精霊の集まる島
世界は神々に満ちている。
神といってもどちらかといえば精霊と言ったほうが正しいかもしれない。
マグマや風、水や空気、岩や土、様々なものに精霊は宿る。
とはいえ、ほとんどはただ漂っているだけの粒子に過ぎない。
その粒子が大きくうねり、混ざり合い、意思を持つ神になるのは並大抵のことではない。
ところが、極東の長細い島々に多くの神々がいるという。
さらに、意思を持たぬ精霊も数多いるという。
大陸にいたある龍神はその島々に興味を持った。
ほんの数百年の間に、大陸では精霊が大きく数を減らした。
火山活動や、大気の変化で精霊が消えていくのはよくあることだが、ここ数百年の変化は、人間という小さな生き物によってもたらされていた。
人間が住む土地は精霊が減るのかと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
南の大陸はその人間が発生した土地であるが、精霊は数多いる。
その島々にも人間は住み着いているが、精霊も神も多いと聞けば、何が違うのか確かめたくもなろうというもの。
大陸の龍神は、ぐわんと空に駆け上がり、最果ての東を目指した。
(ほかの神々は人間など消してしまえばいいというが、本当に消していいものだろうか?)
大陸の龍神は、はるか昔、自分たちがまだ生き物であった時のことを思い出していた。
(仲間が皆消え失せるというのはとても寂しいことであるぞ)
大空から眼下を眺めた大陸の龍神は心臓が飛び上がる思いがした。
(この島は、龍だ!!!)
その島々が連なる姿は、まるで一つの龍の身体のようであった。
そして、その島から、わらわらと精霊のささやく声が洪水のように流れてきた。
(これは驚いた。かつての大陸のように精霊が満ち満ちている。しかもこれだけ火山神や溶岩神が多いにもかかわらず、生き物の多いことよ。)
大陸の龍神はにやりと笑うとその島に降り立った。
(さて、じっくりと見させてもらおう。)
その日、九州に大雨が降った。




