↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王の子供たち  作者: 真那川菜々


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/14

第二話

 午前中の仕事は赤西の予想通り、黄瀬の件の記者会見の取材だった。会見会場には、ありとあらゆるメディアの関係者がすし詰めになっている。会場に入ってから、普段はいない会社のロゴを見かけることが多く、有名人の影響力を感じた。

 赤西たちが席に着くとほどなくして、今回の件についての会見が始まった。今回の概要はこうだ。

 昨日正午ごろ、黄瀬はドラマの撮影の仕事が入っていた。しかし決められた時間になっても黄瀬は現れない。遅刻の連絡一つ寄こさない黄瀬を不審に思い、マネージャーが黄瀬の家に向かったそうだ。

 自宅には鍵がかかっており、合鍵を持ってなかったマネージャーは、マンションの管理会社に連絡し、鍵を開けてもらうことに。しかし、自宅のどこにも黄瀬がいない。マネージャーは黄瀬の所属事務所と相談の上、警察に相談した。

 警察が周囲を捜索したところ、自宅周辺の人通りの少ない茂みの中から、身体中を打ち付けた状態の、黄瀬の遺体が見つかった。死亡したのは、昨夜の午前一時ごろと推定されている。

 茂みのすぐ近くには高台があり、老朽化した柵が人一人通れるだけ壊れていたそうだ。その柵が黄瀬の下敷きになっていた。そのことから、この件は高台の柵の老朽化による落下事故、だと断定された。

 自殺の可能性も浮上したが、遺書などが残されていないため、黄瀬愛美は事故死、という見解になったらしい。

 会見が終わり、テレビカメラなどの撤収が進む。会見を生放送していたテレビ局なんかもいて、普段ここで見かけないアナウンサーの姿も見える。今回の件が、朝のワイドショーの格好の話題の種であろうことは、容易に想像できた。

 一緒に来ていた同僚も、帰り支度を始めている。しかし赤西は本社に帰って仕事なんかしていられるほどの、精神状態ではではなかった。

 なぜなら黄瀬が本当に母のような亡くなり方をしたのか、赤西は気になって仕方ない。それほど、母親の事故は赤西にとって、納得できない重い出来事であった。


「なあ、今度昼飯奢るから、本社への報告代わりにやってくれないか? 寄りたいとこあってさ……」


 赤西は同僚に向かって、両手を合わせて頭を下げる。


「またアレか? 飯奢ってくれるならいいけど、そろそろマザコンからは卒業しとけよ?」


 同僚は笑いながら、片手をひらひらさせつつ、あまり驚きもせず引き受けてくれた。マザコン発言には引っかかるが、話の通じる同僚には頭が上がらない。

 

「助かる! でも、マザコンは誤解だって!」

「あいよー、わかってますって」


 赤西は深くは聞かずに、頼みを聞いてくれた同僚に感謝しながら、軽い調子で会話をし、同僚と別れた。

 母が亡くなっていることは、ある程度の仲になった相手には話してある。それに突然死の絡んだ赤西の独断行動の多さは、赤西をある程度知る人間の中では、周知の事実だった。

 実際、赤西は警察の発表に、納得していなかった。黄瀬は老朽化している、柵のある近所の高台に、わざわざ行くような人間だったのだろうか? 柵が老朽化しているということは、危険な場所なのは、容易に想像できる。そんな危険な場所に、年頃の女性がわざわざ向かう、理由があったのだろうか? 疑問が次々浮かぶ。

 赤西はその疑問を放置して仕事ができるほど、大人ではないのかもしれない。本当ならこんな単独行動を、新人の立場でしてはいけないのかもしれない。頭ではわかっていても、赤西は止まれなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。