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ガチ恋オタクが目覚めると推しそっくりのアイドルに  作者: うつくじ


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3/14

あの日から

電車に轢かれて目覚めるとガチ恋オタクだった野口勇人は推しそっくりの一宮ゆみというアイドルになっていた。


記憶喪失になったということになっている一宮ゆみはマネージャー兼社長の高橋しょうこの家にお世話になることに


家に着いた時に後ろから話しかけられた声はどこか聞き馴染みのある声だった。

 「なぜ私の旧姓を知っているんだ」その言葉で確信した。しょうこのお父さんは大学の時の友達小林浩介なこと。

 やはり自分は死んだその事実が重くのし掛かる。

 「なんとなくふと頭に浮かんできて」苦笑いしながら話す。

 「なぜ高橋になったのですか」単純な疑問だった。小林は立ち話もあれだからとりあえずと言い家の戸を開ける。


 「アレから何年経つのかなぁ」少し笑顔で小林改めて高橋浩介は話始めた。


 大学を卒業して大企業の営業として採用された浩介は行方不明の大学時代の友人を探しながら働いていた。そのことを知った社長が友情に熱くていい男と見込み社長の娘とお見合いをさせ結婚。婿になった。

 「そ、その大学時代の友人は見つかったのですか?」「見つかってないよ。今でも探し続けてるだ」心配そうな表情で言った。

 「なぜその人をそこまで探しているのですか」と言うと浩介は笑いながら「決まったらじゃないか親友だからだよ」「親友…」と呟くと浩介は続けた「どうしようもないやつだったよ。でも話してるととっても楽しかった。裏表てがないやつで意外と素直でだからいきなり音信不通になってすごく心配なんだ」

 俺が野口だと伝えたくなったけど今言ったところでただの冗談を言っただけになってしまう。

 浩介はさらに続けた。

 「野口には恩が増えたんだよ」

 「5年前に妻が亡くなってしょうこは引きこもっていた。その時野口がくれたアイドルのライブDVDをしょうこが見て感動してアイドルプロデュースをしたいと妻が亡くなって以来初めて笑顔で俺に話してくれた」

 それを聞いてさらに胸が痛くなる。


 「で、なぜゆみちゃんがうちの家に」心配そうに聞く浩介に事情を話すしょうこ。「うちの家でゆっくりしてて大丈夫だからね」そう言い残して浩介は自分の部屋へと帰った。

 

 しょうこに連れられ畳の10畳の部屋に通してもらった。

 「ここの部屋好きに使っていいから。焦らなくていいからね。まだワンマンライブまで2週間もありますし、その間は休養という形にしているのでライブには参加しなくて大丈夫ですし、ゆみさんのペースで思い出していきましょう」優しい笑顔で話した。

「あと、これスマホ。記憶喪失なら前のスマホのロックも解けないと思うからあげる。メンバーの連絡先とSNS入ってるから」軽く頷く俺を見ておやすみと言い残してしょうこは自分の部屋へ


 押入れから敷布団を出して電気を消して寝た。色々考えることがあって寝れないかと思ったけど昼間のレッスンのおかげがすぐに寝てしまった。


 トゥルルル、トゥルルル電話の音で目覚めた。

「もしもし」電話に出るとまゆの声がした「ゆみさん今日朝から走るって言いましたよね今ゆみさんの家の前にいるので早く出てきてください」

「ごめん私今しょうこさんの家にいる」「わかりました向かいます」ため息混じりに言い残してまゆは電話切る。


 まゆはスパルタかと思いきや俺の走るペースを合わせてくれた。

 「ありがとう」そう伝えると「とんでもないです。ゆみさんなんか優しくなりましたね」

 「前の私はどうだったの」と聞くと気まずそうに「ちょっと厳しい人でした」という。

 過去の一宮ゆみはどんな人だったのか深掘りしようとするとまゆは話題を変えた。

 「今日bibiのライブあるので見にきてくださいよ。ライブ見たら記憶戻るかもしれないです」

 ライブ見たらさらに自分への嫌悪感が強くなる気がして見たくなかったがまゆに見つめられると断ることができなかった。

 「見に行くよ」そう答えるとまゆは嬉しそうにしていた。

 「ゆみさんのパートは今私がしてるんですよ」と嬉しそうに話す。「あ、わたしそろそろメイクしなきゃなんで帰ります」そう言ってまゆと別れて1人で家まで戻った。


 数時間後しょうこに連れられてライブハウスへ

 

 久しぶりライブハウスオタクがたくさんいた。『あなたの天使』よりもオタクが多く感じた。


 この日もbibiは対バンの大トリ。二階席の関係者席から初めて見たライブ完成度の高さフロアの盛り上がり、感動して思わず涙を流した。

 「あなたが加わることでさらにいいパフォーマンスを出すことができる。だからあなたの力が必要なの」しょうこは力強く言う


 ライブが終わり特典会の様子も見せてもらった。

 高坂さやかは微笑み浮かべておしとやかに話していて、峰山きいは元気いっぱいに話している。

 東雲みずきは聞き上手で白崎まゆは笑顔いっぱいだった。

 「特典会の対応の仕方は十人十色だから記憶が戻らなかった時のことも考えて対応の仕方勉強しといてよね」といいしょうこがメモを渡してきた。

 

 小崎春の特典会以外参加したことがなかったのでとても新鮮だった。


 ライブも終わり楽屋に顔を出しに行き、アドバイスをもらった。

 ちょっとずつではあったがアイドルをやろうという気持ちが強くなってきた。


 「試しにSNSに自撮りあげてみれば」さやかが提案すると「確かにファンの人の反応見ると何か思い出すかもしれないですしね」まゆが賛同する。

 

 試しにカメラを自分に向けてみる。

 自分のかわいさに驚いた。これが一宮ゆみ黒髪ストレートでスタイル抜群これで人気がないのが不思議だと思った。


 「わたしが撮るよ」みずきがそうカメラを構えてくれる。


 撮って試しにSNSにあげると「いきなり休養するっていうから心配してたよ」「美人」「元気そうでよかった」写真をあげるだけで賞賛を浴びて満たされていくのがわかった。


 幸せな気持ちでしょうこと帰路に着く。


 SNSのコメントが見るのが楽しくてずっと見ているとTLとあるツイートが回ってきた

『野口勇人を探しています 昨年の12月4日の深夜連絡して以来連絡が取れていません。 何か知っているの人がいたら九州警察まで』

 顔写真付きで確実に俺の写真だった。今まで気にしていなかったが今が何年の何月なのか

 状況についていけなくて気にしてなかった。あの出来事からどのくらいの月日が流れていたのか。

 スマホを見ると2026年4月24日あの卒業ライブからは4ヶ月しか経っていなかった。

 そうするとしょうこの親浩介は誰だったのか疑問に思った。


 すぐに浩介部屋に行き聞いた。

 「この野口勇人さんって浩介さんの知り合いですか」勢い部屋を開けて聞いてきた俺に驚きつつ「同性同名だけど別人だよ」と答えた。


 「そうですか…いきなりすみません」「全然大丈夫だよ むしろ教えてくれてありがとう」優しく浩介は答える。


 辛くなった家族が俺を探していることが俺が人を殺そうとしたことを知ったら世間にバレたら家族はどうなるか


 辛くなって考えて考えて考えても何も打開策が思いつかなかった。


 ただ自分のした行動を後悔することしかできなかった。

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