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凡人がなるルイ16世  作者: 山口祐輝


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国の徴税所

第52話 「国の徴税所」

1790年1月。

パリ。

年が明けても、王国の財政が軽くなったわけではなかった。

公開貸付によって、直近の給与と国債の利息を支払うことはできた。

穀物の買い付けも、ひとまず止めずに済んだ。

だが、それは危機が去ったことを意味しない。

国庫へ入った金の多くは、いずれ返さなければならない借金だった。

利息も付く。

次の給与日も来る。

次の利払い日も来る。

冬の間、パリへ運び込まれる穀物を確保する費用も必要だった。

公開貸付によって買えたのは、わずかな時間にすぎない。

その時間を使い、王国は徴税請負制度に代わる仕組みを作らなければならなかった。

国民議会で可決された公的徴税準備法案に基づき、最初の試験地域が選ばれた。

パリ南方に位置する一つの徴税管区。

そこでは、酒類などに課される税の管理が、すでに従来の徴税請負制度から切り離されていた。

徴税所。

倉庫。

帳簿。

現金を運ぶ馬車。

書記官。

監視員。

必要な仕組みの多くが残されている。

完全に新しい組織を一から作るより、試験を始めやすいと判断されたのである。

しかし、建物と帳簿があるだけでは徴税所は動かない。

税を集める人間が必要だった。

その人間を、誰から選ぶのか。

最初の公的徴税が始まる前に、王国は早くも難しい問題へ直面していた。

国民議会。

議長が木槌を鳴らした。

「本日の議題は、公的徴税官の採用についてです。」

議員たちの机には、公的徴税準備局が作成した人員案が置かれていた。

試験地域に必要とされた職員は、八十六名。

徴税所長。

会計官。

書記官。

倉庫管理人。

荷物を調べる検査官。

密輸を取り締まる監視員。

現金を地方金庫へ運ぶ護送員。

一つの徴税管区を動かすだけでも、多くの人間が必要だった。

改革派の若い議員が立ち上がる。

「公的徴税を始める以上、旧徴税組織の人間を使うべきではありません。」

「彼らは長年、徴税請負人のために国民から金を取り立ててきました。」

「同じ者を国家の役人にすれば、看板を掛け替えるだけです。」

傍聴席から拍手が起こる。

「新しい制度には、新しい人間を雇うべきです。」

「徴税請負制度の悪習に染まっていない者を選ぶのです。」

だが、地方行政の経験を持つ議員が反論した。

「では、誰を雇うのです。」

「帳簿を作れる者が、地方にどれほどいるかご存じですか。」

「税率表を読み。」

「商品の種類を見分け。」

「重さや容積を計算し。」

「偽造された通行証を見抜き。」

「集めた現金を一日の終わりに一致させる。」

「その仕事を、経験のない者だけで行えるとお考えですか。」

若い議員は答える。

「学ばせればよい。」

「誰が教えるのです。」

一瞬、議場が静まる。

地方議員は続けた。

「旧徴税組織の職員を全員追放し。」

「その者たちから仕事を学ぶことも拒み。」

「それでも明日から税だけは正確に集める。」

「そのようなことは不可能です。」

「では、不正を行ってきた者を、そのまま役人にするのか。」

「全員が不正を行ったと、どうやって証明するのです。」

「徴税請負人に雇われていたこと自体が証拠だ。」

議場がざわめく。

その時、ネッケルが立ち上がった。

「諸君。」

「徴税請負人と、徴税所で働く職員を同じものとして扱うべきではありません。」

「徴税事業へ出資し、大きな利益を得てきた者。」

「地方本部で業務を指揮した者。」

「徴税所で帳簿を書き、毎月の給与を受け取っていた者。」

「危険な国境地帯で密輸を取り締まっていた者。」

「彼らは、それぞれ立場が違います。」

改革派の議員が尋ねる。

「旧制度の命令に従ったという点では同じではありませんか。」

「それを理由に全員を追放すれば、数万人が職を失います。」

ネッケルは答えた。

「さらに、その数万人が持つ知識も失われる。」

「徴税請負制度を廃止することと、徴税の技術を捨てることは同じではありません。」

ルイは、ネッケルの言葉を聞きながら一枚の名簿を見つめていた。

そこには試験地域で働く職員の名前が並んでいる。

多くは貴族でも富豪でもない。

父親も徴税所の書記官だった者。

若い頃から荷物の検査を続けてきた者。

計算の能力を買われ、農村から採用された者。

退役兵として密輸監視員になった者。

彼らにも生活がある。

家族がいる。

旧制度の中で働いていたという理由だけで職を奪えば、今度は国家が新たな失業者を作ることになる。

だが、何も調べず全員を雇えば、旧制度の不正や癒着まで公的徴税所へ持ち込むことになる。

どちらも正しくはない。

ルイは立ち上がった。

「全員を雇うことも。」

「全員を追放することも。」

「同じように危険だと思う。」

議場が静まる。

「旧徴税組織で働いていたというだけで、有罪にはできない。」

「だが、経験があるというだけで、無条件に国家の役人へすることもできない。」

「ならば、一人ずつ調べよう。」

改革派の議員が顔を上げる。

「調べる?」

「試験を行う。」

ルイは答えた。

「文字を読めるか。」

「帳簿を書けるか。」

「税率から正しい金額を計算できるか。」

「一日の徴収額と、手元の現金を一致させられるか。」

「偽造された証明書を見分けられるか。」

「そして、これまでの勤務に不正がなかったか。」

「旧徴税組織で働いていた者も。」

「新たに応募する者も。」

「同じ試験と調査を受けてもらう。」

「新しい者が不正をしないという保証はありません。」

「古い職員が全員腐敗しているという証拠もありません。」

「過去の所属ではなく、能力と行いによって選ぶべきです。」

議場の一部から拍手が起こった。

しかし、別の議員が手を挙げる。

「陛下。」

「徴税官は大量の現金を扱います。」

「もし着服して逃げれば、国家は損失を受けます。」

「従来は、会計を扱う者へ保証金を納めさせる仕組みがございました。」

「新たな公的徴税官にも、相応の保証金を求めるべきです。」

「どれほどの金額を考えている。」

ルイが尋ねる。

「役職によりますが。」

「会計官なら、少なくとも千リーブル。」

「下級の徴税官でも、数百リーブルは必要でしょう。」

ルイは名簿へ目を落とした。

千リーブル。

地方の書記官や下級役人が、簡単に用意できる金額ではない。

「その金を持たない者は?」

「採用できません。」

「能力があっても?」

「国家の金を預ける以上、保証が必要です。」

理屈は通っている。

着服が発生したとき、保証金があれば損失を補える。

しかし、それでは資産を持つ者しか徴税官になれない。

裕福な家に生まれた者。

有力な保証人を持つ者。

金を借りられる者。

結局、官職を金で買う制度と大きく変わらなくなる。

ルイは少し考えた。

「保証金を払えることと。」

「正直であることは、同じなのか。」

議員は答えに詰まった。

「金を持つ者なら、不正をしないのか。」

「いいえ。」

「金を持たない者なら、必ず盗むのか。」

「そのような意味では。」

「ならば、財産だけを信用の証明にしてはならない。」

ルイは続けた。

「国家の損失を防ぐために、貧しい者を最初から排除する制度を作れば。」

「我々は、別の形で特権を作り直すことになる。」

商人出身の議員が尋ねる。

「では、着服への備えをどうするのです。」

ルイはネッケルを見る。

「一人の徴税官が、一日中、自由に現金を扱える仕組みを変えられないか。」

ネッケルは少し考える。

「集めた現金を、毎日の終わりに地方金庫へ移す。」

「徴税所に大量の金を残さないようにすることは可能です。」

「現金箱も、一つの鍵だけで開かないようにしよう。」

ルイが言う。

「二つの鍵を使う。」

「一つは会計官。」

「もう一つは、徴税業務とは別の監督官が持つ。」

「二人がそろわなければ、箱を開けられないようにする。」

法律家出身の議員が頷いた。

「徴収額を記した帳簿にも、二人の署名を求めるべきです。」

「一人が数字を書き換えても、もう一人の記録と合わなくなります。」

「それでも二人が共謀する可能性はあります。」

別の議員が指摘する。

「その場合は、地方へ送った帳簿と、中央へ送った写しを照合する。」

ルイは答えた。

「完全には防げない。」

「だが、一人を買収すれば終わる仕組みより。」

「二人。」

「地方。」

「中央。」

「複数の記録を書き換えなければ隠せない仕組みの方が、不正は難しくなる。」

「保証金を完全になくすのですか。」

「会計責任の重い職については、無理なく用意できる範囲で残してもよい。」

「だが、千リーブルを持たなければ応募さえできない制度にはしない。」

「国家は、役人個人の財産だけに頼るのではなく。」

「不正を見つけやすい仕組みによって、国家の金を守るべきだ。」

議長が木槌を手に取った。

「公的徴税官の採用試験。」

「旧徴税組織の職員と新規応募者を、同じ基準で審査すること。」

「徴税官職を売買の対象としないこと。」

「給与を公費から支払い、徴収額に応じた歩合を設けないこと。」

「徴収、会計、監査を分離すること。」

「二つの鍵と複数の帳簿によって現金を管理すること。」

「以上を、公的徴税官採用規則として採決に付します。」

採決の結果、規則は賛成多数で可決された。

数日後。

試験地域の中心都市。

公的徴税官の採用試験が行われた。

会場となった役所の前には、早朝から多くの者が集まっていた。

旧徴税組織の書記官。

地方商人の息子。

教区で記録を担当していた者。

退役兵。

法律を学んだ若者。

職を失った商店の会計係。

八十六の職に対し、三百人を超える応募者が現れた。

その中には、前回の調査で消えた領収書を提出した若い書記官の姿もあった。

彼は会場へ入ろうとしたところで、背後から声を浴びせられた。

「徴税請負人の犬だ。」

振り返ると、数人の市民が彼を睨んでいた。

「今度は国の服を着て、また俺たちから金を取るのか。」

「違います。」

若い書記官は答えた。

「私は。」

「何が違う。」

「昨日まで請負人の帳簿を書いていたではないか。」

反論できなかった。

事実だった。

彼は命じられるまま帳簿を書いてきた。

不正を知りながら、職を失うことを恐れ、長い間黙っていた。

最後には証拠を提出した。

だが、それで過去のすべてが消えるわけではない。

「……だから試験を受けます。」

若い書記官は、俯きながら答えた。

「同じことを繰り返さないために。」

市民たちは納得しなかった。

それでも彼は会場へ入った。

試験では、最初に読み書きが確認された。

次に計算。

樽の大きさ。

商品の量。

定められた税率。

免除の有無。

複数の条件から、正しい税額を求める。

さらに、意図的に誤りを混ぜた帳簿が渡された。

徴収総額と現金が一致していない。

無効になった領収書が残されていない。

同じ番号が二度使われている。

応募者は、その誤りを見つけなければならなかった。

最後に、一人ずつ面接が行われた。

「徴税額が足りなかった場合、どうしますか。」

試験官が尋ねる。

ある応募者は答えた。

「村へ行き、払っていない者から厳しく取り立てます。」

別の者は答えた。

「不足分を、翌月へ加えます。」

若い書記官の順番が来た。

同じ質問が投げかけられる。

「徴税額が予定に届かなかった場合、どうしますか。」

若い書記官は少し考えた。

「まず、予定が正しかったのかを調べます。」

試験官が顔を上げる。

「予定が?」

「商品の通過量が減ったのか。」

「免除が増えたのか。」

「帳簿に誤りがあるのか。」

「密輸が増えたのか。」

「あるいは徴税官が金を抜いたのか。」

「原因を確かめず、足りないからという理由だけで国民から多く取れば、正しい徴税にはなりません。」

「では、不足していても放置するのですか。」

「いいえ。」

「徴収すべき税が徴収されていなければ、法に従って集めます。」

「ですが、予定額へ合わせるために、存在しない税を作ることはできません。」

試験官は何も言わず、その答えを記録した。

採用された八十六名のうち、およそ半数は旧徴税組織の職員だった。

残りは新たに採用された者たちである。

全員を旧職員で固めることも。

経験者をすべて排除することも避けられた。

消えた領収書を提出した若い書記官も、採用された。

ただし会計官ではない。

新たに導入される納税証明書の管理を担当する書記官としてだった。

公的徴税所の開設を翌日に控えた夜。

職員たちは、古い建物の看板を取り外していた。

そこには、かつて徴税管理組織の名称が記されていた。

代わりに、新しい看板が掲げられる。

『王国公的徴税所』

翌朝。

徴税所の前には、多くの住民が集まっていた。

新しい制度への期待からではない。

何が変わったのかを見届けるためだった。

「建物は同じだ。」

一人の男が言う。

「中にいる連中も、半分は同じだ。」

「看板を変えただけではないのか。」

別の者が答える。

職員たちは、その声を聞きながら窓口を開いた。

最初に現れたのは、葡萄酒を積んだ荷馬車だった。

御者が不安そうに窓口へ近づく。

新たに採用された検査官が樽の数と容量を確認する。

旧徴税所から残った職員が、その測り方を若い検査官へ教える。

書記官が税率表を確認し、金額を計算する。

会計官が金を受け取る。

納税証明書の担当者が、同じ番号を持つ証明書と控えへ金額を書き込む。

それぞれの仕事が分けられていた。

「三リーブル十二スーです。」

御者は硬貨を差し出した。

証明書が渡される。

御者は紙を見つめた。

「これで終わりか。」

「はい。」

「次の徴税所で、また払えと言われないだろうな。」

「その証明書をお見せください。」

「徴税所側にも同じ番号の控えが残ります。」

「もし二重に求められた場合は、地方役所へ申し立てることができます。」

御者は半信半疑のまま証明書を懐へ入れた。

「本当に変わったのかは、次の門へ行けば分かる。」

そう言って、荷馬車を進める。

職員たちは、その背中を見送った。

感謝はなかった。

拍手もなかった。

当然だった。

制度を変えたと宣言しただけで、長年積み重なった不信が消えるはずはない。

昼過ぎ。

一人の商人が大量の酒樽を積んだ荷馬車とともに現れた。

検査官が樽を数える。

「十六樽です。」

「十二樽として扱えないか。」

商人が小声で尋ねた。

検査官は眉をひそめた。

「十六樽あります。」

商人は周囲を確かめ、硬貨を数枚、机の端へ置いた。

「細かく調べる必要はない。」

「忙しいのだろう。」

検査官は硬貨を見た。

旧徴税所で長く働いてきた男だった。

以前なら、この程度のやり取りは珍しくなかった。

商人は税を安くできる。

徴税官は自分の収入を増やせる。

帳簿の数字を合わせる方法も知っている。

検査官はしばらく硬貨を見つめた後、それを商人の方へ押し戻した。

「十六樽です。」

商人の表情が変わる。

「今までは。」

「今日から、私一人では税額を変えられません。」

検査官は答えた。

「樽を数えた記録は、すでに別の書記官が持っています。」

「証明書の番号も中央へ報告されます。」

「私が十二樽と申告しても、他の記録と合いません。」

商人は舌打ちした。

「国の役人になった途端、立派になったものだ。」

「違います。」

検査官は静かに答えた。

「私が立派になったのではありません。」

「一人では隠せなくなっただけです。」

その日の業務が終わる。

徴税所の扉が閉められた。

会計官と監督官が、それぞれ別の鍵を差し込む。

二人が同時に鍵を回すと、現金箱が開いた。

集められた硬貨が机へ並べられる。

一枚ずつ数えられる。

日計簿の数字。

納税証明書の控え。

検査官が記録した商品の量。

三つの記録が照合される。

「二スー足りません。」

会計官が言った。

部屋の空気が緊張する。

わずか二スー。

以前なら、その程度の差は見逃されていただろう。

誰かが自分の財布から補い、帳簿を合わせて終わらせたかもしれない。

しかし新しい規則では、理由の分からない差額を、勝手に埋めることは許されない。

職員たちは最初から記録を調べ直した。

領収書。

現金。

商品の量。

一時間近く確認した末、一枚の銅貨が机の脚の下から見つかった。

誰かが数える途中で落としたものだった。

「ありました。」

若い書記官が銅貨を拾い上げる。

部屋に安堵の息が広がった。

会計官は笑わなかった。

「帳簿へ記録します。」

「二スーの不足。」

「再計算。」

「床から発見。」

「最終残高一致。」

書記官が、そのすべてを書き残した。

失敗を隠すのではない。

何が起き、どのように確かめ、どう解決したのかを残す。

それも新しい制度の一部だった。

一か月後。

公的徴税所から、最初の報告書が議会へ届いた。

国民から徴収した総額。

徴税所の維持費。

職員の給与。

証明書の印刷費。

現金輸送費。

国庫へ納められた額。

納税者から寄せられた苦情。

発見された帳簿の誤り。

収賄の申出。

密輸の摘発。

すべてが同じ形式で記されていた。

ネッケルは報告書を議場で読み上げた。

「試験地域における国庫への納入額は、当初の予想を下回りました。」

保守派の議員たちがざわめく。

「やはり失敗ではないか。」

「請負制度なら、国庫へ決められた額が入った。」

「国家が直接集めた結果、税収が減っている。」

改革派も反論する。

「最初の月には、証明書や帳簿を作る費用が含まれている。」

「一時的な費用です。」

「それを除けば収入は増えている。」

「都合の悪い費用だけを除くのか。」

「将来も役人の給与は必要だ。」

議場で再び議論が始まった。

ルイは報告書を読み返した。

国庫へ納められた額だけを見れば、当初の予想より少ない。

だが、徴税所が実際に集めた総額は、以前より明確になっている。

不正が完全になくなったとは言えない。

それでも、どこへ金が使われたのかは以前より追いやすい。

納税者の待ち時間は長くなった。

一方で、金額をめぐる苦情は減った。

密輸の摘発件数は減っている。

監視員が怠けた可能性もある。

証明書によって正規の通過が増え、密輸が減った可能性もある。

一か月の数字だけでは判断できなかった。

ルイは立ち上がった。

「諸君。」

「この報告を、成功だと宣言するのは早い。」

改革派の議員たちが静まる。

「だが、失敗だと決めるのも早い。」

今度は保守派が口を閉ざす。

「国庫へ入った額だけを見るのか。」

「徴税にかかった費用を見るのか。」

「国民が支払った総額を見るのか。」

「不正や苦情が減ったかを見るのか。」

「一つの数字だけでは、制度の良し悪しは分からない。」

「では、何をもって判断するのです。」

一人の議員が尋ねた。

「すべてだ。」

ルイは答えた。

「徴収総額。」

「徴収費用。」

「国庫への納入額。」

「帳簿の誤り。」

「納税者の待ち時間。」

「苦情。」

「密輸。」

「不正。」

「同じ季節。」

「同じ地域。」

「同じ税率。」

「できる限り条件をそろえて、請負制度と公的徴税を比べる。」

「少なくとも半年は続けよう。」

「最初の一か月だけで結論を出せば、始める前から決めていた答えを数字に言わせることになる。」

議場が静まり返る。

「私は、公的徴税を正しいと証明するために試験を始めたのではない。」

「本当に国民と国家にとって良い方法なのかを確かめるために始めた。」

「もし悪ければ改める。」

「請負制度より劣る部分があるなら、それも認める。」

「だが、一度の失敗を恐れて、調べることまでやめてはならない。」

議場から静かな拍手が起こった。

試験は継続されることになった。

その夜。

公的徴税所では、若い書記官が最後まで残り、納税証明書の番号を確かめていた。

第一号。

第二号。

第三号。

番号は途切れることなく続いている。

窓の外から、酔った男の声が聞こえた。

「徴税請負人の犬め。」

若い書記官の手が止まる。

看板は変わった。

雇い主も変わった。

帳簿も変わった。

それでも、国民から見れば彼は税を取り立てる人間だった。

今日から国家の役人になったと説明しても、長年の不信が一日で消えるわけではない。

若い書記官は再び羽根ペンを動かした。

信用を命令で生み出すことはできない。

新しい制服を着れば得られるものでもない。

正しい金額を計算し。

受け取った金を記録し。

誤りを隠さず。

それを毎日繰り返すしかない。

王国で最初の公的徴税所が開かれた日。

税を集める者は、請負人の使用人から国家の役人へ変わった。

だが、その者が本当に「国民のために働く者」と認められるまでには。

まだ、長い時間が必要だった。

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