第二十一話 結末
ガルバリンは木を何本も倒しながら、吹き飛んで行った。四本目でやっと止まり、ぐったりとしている。
「う、そ……」
「強すぎるんですけど……」
それを見て、カルナとエリーは驚愕して動けなくなっている。
いや、その前にトールにやられてるんだけどな。
「弱いなー、お前ら。本当に勇者パーティか?」
トールは不満足そうな顔をしながら、俺の前に二人を連れてきた。
「さて。二人とも、どうしてこんなことをしたんだ?」
あの二人、ガルバリンとデュアスはまともに話を聞ける状態じゃなかった。
この二人なら、話し合いができそうだ。
「それは、貴方が私達に呪いをかけたからです!」
「そうなんですけど! そのせいで、アタシ達は弱くなったんですけど!」
二人は震えながら言った。
恐怖で怯えてるみたいだけど、前までならこの程度じゃあビクともしなかった。
本当に弱ってるな。
「そんな呪いは掛けてないぞ」
「嘘です! だって、実際に私達には、今まで勝てていた魔物に勝てませんでした!」
「だから、掛けてないよ。何でそう思ったんだ?」
「それはガルバリンが、言ったからーーー」
呪いを受けたおかげで俺の居場所を見つけることができた、って。
「それってさ、お前らみんなアレンの配下なんじゃね?」
「「「え?」」」
俺とカルナ、エリーは予想外の言葉にびっくりした。
俺の配下って、二人がもう死んでるってことだよな?
「確かにそうですね。特徴が合致しています」
「それなら納得がいくわね」
フレアとリリスもそう思ってるみたいだ。
「そ、それはありえないです! 私は神の御力によって守られています! 私がアンデットになるなんて、絶対にありえないことです!」
「そうなんですけど!」
二人は速攻で否定してきた。
だが……。
「私は主人殿に使役された時から、離れていても主人殿の居場所がわかる様になりました。それは貴方達と同じじゃありませんか?」
そうなのか? 俺、初耳なんだけど。
「それにお前ら、すげえ臭いだぞ?」
それは、俺も思った。
ガルバリンも皮膚を傷付けただけで凄い臭いがしたし、カルナとエリーも少し離れていても臭いがする。
死臭の様な生臭さだ。
「私が斬った時の感触も人間というよりは腐った肉みたいな感触だったわ」
そうなんだ。
確かに、ガルバリンを殴った時も人間を殴った感触じゃなかった。
まるで、ただの肉の塊を殴ってる様な。
「えっと、その、あれですよね。旦那様から離れてすぐに弱くなったっていうのは、術者の旦那様から離れたから、死霊術の効果が薄れたと言うことではないでしょうか? 多分……」
サランがまとめてくれた。
………うん。確かに、これまでの話を聞いていくと、辻褄がある。
つまり、俺は勇者パーティのみんなを使役して、自分の配下に追放されたと?
はは。かっこ悪すぎるだろ。
「そ、そんな………」
「ですけど………」
二人もショックを受けてる。
「確かに、私の回復魔法でみんなはダメージを受けてましたが……」
「ほら。完全にアンデットじゃない」
リリスの言葉がトドメとなった。
どうやら、カルナは思い当たる節があったのかもしれない。
と言っても、100%カルナ達がアンデットだという保証はない。
まあ、簡単に確かめる方法なら、ある。
「二人とも動かないでね」
「え?」
「なにを……?」
俺は二人に近付いて、手を繋いだ。
「ネクロマンス」
「「っ!」」
その瞬間、二人の身体に生気が戻った。
「凄い、力が湧いてきます!」
「魔力が、魔力が戻ったんですけど!」
二人とも前の力が戻ってきている。
そして、これでアンデットだと証明された。
「でも、いいんですか? 私達に力を戻したら、殺される可能性も……」
「ああ、それは大丈夫」
ちらっ、と後ろに視線を送る。
そちらを見て、カルナも納得いったみたいだ。
俺の背後にフレアにトール、リリス、サランが控えている。
いつでも二人を殺せる様に。と。
「……確かに、無理そうですね」
二人とも諦めた様に下を見た。
「それじゃあ、さっさと済ませて欲しいんですけど」
え、何を?
「え、何を?」
「私達を殺すんですよね?」
「さっさとして欲しいんですけど」
「いや、殺さないけど」
「「はあ!?」」
え、そんなにおかしなこと言ったか?
「私達は貴方に散々、酷いことをしたんですよ!?」
「ですです!」
だってさ、別にいいんだよな。二人には特に恨みはないし。俺を刺したガルバリンは殺したし、サランを殺したデュアスもリリスが殺した。
もう、それで良いじゃないか。
「ですが、それは……」
「……」
でも、二人とも納得してないみたいだ。
どうしたものか。そう思ってると……。
「ふふんっ! なら、私が良いことを思い付いたわ! 二人とも、アレンのメイドになりなさい!」
「「ええっ!?」」
と、自信満々のリリスが言った。
「少しでもアレンに償いたいという気持ちがあるなら、そうやって償っていけばいいわ。そして、貴女達の気が済めば、アレンの愛人にでもなんでも、なればいい」
「「はあっ!?」」
「何を驚いてるのよ。この後ろの二人だって、アレンの愛人よ?」
「ち、違います!」
「そ、そそそ、そうだぜ!」
「大体私達はアンデットで愛人とかそういうのは……」
やけに早口になるフレア。
「関係ないでしょ、そんなの。大体、アレンのネクロマンスは本当に「生き返った」状態になるのよ。それこそ、子供だって作れるわ」
「「「「こ、こここ、子供!!?」」」」
ちらっ、と俺を見るフレアとトール、カルナ、エリー。
なんだよ、そんなに俺の方を見て……。
「うがああああああああああ!!!!」
その時だ。
ガルバリンが起き上がってきた。
「てめえらぁあああああああ! そんな奴の女になるってぇえええええ!? ふざけるなよぉおおおおお! てめえらはぁああああああ! 俺の女だろうがああああああ!!」
と叫ぶ。
そうなのか? と見ると、ぶんぶんと頭を振って否定する。
「私達は拒否してましたよ、昔から苦手でしたし……」
「ガルバリンとなんてゴメンなんですけど!」
本気で嫌そうな顔をしている。
こんなに嫌われてたんだな。
初めて知ったぞ。
「それによぉおおおお! アレンんんんんんんんっ!? お前、これで終われるとーーーー」
ビュンッ!
「うるせえんだよぉっ!!!」
ズガンッ!
「思うなよぉおおおおおお!? ……………………………あべっ?」
ゴロン、と遠くに転がる首。
その場に残った身体がゆっくりと崩れ落ちた。
「なんで、俺の身体がーーー」
「《落雷》!」
そこに追撃。
ガルバリンの首に何度も落雷が落ちた。
「あ…………や、べっ…………」
何度も。
「…………べ………………………」
何度も。
「ふう」
そして、ようやくガルバリンの首は喋らなくなった。
「ふんっ! オレだってイラついてたんだよ!」
最後にもう一度、落雷を落として、こちらに戻ってきた。
スッキリした顔をしてるから、ガス抜きは終わったみたいだ。
そして、静かになった。
全部終わった。
「……さて。帰ろうか」
俺が言うとみんな歩き出した。
「随分と遅くなってしまいましたね」
「オレ、今日の晩飯はステーキがいいなー」
「なんでよ」
「いや、肉の焼けた匂いが……」
「分かった。分かったから、それより先は言わなくて良いわ」
フレアとトールは今日の晩御飯の話をしてる。
ステーキか。じゃあ、そうしようかな。
「それより貴女、どうしてアレンを旦那様って呼ぶのよ」
「それは御主人。私の騎竜の主は御主人ですが、ネクロマンスの御主人様は旦那様です。でも、それだと区別が面倒くさいです」
「まあ、確かにそうよね」
「でも、御主人の未来の旦那様だから、旦那様で良いかなー、と」
「なるほどね。納得よ。それで正解。褒めてあげる」
「やったー!」
仲良く戯れ合うリリスとサラン。
リリスが頭をよしよしよしよしっ、とグシャグシャに撫でてるけど、サランは嬉しそうだ。
「お風呂に入りたいです」
「適応が早いんですけど」
「あら、貴女は入りたくないんですか?」
「……入りたいんですけど」
「でしょ?」
カルナとエリーも相変わらずだ。
「楽しいなぁ……」
そして、夕暮れの中を街に向かって俺達は歩いて行った。
これで一章完結です。
俺達の戦いはこれからだ! みたいな終わり方ですけど、続きます。
次からは毎日投稿は無理になると思います。
週三か、週二くらいになると思います。
少しの間、休ませていただきます。
長くても、二週間後までには必ず次の話を投稿します。
それまで、待っていただけると嬉しいです。
ありがとうございました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
ブックマークや評価(★★★★★)などよろしくお願いします。
誰も信用できないので絶対に裏切れない女奴隷を買うことにした〜帝国に裏切られた俺は奴隷たちに癒されながら、英雄になります〜
【一章完結しました】
【現在休載中】
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是非、読んでください。




