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第六章 12

「――これは、僕がやるよ」


ルカの静かな声が、場に響いた。


その直後だった。


空中に浮かぶアシカガ――いや、デミュートが、ゆっくりと顔を上げる。


その口元に、不気味な笑みが浮かんだ。


「ふっ……」


低く、重い声。


先ほどまでのアシカガとも、ベルモントとも違う。


それは、もっと本能的で、もっと禍々しい気配を帯びていた。


「この非検体に……核があったとは……」


ドンッ――!!


次の瞬間。


デミュートの体から、凄まじい負のエネルギーが爆発した。


「ぐっ……!」


ケイタが思わず足を踏ん張る。


シールドの内側にいるはずなのに、まるで空間そのものが押し潰されていくような圧迫感。


「この気配……やばいヤツ……?」


ルカが目を細める。


「ベルプリ! シールドの維持を!」


「はっ!」


その命令が飛んだ瞬間、デミュートが消えた。


「――っ!?」


一瞬遅れて、ベルナードたちの展開するシールド外縁に黒い衝撃が叩きつけられる。


轟音。


空間が歪む。


デミュートは、ベルナードの一体を狙って、すでに間合いへ入り込んでいた。


「速っ……!」


ケイタが息を呑む。


だが、その前へ滑り込むように現れたのは、ベルプリだった。


「やらせません!」


金属のような光を帯びた障壁を展開し、デミュートの一撃を受け流す。


しかし、完全には防ぎ切れない。


「くっ……!」


ベルプリは後退しながらも、そのまま攻撃に転じず、即座にシールドの補強へ回る。


「シールド維持を最優先します?!」


「そうして欲しい!」


ルカが叫ぶ。


「ケイタ! 僕たちで止めよう!」


「ああっ!」


ケイタが前へ飛び出す。


全身を覆うアーマード・フレームが、低く駆動音を響かせた。


ルカとケイタ。


二人が左右から同時にデミュートへ踏み込む。


ルカの場支配。


ケイタの突撃。


連携としては、完璧だった。


だが――


「ふっ!それでは、だめだな!」


デミュートが、ただ一言だけ呟いた。


次の瞬間。


黒い干渉エネルギーが、津波のように広がる。


「ぐっ……!」


ケイタの機体が大きく弾かれた。


「ケイタ!」


ルカが場を制御しようとするが、その干渉は通常のレベルではない。


重い。


濃い。


そして、侵食する。


ベルプリとベルナードたちが維持するシールドが、じわじわと軋み始めていた。


「まずいな……!」


ルカが歯を食いしばる。


「このままだと、押し切られる……!」


「くそっ……!」


ケイタのアーマード・フレームが、再び揺らぎ始める。


装甲の輪郭がわずかに崩れ、出力が不安定になっていく。


「まずいな……!」


ライムの補助が、干渉に削られている……


「出力が落ちてる!」


「時間が経つほど、不利になるな……?」


戦況は、明らかに悪化していた。


押されている。


このままでは、ジリ貧だ。


その時だった……


「――そこまでよっ!」


凛とした声が、空間を切り裂いた。


「……っ!?」


ケイタが振り向く。


そこに立っていたのは――


ミイアだった。


だが、それは今までの霊体のミイアではない。


失われていた肉体を取り戻し、完全な姿でそこに立つミイア……


その全身からは、静かでありながらも圧倒的な浄化の気配が溢れていた。


「ミイア……いつの間に?」


ケイタの声に、わずかに安堵が混じる。


ミイアは何も言わず、ただ静かに微笑み、片手を前へ差し出した。


その瞬間。


デミュートが放っていた黒い干渉エネルギーが――


ふっと、消えた。


「……うん?」


デミュートの声に、初めて明確な揺らぎが走る。


「あなたの干渉は、ここまで通しません」


ミイアの声は静かだった。


だが、その一言には絶対的な確信があった。


次々と放たれる干渉のエネルギーが、すべてミイアの周囲で中和され、霧散していく。


「おおっ……!」


ケイタが目を見開く。


「すげえ……全部、消えてる……!」


さらに、ミイアの周囲から淡い光が広がり、ベルナードたちの展開するシールドへ流れ込んでいく。


「シールド補強!……急速回復!」


ベルプリが叫ぶ。


「これなら……いけます!」


その瞬間だった。


(ケイタ!)


「おっ?」


ライムの声が、再びはっきりと響く。


(ごめん、ミスった……でももう、大丈夫!)


「ふっ……そうか!?」


揺らいでいたアーマード・フレームが、一気に再形成される。


輪郭が安定し、出力が戻っていく。


ルカもまた、静かに体勢を取り戻した。


「これで、立て直せるね?」


「いや――」


ケイタが、低く笑う。


「今度は、こっちのターンだろ?」


ミイアが戻り。


ライムが戻り。


ケイタとルカの連携が、再び噛み合う。


そして今――

デミュートを前に止まりかけていた時間が、再び、こちら側へ動き始めていた。



――

新たな活動報告があります!

ぜひ、ご参照ください



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