表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超常専門(超不本意)探偵アクトヒメ  作者: 血湧湧
八百墓村殺人事件
PR
14/17

八百墓村殺人事件11

 3月12日(木)7:30 遺産相続確定まであと5時間30分


「マジでか!襲われたんか!」


 ミサキから昨夜の話を聞いたヒメが朝から大声をあげる。


「お前マジかよ。一応俺たちお前の護衛ってことで来てるんだぞ。恥ずかしがらずにトイレ行く時は起こせよ。危うく依頼失敗じゃねーか」


 ナキもかなり焦っている。


「ごめんなさい。夜中に起こしたら怒られるかと思って」


「そりゃ怒りはするけどよ」


「ぶん殴るのう」


 当たり前のように2人が言う。


「え?」


 2人が何を言ってるかイマイチ理解できないミサキ。


「それでも起こせってことだよ」


「そういうことじゃ」


 構わずゴリ押してくる2人。


「えぇ」


 諦めるしかないミサキ。


 そう、この2人は理不尽なことしか言わないのだ。


「で、本堂に入って電気をつけた瞬間に追ってきていた者は姿を消したのじゃな」


 改めて昨日起こった、ミサキ襲撃事件を検証するヒメ。


「ドウジさんはそう言ってました。私は電気のスイッチを探すのに必死で、後ろから迫ってきていた人については・・・」


 最後の方は追ってくる相手のことをあまり見ていなかったミサキは言い淀む。


「ドウジにも話を聞きてーけど、どこにいるかわからねーんだよな?」


「はい、チカゲさんにメッセージを送ってみましたが、ドウジさんがどこにいるかはわからないらしいです」


「俺たちが言えたことじゃねーけど、依頼主が連絡取れねーって、ちゃんと依頼こなせてるのかよ、あの酔っ払い妖怪。まあ今回はマジで助かったけど」


 ナキの言う通り、今回のミサキ襲撃事件において、ドウジがいなかったと思うとゾッとする。とっくにゲームオーバーだった。


 気になるのは、なぜドウジはミサキを守ったのか。


 もしかしたらチカゲからの依頼には、、、


「きゃー!!!」


 ここで再び鳴り響くキヨミの叫び声。


「キヨミの声は通るのう」


「誰か死んだな。行くか!」


 やれやれみたいな感じで立ち上がる2人。殺人が起こったと思っている人間のやり方ではない。


「あの、そういえば今思い出したんですけど、私の依頼って私だけじゃなく他の相続者たちも守ってってやつじゃなかったでしたっけ?」


「「・・・」」


 沈黙が流れる。


 思い出してみればそうだった。ミサキの依頼は誰も死なないことだったのだ。なのに1人目が死んだ時もヘラヘラし、たった今第二の殺人が起こったかもしれないのに、軽いノリで向かおうとしてる。


 とっくに依頼は大失敗なのである。


 2人はそれを思い出す。それに気づく。


「急げ!また不幸な犠牲者が出たかもしれん!」


「犠牲者は捨ておけねーぜ!急ごう!」


 気づいた上で有耶無耶にするつもりだ。


「ミサキもグズグズするな!」


 なんならミサキを叱りつけて走り出す。


「えぇ」


 ミサキはこの瞬間、依頼相手を間違えたと、本気で後悔した。

 


 キヨミの叫び声発生源は、今日発表される予定だった死児間リンドウの遺書が厳重に保管されていた地下倉庫。


 遺書の読み上げ役を任されていた、シジマ醤油顧問弁護士、飯田タカヒロが、12時の発表を前に、きちんと遺書が保管されているか確認に行ったところ、遺書が封じられている金庫の前で響度サユリの死体を発見した。そしてそんな弁護士飯田タカヒロを、地下室の掃除に来たキヨミが発見し、誰よりも早く叫び声を上げたのだった。


「死因はなんじゃ?」


 すでに現場に到着していた木暮警部にヒメが尋ねる。


「後ろから心臓を刺されている。だが何で刺されているかはわからない。凶器も落ちていない。そしてここは完全なる密室だったよ」


「そうか」


「ちなみにオウセンの死因も似たようなものだったぞ。何かで首を切られた後に火をつけられたようだ。でも何で切られたのかはわからない。凶器も見つからない。今と一緒だ。全く、不甲斐なさすぎて嫌になるぜ」


「気に病むことはない」


「え?」


「これは警察の範疇ではない。これは不本意ながらワシら人外の範疇じゃ」


 サユリの殺害現場を見て確信を得たヒメは、寂しそうに、そう呟いた。


「はぁ、やっぱりこうなったか。まあ途中から怪しいとは思ってたけどな」


 ナキはがっかりしながらも、このあとの仕事に備えて、臨戦体勢に入る。


「ママー!!!ママー!!」


 遅れてやってきたショウゴがサユリの亡骸を抱きしめながら泣きじゃくっている。


 そんなショウゴを尻目に、ヒメは冷たい声で木暮警部に言う。


「事件の真相を明らかにする。関係者を全員本堂に集めてくれ」


「わ、わかった」


 ヒメの圧に負けた木暮警部は、言う通りに全員を本堂に集める。


 そして集められたみんなの前でヒメが言った。


「犯人はこの中にいる!」

 


 さて、みなさん!


 ここからが推理モノの花形、サビ、メインディッシュ!


 解決編でございます。


 ここでおさらい。


 今回の事件における謎は大まかに4つ。


 一つ目、動機。


 最初から1人7億チョイもらえる遺産相続。争う意味がない。


 そもそも遺産相続における争いとは、貰える者と貰えない者がいるから発生するもの。みんながもらえて、額に差もないなら争う必要なんてない。


 むしろ人殺しがバレれば遺産は相続できないんだから、ハイリスクローリターン。まともな人間がやることではない。


 二つ目、神出鬼没。


  今回の事件、犯人が神出鬼没すぎる。


 死児間本家に到着してからの事件ばかりが取り沙汰されて、もう忘れている人も多いかもしれないが、ヒメたちが来る前に、すでに20人が死んでいる。(おそらく全部殺人)


 川で、道路で、ベランダで、葬儀場で、なんなら山でも殺された。


 それなのに目撃情報は一切なし。


 これはもはや、神出鬼没というしかない。


 三つ目は、火葬。


 なぜオウセンは殺された後に燃やされたのか。


 この事件が遺産相続に基づくものであるならば、最も意味がわからない。


 殺した後に燃やしたところで、火葬ボーナスが遺産に上乗せされるわけではない。


 そう、これは本当に、全く意味がないのだ。


 そして四つ目はたった今提示された、密室である。


 サユリが殺されていた、遺書が保管されていた地下倉庫は、完全に施錠されていた。そして鍵を持っていたのは、死児間リンドウから直接預けられた、顧問弁護士飯田タカヒロだけ。


 正確な時間はわからないが、サユリの死体がすっかり冷たくなっていることから、殺されたのは数時間前。


 タカヒロが死児間家にやってきたのはほんの少し前で、それまでは自宅兼事務所にいた。これは同行している助手が証言しているし、事務所の監視カメラにも映っている。


 だからこれは完全な密室殺人で、不可能犯罪なのである。


 今回の事件を解決するというのであれば、この4つの謎を解き明かさなくてはいけない。


 これはかなり難しい事件だと思われる。


 しかし心配する必要はないだろう。


「犯人はこの中にいる!」


 ヒメがみんなの前でそう言い切ったのだから。


読んでくださってありがとうございます。


引き続きよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ