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アルタイルの終生 〜 後悔の人生、今世で優しくやり直す~  作者: 葛西 
第二章 学園編

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第四十二話 騒がしい一日

翌朝。


 アルはまだ布団の中で頭を抱えていた。昨日の出来事がまるで夢みたいに感じられる。けれど――夢じゃない。下から聞こえる母さんが朝の支度をする気配が、それを証明していた。

「……はぁ。行きたくねぇ」

 溜息混じりに呟いた瞬間、家の外から声がした。

「坊ちゃま、そろそろお時間です。校門までは馬車でお送りいたしましょうか?」


 ……は?……っっつ!もしかしてと窓を見るとそこにはシリウスがいた。

 なんでいるんだよ。今日の夕方辺りに洞窟で会う予定だっただろ。まさか学校についてくるつもりなのか、とアルは顔を覆った。それよりも、まだカリナとあいつの返事をどうするか考えてないぞ…..


 結局シリウスとアルは並んで登校することになった。通学路を歩けば、すれ違う生徒や住人が皆、視線を奪われて足を止める。


「誰、あの人!?」「執事……? 本物の?」

「めっちゃカッコいい……!」「いや怖くね?」


 目立つな、まぁこいつの見た目は20代前後、白い礼服に黒の髪色、鋭い眼差しにおまけにイケメンとまできた。そして俺はファッションにハマったからよく分かる。こいつの髪型はシースルーマッシュだ。

…..カッコよすぎんだろ!!


 完璧すぎる立ち居振る舞いは、そこにいるだけで舞台のようだった。

 当然、アルはうんざりする。

負けた気がして、どんどんこいつが嫌いになっていく。お前がいると俺の存在が薄くなっちゃうでしょうが!


「おい、目立ちすぎだろ。しっしっ俺は君を飼えません。だからなどっかいきなさい」

「ご安心を。私の存在は、すぐに“空気”のようになります」

「なってねぇよ!」

「それよりもさ、今日の夕方洞窟で会う予定だっただろうが」

「フフフ、早く会いたくて来ちゃいました」

「はやく会いたくてじゃねぇよ!」と俺はつっこんだ。俺ツッコミキャラじゃないんだけどな。

その時カリナと会った。カリナは必死に笑いをこらえている。

「……アル、執事さん、似合ってる」

「似合ってるって何だよ!てか俺の執事じゃない!」


カリナは昨日のことを忘れているように笑っていた。

 そうしてたどり着いた校門。

 待っていたルイスとノエルが、ぽかんと口を開けた。

「……アル、お前、何連れてきたんだ?」


「執事? いや、護衛騎士? いやいやいや!」

「違う! 勝手についてきただけだ!」


 必死に否定するアルの背後で、シリウスは深々と礼をした。

「シリウスと申します。以後、坊ちゃまのお側に仕える所存です」

 その一礼の所作のあまりの美しさに、生徒たちは息を呑んだ。

てかこいう俺の呼び方ころころと変わるな。

 ざわざわと広がる歓声と視線の渦。

 アルは頭を抱えた。

「……マジで、俺の学校生活終わった……」


教室に入ると、当然のようにシリウスもついてきた。

 しかも、堂々とした足取りで教壇横に立ち、静かに腕を組む。

「……あの、席、ないんですけど」

 エレナ先生が恐る恐る声をかける。

「私は生徒ではございません。坊ちゃまを陰ながらお守りするだけですので」

 そう言って一礼された、エレナ先生は完全に押し切られてしまった。


 生徒たちはざわめきを隠せない。

「マジで執事じゃん」「なんで学校に……?」

「ていうか、立ってるだけで様になるのズルくない?」


 アルは机に突っ伏した。

(頼むから空気になってくれ……!)

 しかし願い虚しく、事件はすぐに起こる。

 授業中、アルの机から鉛筆が転がり落ちた。

 カラン。


 ――次の瞬間。

「坊ちゃま」

 シリウスが音もなく拾い上げ、膝をついて差し出してきた。

 クラス全員が固まる。

「ひ、膝ついたぞ!」「なんだこの忠誠心!」

「犬?」

「映画みたい……」


「い、いいから! 拾うくらい自分でできるって!」

「いえ、坊ちゃまに地面の埃がつくなど耐えられませんので」

 ルイスとノエルは肩を震わせて笑いをこらえている。

「おいアル……お前の株、爆上がりだぞ、女子の目がヤバい」

 ちらりと見れば、何人かの女子が赤面して目を逸らした。

(やめろ!それ俺に対してじゃないだろ!!)


 休み時間。

 カリナがアルの机の前に立った。

「……アル、大丈夫?」


 その瞬間、シリウスは彼女を見据える。

 刃物のように鋭い視線――しかし、それは一瞬で消えた。

「……お嬢様。お心遣い、感謝いたします」

 穏やかな笑みを浮かべて頭を下げるシリウスに、カリナは驚いたように瞬きをした。

「……昨日のさ怖かったけど、もしかして優しい?」


「優しくねぇよ! 怖いだけだろ!」とアルは即座にツッコむ。

昨日の件…...どうしようかなぁ……


 放課後。

 教室を出て昇降口へ向かう途中、アルたちの前に数人の上級生が立ち塞がった。

「あ、いたいた。ちょっと付き合えよ」

 腕を組んだ三人組がにやにやと笑う。


 アルは眉をひそめる。

「なに…..なんですか」

「噂だぜ。専属執事つきの坊ちゃんだってな。俺らの靴でも磨いてくれるんだろ?」

 わざとらしく靴先を突き出してくる。

なんだよこいつらお前らな、上級生だからって俺は前まで高校生だったんだぞ。ふっ10年早いわ!


 ルイスが一歩前に出ようとした。しかし、それより早く影が動いた。

「……」

 シリウス。

 彼は一切の音を立てずにアルの前へ出ると、低く告げた。

「邪魔です」

 その声音には一切の感情がなく、ただ冷たく鋭かった。


 上級生たちの笑みが引きつる。

「な、なんだコイツ……!」

「執事じゃねぇのかよ」


 次の瞬間――風が走った。

 シリウスは上級生の服を軽くつまみ、あっさりと身動きを封じる。

「武力を用いる気はございません。しかし、坊ちゃまに無礼を働くなら話は別です」

 その一言で、彼らは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。


 残された廊下には、ただ呆然とするアルたち。

「お、お前の執事さん、強すぎだろ……」とルイスが言う。

「いや、怖すぎだろ……」

 ノエルはぽかんと口を開け、カリナは引き締まった顔をしていた。

「アル、」とカリナは呟く。

けれどルイスの言葉でそれはかき消される。「これはもう執事じゃなくて護衛騎士だな!」


「どっちでもいいんだよ!!それよりも、勝手に執事とか護衛しないでほしいね」とアルは全力でツッコむ。

 しかし、胸の奥でほんの少しだけ、安心を覚えていた。


 その時、夕暮れの光が差し込み、シリウスの影は長く伸びていた。

 影はまるで、これから先の未来までも包み込むようにーー。


 昇降口を出ると、校庭はオレンジ色に染まっていた。

 昼間の喧騒が嘘のように静かで、風に揺れる木々のざわめきが耳に心地よい。


 アルは小さく息を吐いた。

「……まったく、朝から騒がしい1日だったな」

「お前の執事さんがいたからな」とルイスが笑う。

「だから違うって言ってるだろ!」


 ノエルはまだ肩を震わせていて、笑いが止まらないらしい。

 結局、緊張も不安もすべて笑いに変わっていく。

 そんな三人のやり取りを少し後ろで見つめながら、シリウスは静かに一礼した。

「坊ちゃま。安全は確保いたしました。ご安心を」

「お、おう……」

 真剣に言われると、逆に返事に困る。


 ルイスがすかさず突っ込む。

「なあアル、執事っていうかさ……これ、もうやっぱ護衛騎士だろ」

「ほんとにそうだよ!」とノエルが笑う。

「俺ら自慢の優等生君と執事兼騎士。最強コンビかよ!」


おいおい、俺の名が霞んで見えるぞ。


 ――夕暮れに響く、笑い声。

 アルは少し恥ずかしそうに笑いながらも、どこか安心した表情を浮かべた。

 そうして彼らは、ゆっくりと校門を後にする。

 今日の一日は騒がしかったが、確かに忘れられない一日になった。

 次の一歩を踏み出す足取りは、不思議と軽かった。


ーー

もう俺とカリナだけになった。カリナは帰る道が違うが俺について来ている。

まぁそういうことだろうな。

「ねぇ、アル」

「どうした」

昨日のことについては俺も考えていた。けれどまだ会ったばかりで信頼なんてものはあまりない。けれど役に立つことは分かった。なら……


「昨日のことだけど、シリウスと一緒に英雄探しに行きましょ」

「な、なんと!」とシリウスは満面な笑みを顔に浮かばせた。

「やっぱり、貴方は坊ちゃまの友達としてふさわしいです」

「あ、ありがと」

「おい、シリウス一回黙れ」

「はい」とシリウスはしょんぼりとしていた。


「ところでカリナ、シリウスとの件だけど良いと思うよ。不安は残るけど役に立つ。そして何より、なんだか安心する」

「な、なんと!やはりアルタイル様は私の主であられます」

夕暮れ時なのに夕暮れ時だからだろうかとても眩しかった。


「ただ、一つだけ無理なんだ。解決策が思いつかなかった点。それは学校生活をどうするかだ」

そう、これだけは思いつかなかった。英雄探しに行くとなると、1日で帰ってこれないことは分かった。


まぁ当たり前ちゃ当たり前なんだろう。俺は前世ボケをしていたんだ。前の世界には電車、バス。まぁ色々と交通手段はあった。しかし、今は何もない。だから日帰りってわけにも行かない。どうしたものかね。


「それなら、ご安心を。分身を作ればよいのです」

「は?」分身?


「分身を作って学校に通わせればよいだけ。簡単な話です。ただ一割程度力を分身している間は常時取られますがね」


まてまてそんなことができるのか否。出来ない。そんね魔法知らない。てかあったら、世界がひっくり返るぞ


「そんなの俺らに出来るのか?」


「出来ません、なので今日の夜。また家に伺います」

出来ないのね

「なんで家に来るのよ!今やればいいじゃない!」


それもそうだ。今やってくれた方がありがたい。

「それは…..誰の目があるかも分からないので」

そういう感じか、まぁそういう感じのを前世の漫画とかで読んだけどそれは禁忌だったからな。


「分かった。じゃあ今日の夜。よろしくな」

「はい!ご主人様が二人に増えるのはとても愛おしいことです!」


「やめろ!俺が二人に増えるなんてキモいんだよ!」とまたもや俺は突っ込む事になった。てかこいつやっぱり俺の呼び方コロコロと変わるな。


まぁそんなわけで俺ら三人は楽しく?それぞれの家に帰る事になった。


そしてその夜アルに高熱がやってくるとも知らずに……


どうも葛西です!


突然ですけど、今日注目度ランキング九位になっていました。いやはやとっても嬉しいです。見てくれてる読者の皆様に感謝ですね!


僕にとっては執事のモチベーションになります。本当にありがとうございます。

これからもアルタイルの終生は続いていきます!


是非、一緒にこの物語を歩んでいきましょう!

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