想いは、カタチにしなきゃ伝わらない。






……大丈夫。






バレンタインの時だって、ちゃんとチョコを渡せたじゃないか(※第47話参照)

きっと、また勇気を出して想いをカタチにできるはず。






いつだって、気持ちに素直に。






……ですよね、先輩!













ーー間近に迫る進級の時。テンツバから思わぬエールを受けた百合子の恋の行方や、いかに……(これにてキケンな先輩編、完結♪)






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