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ユニゾンと横恋慕  作者: 不定音高ふたつ


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[第七話] 主人公と周辺

【登場人物】


小夜:星山小夜(( )ほしやま・さよ)。高校1年生。軽音楽部で、エレキギター担当。タクの幼馴染で、タクに片思い。



タク:水野拓(( )みずの・たく)。高校1年生。小夜の幼馴染。軽音楽部でドラムス担当。メイに恋を始める。



メイ:久米郁葉(( )くめ・いくは)。高校2年生。軽音楽部の先輩。エレキベース担当。大学生の彼氏がいるらしい。



ショージ:東海林ショージ(( )しょうじ・ショージ)。高校1年生。軽音楽部でキーボード担当。現実の恋に、ファンタジーを持ち込みたい。



ヤッ子:牧靖子(( )まき・やすこ)。軽音楽部の顧問であり、タクが町内のイベントで合奏する大人。渦中でうろたえている者を、外側の落ち着いた場所から俯瞰する。



♪ 今話の音楽用語は、このページを下にスクロールした「後書き」に記しました。



[第七話] 主人公と周辺




 文化祭のステージの直前。舞台脇の階段下は、スタッフの作業場であり、次の出演者の控えのスペースでもある。


 ヤッ子は、四人に軽く一言。


「緊張はいらない。いつもの練習の通りにやれば、大丈夫だよ。私は見守るだけだ」


 軽いバイバイで去って行った。


 ショージは階段を昇り、舞台袖の幕のギリギリの位置に立った。あと一歩、前に出れば、客席から見られてしまう。


 メイもショージを追い、近くに立つ。


 小夜とタクは、階段の下にいる。


 周囲に、数人のスタッフはいるものの、ステージからの音があり、話し声が聞かれることはないだろう。


「ねえ、タクちゃん」


「ん? どうした」


 小夜は、昨夜の自慰の気持ちを思い出していた。自らの体を、タクにだけ許可する、身震いする強い想いで、話し掛けた。


「あたし、タクちゃんが好き。水野拓が好きです。恋愛感情よりも、もっと強い感情で好きです」


 五月の下校時に、既に告白し、失恋している。その後も、穏やかな失恋をしている。しかし、ステージが終わったら、タクがメイに、メイがタクに、告白するだろう。


 だったら、ステージの前が最後のチャンス。もう一度、タクに自分の気持ちを伝えれば、どうにかできるかも。


 タクも「独占を望む人」であれば、メイより先に告白し独占すれば、勝てる。


 しかし、タクからの返答は「俺はメイ先輩が好きなんだ」だった。


「(( )あは、当たり前か……)」


「それは知ってる。でも、それはタクちゃんの片思いだよ。メイ先輩には、彼氏がいるのかも」


 自分で、往生際が悪いと思う。しかし、一縷の望み。タクが諦めるようにと誘導してみた。


「彼氏が、いないのかも……だろ?」


「(( )やっぱり、駄目なものは駄目か)」


 小夜は、涙ぐみ、タクを凝視。


「小夜、ゴメン」


 タクは、清々しい顔を小夜に見られないように、背中を向ける。そして、自分に言い聞かせるように呟く。


「うん、よしーーー」


 小夜には、タクの言葉の、最後の音「しーーー」だけが聞こえた。決心した時の「S」の摩擦音。ただそれだけで、小夜は歩けなくなった。小夜が告白したことで、タクを決心させてしまった。


 ショージと並んだメイを、いつもとは違う角度から見上げた。メイの制服のスカートの裏地が見える。


 タクは、自然を装って、ベルトを左右に移動させたり、ズボンの裾を摘まんだりして整えた。その手の動きの、ほんの一瞬の淫らを、小夜は目撃してしまった。


 小夜は、もう動けなくなった。膝から下が、砂を水で固めただけの砂細工になったように感じたからだ。重く、そして、脆い。




● ●




 ステージが始まった。


 既存曲を二曲、その後にオリジナル曲の予定。


 部室でチューニングしたが、ここでも改めてチューニング。


 メイが、挨拶の言葉も無く、いきなりマイクで迫力のある声で一言。


「いくぞっ!」


 タクが、逆シンバル。メイのエレキベースが、ダウングリッサンド。ショージのキーボードが、豪華なファンファーレのようなイントロ。


 このイントロは既存曲をそのままではなく、タクを中心に、ステージのオープニング用に変えた。


 メイが歌い始めたことで、お客さんは何の曲かとわかった。


 ノリの良い曲なので、ギターを弾きながら、小夜の気持ちも落ち着き始めた。小夜の担当の箇所も、声が裏返らずに歌えた。


 タクの短いMC(( )トーク、おしゃべり)を挟み、二曲目を演奏。


 ロックンロールを、ややアップテンポにした。


 タクの案で、一斉にジャンプする箇所を設けた。最初は客席のタイミングが合わなかったが、二回目、三回目になるとタイミングがわかり、客席のみんなが一斉にジャンプし、盛り上がった。


 いよいよ三曲目。オリジナル曲。


 メイがMC。


「次の曲が最後です。オリジナル曲でスイェーイ」


 客席から拍手。


「キーボードの、ミスターショージが中心になって、全員で作ったヨイェーイ」


 客席から拍手。ショージは両腕を上げる。


「もし、この曲に苦情がありましたら、あちらのショージが担当でスイェーイ」


 客席から笑いと拍手。ショージは漫才のツッコミのような仕草。


 タクとメイが目配せ。


「いくぞっ!」


 メイの「ぞ!」は、タクの強烈なスネアドラムの「ダッ!」と一致。オリジナル曲は、タクとメイの息が、ぴったり合うところから始まる。


 持ち回りで歌うが、小夜は担当箇所をデタラメなスキャット「ジャンういドびゃッ」などで誤魔化した。


 いよいよ、メンバー紹介。


 小夜は、メンバー紹介の流れを再確認するため、脳内でリハーサルする。




 タクがバスドラを単調に鳴らし、ショージがキーボードでアドリブ。タクがショージの名前を言う。


 バスドラが単調なまま、小夜のアドリブ。ショージが小夜の名前を言う。


 タクがアドリブを演奏し、メイがタクの名前を言う。


 タクのアドリブに、メイが加わり、ユニゾン。小夜がメイの名前を言う。


 ユニゾンが長くなるので、ショージは椅子を持ち込み、座って漫画を読む。


 ユニゾンの終わりは、タクがバスドラで拍子を取る。


 小夜が、チョーキングや、ハーモニクスに似たミュートなど、通常の演奏ではない、拍も調律も無視した演奏で加わる。


 小夜が「おかしな演奏」をしている間、ショージが両腕を上げて手拍子し、客も一緒に手拍子する。


 小夜がコードをエイト・ビートで刻んだら、ショージがグリッサンドで加入する。


 Cメロに繋がり、曲が再開する。




「(( )よし、できる。いつものように、部室で練習したように、いつもの練習のように……)」


 脳内シミュレーションをして、小夜は、自分を勇気付ける。


 メンバー紹介で、順番に名前を呼び合う。


 メイを紹介する小夜も、声をしっかり出せた。


 タクのドラムスと、メイのベースが、ユニゾン。目を合わせて、二人は息がぴったりだ。


 ショージは椅子を持ち込み、座って漫画を読む。お客さんは、これを洒落たパフォーマンスと理解し、大喜びで口笛も聞こえる。


 メイは、練習の時より躍動し、ステージを歩き回る。大きく口を開け、目は強く閉じ、最大の喜びで演奏している。煽るようにお客さんににじり寄り、笑顔でタクに振り向く時、短い髪が精一杯に広がる。


 小夜も、しばらく演奏が無い。ユニゾンを聞きながら客席を見渡す。


「あ……」


 声に出てしまった。


 舞台の怖ろしさとは、これだったのか。自宅のパソコンで見たロックコンサートでは、舞台から客席を俯瞰する場面もある。しかし、舞台の楽しさとして思っていたが、その怖ろしさが、舞台に立った今だから、わかった。


 客席から向けられた視線。「喜ばせろ」の期待、「どうせ素人さ」の気持ち、舞台を無視した人達もいる。そして、失敗を望む人もいるのかも。


 客もいれば、スタッフもいる。集中して舞台を見ている人もいれば、散漫な気持ちの人もいる。客席の左の壁から右の壁、奥の壁までが見渡せて、舞台を凝視する人、無関心な人、誰も彼もが怖ろしい。


 この恐怖を克服した人だけが、舞台に立つことを楽しめるのだろう。部室での練習を、ここで再現などできないことを悟った。だから「あ……」の声が出てしまった。


 今、こちらを見ている人達は、タクとメイの演奏を楽しんでいる。小夜のことは、視野に入り込んでいるモブ、主人公ではない村人Cだ。お客さんはユニゾンを、いつか終わると承知しながら、演奏を刹那に享受している。


「(( )嘘を承知で、永遠の……)」


 楽しい時間には、相応しい終わり方がある。同じ舞台に立つ小夜には、妬ましくも、羨ましい程の演奏。


 そこに、たかが端役の小夜が、拍も調律も無視した加入をすると、小夜は「楽しみを邪魔する奴」になってしまう。楽しんでいるタクとメイにとっても邪魔、タクとメイの演奏を楽しんでいる客にとっても邪魔。


 ショージに煽られた客が、一斉に手拍子すると、まるで、空気を読まない小夜が、無益な邪魔をする道化者、それをショージが笑い、客席からの拍手は、空気を読まない小夜に対する嘲笑だ。


「(( )そうか。あたしはここで、公開処刑されるんだ)」


 演劇ならば悪役もいる。しかし、これは音楽。喜劇の音楽劇ではない。ショージの歌詞の、ハッピーな恋愛の曲。タクとメイの、相思相愛の演奏。タクとメイは今、ユニゾンという愛の行為を見せているんだ。


 お客様の望む「ちゃんとした演奏」に、タクとメイは応えている。そこに、小夜が空気を読まない「おかしな演奏」を鳴らすのは、「台本に従った演技」なのだと、誰が思うだろうか!


 タクがバスドラで拍子を取った。小夜が乱入する……はずだが、できなかった。


 拍も調律も無視した加入は、軽音楽部員なら台本に従っていると知っている。しかし客は、下手糞な演奏に興ざめ、がっかりするだろう。


 小夜は、腕が上がらない。ピックも落ちてしまう。予備のピックは、用意していない。


 小夜のギターが無いので、ショージの演奏も崩れた。リズムが複雑だからだ。ショージは、もうお手上げで、演奏をやめた。


 タクとメイだけが、演奏を続けた。曲が終わるはずが、アドリブで、まだ続いている。続いている。


 ここで、生徒も教師もいるこの場で、メイの「大学生」のことを、嘘を混ぜて、マイクを通してばらそうか。


 いや、そんなことをしても、何も解決しないどころか、いくつもの「バッドエンド」になる。


 小夜は、床に跪き(( )ひざまずき)、ピックを拾い、ギターを鳴らした。曲に入り込むのではなく、鳴らして、ユニゾンという愛の行為を壊した。


 嫌がらせではない。限界だったのだ。これまでずっと、頭から全身にからまった見えない捕獲網で動きが制限され、脱出の期待は外れてばかり。限界だったのだ。


 タクと恋は、ずっと進まず、何も解決せず、もう間に合わない。もう終わり、もう決まりなのだ。


 小夜は、本当は叫びたかった。


 自己紹介部分の構成は、いつの間に、このように決まったのだろう、誰が決めたんだろう。タク? メイ? ショージ?


 それとも、公開処刑とは、被害妄想?


 ああ、こんなことなら、調律を無視した乱入ではなく、すぐにエイト・ビートの刻みから参入すれば良かった。ショージがグリッサンドで加入して、うまくいくはずだった。


 まただ。大失敗だ。タクと一緒の時は、「後で考えると、これが最適」から離れたことをしてしまうことが多い。どうしていつも、あたしは、こうなんだろう。


 自己嫌悪で、小夜は無造作にギターを鳴らし続けている。ただ無造作に、ただ無気力に。


 タクとメイは、小夜を一瞥し、アイコンタクトで演奏を終わらせた。Cメロから再開する部分は、全く削除され、時間が余った。


 大きな拍手。


 これで、ステージの全曲が終わった。小夜を除いたメンバーが、お辞儀。


 タクはきっと部室に戻ったらすぐ、いや、部室に向かう廊下で、メイに告白するだろう。メイから告白するのかも知れない。


 いや、相思相愛だと、お互いに気付いている。だから、どちらからともなく誘い合うだろう。まるで、放課後に買い食いに誘うように、軽い感じで。


 想像するだけで、小夜は顎が震えた。


 タクだけが、演奏を再開した。ボーカル用のマイクは、オフになっていない。


「メイ先輩、好きです、好きです、好きです!」演奏しながら叫ぶ。


 客席は、拍手や口笛、歓声で沸く。


 なんということだ。ここで公開告白。


 小夜は視界が白く見えてしまう。もしかすると、ステージに上がる前に、自分がタクに決心させたせいなのか!


 メイが演奏で加わる。演奏しながら、タクに近付く。メイがタクに耳打ち。タクが頷く。


 タクのインカムで、メイが軽い調子で答える。


「オオーッケーイよっ!」


 そして、タクの額にキスをし、自分の立ち位置(( )ドラムスを挟んで、小夜とは反対側)に移動する。


 客席の熱量が、更に上がる。タクのリズムに合わせて、手拍子だけでなく、足踏みをする。


 小夜は、タクとメイを凝視し、ギターの六本の弦をデタラメに鳴らしながらペグを巻き上げ、チューニングが狂う。小夜は、既に声を忘れてしまっている。


 六本の弦を、どんどん巻き上げ続ける。どうせ、空気を読まない、四面楚歌の道化者だ。


 チューニングが狂う、狂う、狂う。狂い続ける。


 弦が切れた。一本、ほどなくして、もう一本。


 ショージが駆け寄る。小夜をなだめるために、肩を後ろから抱く。ショージが何かを叫んだが、小夜には言葉として認識できない。小夜が体をねじり、もがいた。


 ショージがバランスを崩して倒れるが、周囲は「小夜がショージを突き飛ばした、攻撃した」に見える。


 小夜は大きく口を開けるが、声が出ない。残った弦が、情けない音を鳴らす。


 数人の教師がステージに上がる。幕が下がる。アンプやキーボードなど電気機器の音が、ノイズ音と共に消える。


(( )ここから後の場面は、「削除すべき」「残すべき」の意見が、AIによって分かれています)


 ……。


 客席は一瞬、息をのんだ。その後、大きなざわめきの後、また、すぐに静かになった。


 閉じた幕の表側、ステージに、ヤッ子が現れたのだ。いつもの白衣で、アコースティックギターを構え、中央に歩きながら演奏を始めた。


 たった今、聞いたばかりの曲、軽音楽部のオリジナル曲を、ギターソロで演奏している。イントロに続き、歌い始める。


 明らかに場違いだ。白衣でアコースティックギターだなんて、文化祭には似合わない。ほぼ全員が、ヤッ子の乱心と思った。そう、ごく一部の人を除いて。


 ヤッ子の歌声は、目の前にいる人との会話の声ではない、授業の朗々とした声でもない。倍音、雑音、波形、それらを、驚く程に操作し選択したのか。少なくとも、会場の半分までは、歌詞も聞き取れる。


 メロディは、さっきのオリジナル曲だが、歌詞が違う。


「♪初めてなら うまくいかないことも多い」「♪みんなにも愛がほしい」


 ここまで聞いたところで、人によっては、ビートルズの『愛こそはすべて』(( )All You Need Is Love)を連想しただろう。


 しかし、「……だめさ」といった否定も非難も無い。強いて否定というならば、「理想ではない」「それを攻撃するな」だろう。


「♪溺れている人を 未来の自分ですら 笑えない」


 歌詞は、ファンタジーのご都合ハーレムとは、全く違う。


「♪溺れている人は 上手く泳げない 慌てている」「♪溺れたら慌てる 落ち着けない 落ち着けない」


 メロディに乗らない部分もある。


「♪あらゆることが 青春のメインストーリーであり サブストーリー」「♪思い出は玉石混交」


 比喩表現はあるが、遠回しな難解さが全く無い。ヤッ子だから書けた歌詞、いや、これは「書いた歌詞」だったのか。


 短い時間で、歌が終わった。バンド演奏したものは、盛り上がる構成のために長い曲になっていたが、歌の部分だけで、繰り返しも減らせば、意外と短い。


 会場から拍手。色々な意味で。


 誰かが、スタンドマイクを用意したが、その時には歌が終わっていた。


 ヤッ子は、ギターを下ろしてマイクで話す。明るく、軽い口調。


「時間調整のため……というのは言い訳だけど、何だか、歌いたくなっちゃったんだよね、いきなり。優先度はみんなそれぞれで、変わるけど、つい、自分の優先度に隷属しちゃった」


 小さな拍手。


「ステージ衣装でもない、いつもの白衣だし、場違いだと自分でわかっていてもさ、恥ずかしいけど、結果オーケイなのかな? だからね、表でも裏でも今日のことは秘密にしていてね。初めてでうまく行かないんだから、秘密にするのが紳士淑女よ」


 拍手。


 客席からの声を聞き取るように、耳に手を当てる。


「え? 投げキッス? 秘密にするから? あはは、それこそ、思い出は玉石混交……だよね。ウイーーーンクッ」


 可愛らしい言い方をして、客席にウインクし、わざとらしく時計を見る。


「はいっ! 時間調整は、終わりっと。ギター貸してくれて、ありがとう。マイクもありがとう」


 恥ずかしそうに、自分の手を団扇のようにして顔を扇ぎながら、そそくさとステージを降りる。


 ギターを生徒に返し、出口に向かうヤッ子は堂々とした歩きで、白衣の裾が広がる。


「ヤッ子先生、どちらへ?」


「みんなの分のクレープを買いに行く。青春への、ねぎらいっ。これでも、顧問だもの」


「クレープ店なら、さっき店じまいをしてましたよ。この時間ですし、完売御礼って言ってました」


【終わり】



♪ 今話の音楽用語


グリッサンド:メイが説明

ピアノは鍵盤を上から押すよね。でも、たくさんの鍵盤を縦断するように、「ダララララ……」と上がったり、逆に下がったりするのを、見たことはないかい? ハープでは、美しく聞こえるよね。

これが、グリッサンドだよ。

ギターでもできるっ、ベースでもできるっ。弦を左手で押さえるけど、押さえる場所を高い音の方に滑らせたり、逆に低い方に滑らせたりする。これもグリッサンドだよ。

滑らせるスピードは、ゆっくりだったり、速かったりで、雰囲気が違う。

ギターでは、乾電池に似た形の「スライドバー」を使って、グリッサンドをすることもあるんだ。スライドバーを使わないと「ダラララ……」で、使うと「ドヤィーン」って感じになる。

チョーキングとグリッサンドを、同時にしたら、わざと調律を外した感じにもできるよ。


チョーキング:小夜が説明

エレキギターの面白い演奏方法です。「キュィーン」や、細かく「ウィンウィン……」と聞こえるようにします。

方法は簡単。弦を押さえた左手で、弦を押さえたまま、真っ直ぐな「一」の字の弦が「へ」の字になるように曲げます。弦をくねくねさせるんですね。こうすると、弦の張りが強くなり、少し高い音が出ます。

エレキギター以外でもできますが、使う頻度はエレキギターよりも少ないようです。

ヤッ子先生のアドバイスの「泣き」の表現もできますし、他には「突き進めー!」といった表現にも使えるんですよ。


ユニゾン:ショージが説明

簡単に言えば、「同じことを、一緒に」ってことさ。口で歌いながら、歌と一緒に机を「コッココ……」と叩くのもユニゾンしていることになる。

タクがドラムスを、メイ先輩がベースを、同じに「ダダダ、ダダッダ」と鳴らすのも、ユニゾンさ。タイミングがぴったり合うと気持ちいい。

同時ではなく、直後に真似するのは「コール・アンド・レスポンス」で、これも気持ちいい。


ロック:小夜が説明

音楽ジャンルの名前です。

岩もロック「ROCK」で、スペルも同じですが、音楽の方は「揺れる」の意味です。ロッキングチェアは揺り椅子でしょ。

聞いていて、体が揺れるだけでなく、あたしが動画を見て感動したように、心が揺れるっていう意味もあるかも。


アンプ:メイが説明

オーディオの機械の名前だよ。日本語では増幅器って言うね。電気を使うから、電気のコンセントやバッテリーが必要だね。

エレキギターもエレキベースも、演奏そのものの音は小さいんだけど、みんなで聞けるように大きくするのが、アンプってことだ。

エレキギターやエレキベースで「アンプ」と言うと、スピーカーとの一体型が使われる。だから、勘違いして「エレキギターでは、スピーカーのことをアンプと呼ぶ」なんてこともありそう。


ハーモニクス:メイが説明

弦楽器の演奏方法のひとつだよ。

ギターでは、左手で弦を「押さえる」のが普通の弾き方だよね。弦を軽く触るのは、普通は「鳴っている音を止める」ことになるよね。でも、「軽く触って弾く」っていう、特別な弾き方もあるよ。

弦の長さの二分の一の箇所を、そっと触って弾いたら、弦が「8」の字で振動する。面白いよね。

弦の長さの三分の一の箇所や、四分の一の箇所を、そっと触って弾いたら、「8」の字が細かなネジネジのように振動する。

いつもと違う音色だから、効果的に使いたいね。


バスドラ:メイが説明

ドラムスは、大きさの違う太鼓、各種シンバルがセットになっているよね。その中で、最も低い音が鳴る、大きな太鼓がバスドラだ。

正面から見て目立つから、ここに何かを書いたり飾るのも、かっこいいよね。

足でバスドラを蹴ることはない。ペダルを踏んで演奏するけど、「キックドラム」と呼ぶこともあるんだ。


スネア(( )スネアドラム):メイが説明

ドラムスは、大きさの違う太鼓、各種シンバルがセットになっているよね。その中で、鋭い音が鳴る太鼓が、スネアドラムだ。

「ドラムロール」といって、「発表します! ……………………」と待っている間に「ドロロロロロ……」と鳴るのは、これを使う。わくわくするね。

スネアドラムと似ていて、少し低い音の「タム」と鳴るのは「タムタム」で、これらを合わせて、ドラムスでは多彩な演奏ができるんだね。



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