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週末の過ごし方  作者: Elle


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6日目その2

旧拠点ホームセンター

湯田たちの姿が見えなくなったあと。

屋上には重い空気が流れていた。

佐々木は腕を組み、小さくため息をつく。

「……話し合いにはならないな。」

今井が頷く。

「ええ。」

「私もそう思う。」

綾音も壁にもたれながら口を開く。

「最初から結論を決めて来てる。」

「『女子を取り戻す』って。」

「話を聞く気なんてない。」

佐々木はフェンス越しに道路を眺めた。

「それと。」

「帰り際に聞こえたんだが……。」

二人が佐々木を見る。

「アイツら。」

「『多少の事故は仕方ない。』とか言ってたぜ。」

空気が一気に張り詰める。

「事故……。」

今井の表情が厳しくなる。

綾音は眉をひそめた。

「怪我をさせるつもりってこと?」

佐々木はゆっくり頷く。

「たぶんな。」

「女子は取り戻す。」

「でも何人かには思い知らせてもいい。」

「そんな話もしてた。」

綾音が小さく舌打ちする。

「最低ね。」

今井も静かに息を吐いた。

「完全に力で解決するつもりなのね。」

佐々木は少し考えてから口を開く。

「湯田の目。」

「完全に勝つ気だった。」

「レベル二十っていう自信もあるんだろう。」

今井は静かに考え込む。

「問題は今日の夜ね。」

「あの言い方。」

「夜襲をかける可能性が高い。」

綾音が腕を組む。

「真正面から来るとは思えない。」

「夜に忍び込むつもりでしょうね。」

「どうします?」

佐々木は少し考えて答える。

「神谷に知らせたい。」

「それが一番だ。」

「でも……。」

苦笑いを浮かべる。

「場所が分からねぇ。」

「どこへ拠点を移したのか聞いてないし。」

「連絡する方法もない。」

今井も悔しそうに唇を噛む。

「そうね……。」

「こちらから伝えようにも、手段がない。」

綾音がため息をつく。

「神谷なら、そのうち様子を見に来る気もするけど。」

「それじゃ間に合わないかもしれない。」

しばらく沈黙が流れる。

佐々木が口を開いた。

「今できることをやるしかない。」

「この拠点は俺たちで守る。」

「神谷には……。」

「また会えたら報告だな。」

今井も頷く。

「ええ。」

「知らせるだけ知らせましょう。」

「判断は神谷くんに任せる。」

綾音が苦笑する。

「何だかんだ言って。」

「一番こういう状況に慣れてるのは神谷なのよね。」

佐々木も笑う。

「本人は否定するだろうけどな。」

「『ゲームで見ただけだから』って。」

「それでも。」

「今まで全部当たってる。」

今井は真剣な表情で二人を見た。

「今日は見張りを増やしましょう。」

「女子だけでは危険です。」

「佐々木くん。」

「お願いできる?」

「ああ。」

「レンジャーの感知能力がある。」

「近付けばすぐ分かる。」

綾音は腰の剣を軽く叩いた。

「私も夜は寝ない。」

「もし来るなら。」

「今度は好き勝手にはさせない。」

三人は互いに頷き合う。

そして佐々木は空を見上げ、小さく呟いた。

「神谷……。」

「頼むから、その七日目ってやつ。」

「外れてくれよ。」

しかし、その願いとは裏腹に。

夕暮れはゆっくりと近付いていた。


佐々木篤

旧拠点ホームセンター屋上。

佐々木、今井、綾音の三人は、ホームセンターの簡単な見取り図を地面に描きながら話し合っていた。

佐々木が口を開く。

「侵入経路だけど。」

「正面入口しかないよな。」

今井が頷く。

「そうね。」

「屋上へ来る方法は?」

佐々木は指で外壁を指した。

「前は外の梯子があった。」

「でも。」

「神谷が壊した。」

綾音が苦笑する。

「容赦ないわね。」

「まぁ、そのおかげで助かってるけど。」

佐々木も笑う。

「ホントにな。」

「だから今は。」

「一階から屋上へは来られない。」

「建物の中も封鎖済み。」

今井が確認する。

「ということは。」

「外から梯子を掛けるしかない?」

「ああ。」

「それが一番可能性が高い。」

綾音が裏手の林を指差した。

「裏から来る可能性は?」

佐々木は首を横に振る。

「低い。」

「神谷があそこ一帯。」

「トラップだらけにしてる。」

今井も思い出したように苦笑する。

「『自分でも全部覚えてないから近寄るな』って言っていたわね。」

「言ってた。」

「俺も近付きたくない。」

三人は苦笑する。

佐々木は真面目な表情に戻った。

「だから。」

「裏の警戒は最低限。」

「正面に人数を割こう。」

「もし来るなら。」

「梯子を掛けて一気に登ってくる。」

綾音は剣の柄を握る。

「梯子を倒せば終わり?」

「たぶん。」

「でも。」

佐々木は首を横へ振った。

「相手もバカじゃない。」

「一人が梯子を支えて。」

「その間に登る。」

「そういうことはやってくると思う。」

今井は少し考え込む。

「なら。」

「梯子を掛けさせない方法も必要ね。」

「石でも落とす?」

「いや。」

佐々木は笑う。

「神谷なら。」

「『せっかく登ってきたんだから、途中で落とした方が効率いい。』とか言いそうだけどな。」

三人は思わず笑った。

確かに。

あの男なら、本気でそう考える。

そして、それが一番効率的でもある。

しかし、笑顔はすぐに消えた。

佐々木が腕を組む。

「あと問題は……。」

「アイツらの職業構成とレベルだよな。」

「こっちは女子だけ。」

「魔法職、回復職、弓職が中心だ。」

今井は自分を指差す。

「前衛は私。」

「聖騎士。」

綾音も頷く。

「私は魔法剣士。」

「前に立てるのは実質この二人だけ。」

佐々木は苦笑する。

「俺はレンジャーだから。」

「近接は出来なくはないけど、本職じゃない。」

「後ろから援護する方が強い。」

今井は静かに頷いた。

「対して向こうは。」

「勇者の湯田。」

「前衛職も何人かいるはず。」

綾音が表情を曇らせる。

「レベルも分からない。」

「湯田だけでも二十。」

「他はどのくらいなんだろう。」

佐々木は大きく息を吐く。

「正面から殴り合うのは不利だな。」

「だから。」

「地形と罠を使うしかない。」

今井は力強く頷く。

「私たちは時間を稼ぐ。」

「戦って勝つんじゃない。」

「守り切ることを考えましょう。」

その言葉に二人も静かに頷いた。

勝利ではなく、防衛。

それが、この旧拠点での戦い方だった。


佐々木篤

「やっぱり来やがったか。」

屋上から男子たちを見下ろし、佐々木は小さく呟いた。

見張りを増やしておいて正解だった。

気付くのが少しでも遅れていたら、梯子を掛けられていたかもしれない。

佐々木は静かに弓を構える。

「みんな。」

「俺に合わせて。」

女子たちも一斉に弓を引き絞る。

狙うのは人ではない。

足元。

弓の有効射程、ぎりぎり。

「……今だ。」

ヒュンッ!

佐々木の矢を合図に、十数本の矢が夜空へ放たれた。

「うわっ!」

「矢だ!」

男子たちは慌てて身を伏せる。

一本、二本と足元へ突き刺さる。

かすめた者もいる。

致命傷にはならない。

だが。

「これで十分だ。」

「足を鈍らせることくらいはできる。」

今井も静かに頷く。

「目的は倒すことじゃない。」

「近寄らせないこと。」

綾音が剣を抜きながら言う。

「梯子さえ掛けさせなければ勝ち。」

佐々木は次の矢を番えた。

「そういうことだ。」

「絶対に屋上へ近付けさせるな!」

女子たちは力強く頷き、第二射の準備に入る。

夜の空へ、再び弦の音が響いた。


マンション組(裏手)

「静かに行け。」

小声で指示を出しながら、裏手担当の九人は林の中をゆっくり進んでいく。

先頭を歩くのは、かつてシーフだった男子。

今では職業欄が**『ローグ』**へと変わっていた。

本人も理由は分からない。

ある日突然、勝手にジョブチェンジしていたのだ。

しかし、そのおかげで得た能力もある。

「止まれ。」

小さく手を上げる。

「罠だ。」

地面に隠されたワイヤー。

踏み抜き式の落とし穴。

木杭。

即席の警報装置。

普通なら見逃すような罠が、ローグの感覚にははっきりと映っていた。

「またかよ……。」

後ろの男子が顔をしかめる。

ローグはため息をついた。

「数が多すぎる。」

「解除する。」

しゃがみ込み、一つずつ慎重に解除していく。

カチッ。

一つ解除。

また数メートル進む。

「……またある。」

解除。

さらに進む。

「またか。」

全然前へ進めない。

「神谷の野郎。」

「どんだけ仕掛けたんだよ。」

額に汗が浮かぶ。

「くそっ!」

その瞬間。

パチン!

「しまっ──」

バンッ!

仕掛けを一つ踏み違え、小さな爆発音が林に響く。

「うわっ!」

近くにいた男子が木片を受け、腕を押さえた。

「いてぇ!」

「大丈夫か!」

「かすっただけだ!」

ローグは悔しそうに歯を食いしばる。

「解除に失敗した……。」

さらに数分後。

別の罠でも一人が足を切る。

幸い重傷ではない。

だが、進軍速度は大きく落ちていた。

後ろの男子が小声で言う。

「これ……。」

「正面に合流した方がいいんじゃないか?」

誰も答えない。

ここまで来て引き返せば、時間だけを無駄にする。

だが、このまま進めば罠で消耗する。

ローグは林の奥を見つめ、小さく呟いた。

「……神谷。」

「お前、本当にクラフターか?」

「こんな数の罠、一人で作るか普通……。」

裏手部隊は足止めされたまま、判断を迫られていた。


マンション組(正面)

ヒュンッ!

ヒュンッ!

矢が次々と降り注ぐ。

「くそっ!」

男子たちは物陰へ身を隠しながら前進するが、なかなか距離が縮まらない。


「湯田さん!」

男子が駆け寄る。

「裏からの連絡です!」

「どうした!」

「罠が多すぎて進めないそうです!」

「解除しても解除しても終わらないって!」

湯田は顔をしかめる。

「……神谷か。」

「クラフターの本領発揮ってわけだ。」

正面は弓。

裏は罠。

簡単に攻略できると思っていたホームセンターは、いつの間にか小さな要塞へと変わっていた。


湯田は大きく息を吸い、叫ぶ。

「怯むな!」

「相手は女子だ!」

「押し切れば終わる!」

「……佐々木。」

「やっぱ有能だな。」

弓の射程を完全に把握し、一斉射撃でこちらの足を止めている。

「敵なのが残念だ。」

湯田は後ろを振り返る。

「おい、橋若!」

「みんなに防御魔法を使え!」

「それで一気に突っ込む!」

橋若は露骨に嫌そうな顔をした。

「えぇ~?」

「疲れるしぃ。」

「八人も掛けるの?」

湯田の眉がぴくりと動く。

「さっさとやれ!」

その怒声に橋若は肩をすくめる。

「はーい。」

「沢田!」

「佐古!」

「手伝って!」

「えー。」

「しょうがないなぁ。」

三人は前へ出ると、それぞれ杖を構えた。

「《プロテクション》!」

「《マジックシールド》!」

「《ガードオーラ》!」

淡い光が男子たちを包み込む。

その様子を屋上から見ていた佐々木が叫ぶ。

「気をつけろ!」

「前衛にバフを掛けてる!」

「突っ込んでくるぞ!」

「よし。」

湯田は剣を抜いた。

「魔法が掛かったら速攻だ!」

「弓なんか無視して突っ込め!」

「「おおっ!」」

男子たちは一斉に駆け出した。

防御魔法をまとった前衛が、一気にホームセンターへ迫る。


「ファイア!」

「アイス!」

「ウォーター!」

「エアー!」

屋上から初級魔法が次々と飛んでくる。

炎の玉。

氷の礫。

水の弾丸。

風の刃。

しかし、防御魔法に包まれた湯田は歯を見せて笑った。

「そんな雑魚魔法……!」

炎が肩をかすめる。

氷が腕を叩く。

風が身体を揺らす。

どれも致命傷には程遠い。

「バフが掛かった俺には効かねぇ!」

魔法を受け流しながら、さらに前へ踏み込む。

「早く梯子を掛けろ!」

「登れ!」

「屋上まで行けば俺たちの勝ちだ!」

前衛たちは梯子を抱え、一気にホームセンターの壁際へと走り出した。


旧拠点ホームセンター

「不味い!」

佐々木が叫ぶ。

「梯子を掛けられた!」

壁へ立て掛けられた梯子を、男子が一気によじ登ってくる。

「止めろ!」

矢を放つが、もう間に合わない。

ガシッ。

屋上へ一人の男子が飛び乗った。

剣を抜き、ニヤリと笑う。

「へへっ。」

「一番乗りだ。」

周囲の女子を見回しながら舌なめずりする。

「さて。」

「誰にしようかなぁ。」

その瞬間。

「ここまでご苦労だったな。」

低い声が響いた。

男子が振り向く。

「もう来なくていいぞ。」

「へっ──」

ドゴォッ!!

綾音の前蹴りが男子の胸へ炸裂する。

「がぁぁっ!!」

男子の身体はそのまま宙へ浮き。

屋上から真っ逆さまに落下した。

ドサッ!!

下から悲鳴が上がる。

「お、おい!」

「大丈夫か!」

綾音は一歩も引かない。

そのまま梯子へ近付き、

ドンッ!!

力いっぱい蹴り飛ばした。

ガラガラガラッ!!

梯子は壁から外れ、地面へ倒れ込む。

綾音は剣を構え、男子たちを睨みつけた。

「ゴミ共が。」

その一言だけで空気が凍る。

「私がいる限り。」

「女子に無体なことは、一切させん。」

夜風が吹き抜ける。

屋上の女子たちは、その頼もしい背中を見つめていた。

一方、屋上の端で弓を構えていた佐々木は、思わず口元を緩める。

「……。」

「おー。」

「俺の彼女。カッコいいわぁ。」

綾音は振り向きもせず答える。

「あとで褒めなさい。」

「もちろん!」

そのやり取りに、緊迫した屋上に小さな笑いが生まれた。

だが、地上にはまだ多くの男子たちが残っている。

戦いは、まだ始まったばかりだった。


佐々木篤

戦いは、気が付けば三時間にも及んでいた。

何度も。

何度も。

男子たちは梯子を掛けてくる。

その度に綾音や今井が叩き落とし、女子たちは弓と魔法で迎え撃つ。

しかし。

時間だけは、平等だった。

「はぁ……。」

「はぁ……。」

女子たちの肩で息をする音が聞こえる。

矢筒は軽くなり。

魔法使いたちの魔力も底が見え始める。

対して男子は交代しながら攻めてくる。

基礎体力。

筋力。

そしてレベル。

その差は、長期戦になるほど大きく現れていた。

決定的だったのは――。

「湯田だ!」

勇者・湯田が梯子を駆け上がってきた。

「どけぇぇぇっ!」

重い一撃。

ガギィン!!

今井が受け止める。

「ぐっ……!」

その横から綾音が斬り込む。

「させない!」

火花が散る。

二人掛かりでようやく押し返せる。

それが限界だった。

「くっ……!」

今井の額を汗が流れる。

「強い……!」

綾音も歯を食いしばる。

「これが……勇者。」

その隙だった。

「今だ!」

別の場所で梯子が掛けられる。

「しまっ!」

佐々木が矢を放つが間に合わない。

さらに。

「裏だ!」

「裏にも梯子が!」

いつの間にか、裏手からも男子たちが屋上へ登り始めていた。

「くそっ!」

ローグが時間を稼いだはずの裏部隊まで突破してきたのだ。

女子たちは自然と背中を合わせ、一か所へ集まっていく。

「固まれ!」

「勝手に動くな!」

今井の指示で防御陣形を組む。

だが。

屋上の各所には男子たちが次々と上がってくる。

数が違う。

体力が違う。

押し返しても押し返しても、終わらない。

佐々木は弓を握る手に力を込めた。

(……もう。)

(時間の問題だ。)


佐々木篤

屋上は完全に包囲されていた。

男子たちがじりじりと距離を詰めてくる。

今井と綾音は前に立ち、女子たちを背中へ庇う。

息は荒い。

鎧にも服にも傷が増えていた。

その時。

湯田が剣を肩へ担ぎ、ニヤニヤと笑いながら一歩前へ出る。

「どうする?」

「降参するなら、多少は考えてやるぞ?」

その一言に、男子たちから笑い声が漏れる。

「そうそう。」

「もう終わりだろ。」

「大人しく帰って来いよ。」

「女子だけで頑張ったじゃねぇか。」

誰も武器は下ろさない。

今井は静かに剣を構え直した。

「……その"多少"って何ですか?」

湯田は肩をすくめる。

「抵抗しなけりゃ。」

「怪我くらいで済ませてやるってことだ。」

「後で少しサービスしてもらうかもしれねーけど、仕方ないよなぁ~」

「これ以上暴れられると、こっちも手加減できなくなるしな。」

綾音の目が細くなる。

「随分と上からね。」

湯田は笑みを崩さない。

「当たり前だろ。」

「勝ったのはこっちなんだから。」

「まだやるなら、それでもいい。」

「でも、その先は保証しねぇ。」

佐々木は弓を構えたまま、小さく息を吐く。

(……時間切れか。)

体力も。

矢も。

魔力も。

もう限界だった。

それでも。

誰一人として武器を捨てようとはしない。

今井が一歩前へ出る。

「私たちは……。」

その言葉を遮るように、湯田が笑って言った。

「返事は簡単だ。」

「降参か。」

「続けるか。」

「選べ。」

屋上に、重苦しい沈黙が流れた。

女子たちの間に緊張が走る。

誰も言葉を返せない。

その時だった。

今井が静かに一歩前へ出て振り返る。

「みんな。」

その声に全員が注目する。

「今から私は……。」

少し頬を赤く染めながら、それでも真っ直ぐ前を見据える。

「とんでもないことを言うわ。」

「出来れば……。」

「明日には忘れてほしい。そして何も聞かないで欲しい。」

女子たちと佐々木は「?????」という表情になる。

今井は苦笑しながら佐々木を見た。

「あと。」

「佐々木君。」

「先に謝っておくわ。」

「ごめんなさいね。」

「え?」

「え?」

佐々木も綾音も意味が分からない。

「おかしなことしたら容赦しねぇぞ?」

「すぐ終わるわ・・・」

今井は湯田の方へ振り返り、ゆっくりと剣を地面へ突き立てる。

両手を胸の前で組み。

静かに目を閉じた。

その声は、戦場とは思えないほど澄んでいた。


「我は完全なる者に非ず。」

「傲慢、強欲、嫉妬、憤怒、色欲、暴食 怠惰」

「幾度過ちを犯し、人を傷つけ、己の弱さから目を背けてきた。」

「されど我は逃げぬ。」

「罪を罪と認め、そのすべてを背負い歩もう。」

「裁くなら裁きたまえ。」

「赦すなら赦したまえ。」

「この身、この魂、そのすべてを神前に捧げる。」

《告解(コンフェッション)》


その瞬間。

白銀の光が今井を包み込む。

夜空を照らすほどの神々しい後光。

風が止み。空気が震える。動けない・・・なんだこれ・・・。

男子も女子も、思わず息を呑んだ。

そして。

天から、厳かな声が響く。

『――汝、罪を告解せよ。』

屋上は静寂に包まれた。

今井はゆっくりと息を吸い込み――。

顔を真っ赤に染めながら。

人生最大級に恥ずかしい告白を大声で始めようとしていた。

「・・・私、今井千絵は・・・エロイ女です!!」

「〇学〇年の時に、神谷君とえろいことをしました!!。」

「二人は童〇と処〇でうまくいくはずないのに、なぜかうまくいきました。相性がよかったのでしょうか?」

「しかも、若かったので何回も致してしまい最後はちょっと気持ちよかったです!!」

「私は、ここにいる童〇達を神谷君には到底かなうわけもない、クソ雑魚ナメクジ野郎だと思ってます!!」

「いいかお前らは、女とエロイこともしたことのない童貞野郎ということを忘れず、もっと謙虚に生きろ!!日陰を歩け!!」

「そんな童貞野郎どもは、今、エロイ私を困らせています!!思い上がりのはなはだしい童貞野郎には許されない暴挙です!!」

「そんなおまえらはみんな、毒になって出血して火傷して凍傷になり感電して骨折して麻痺して沈黙して暗闇になってHPとMPが1になって、佐々木以外マンションへ帰れ!」

「もし次きたらおまえら全員いんぽにしてやる!!」

「あと神谷君とやり直したい!!!!!」


『その告解、確かに受け取った。』

『――汝の罪を赦そう』


「ぐあーーーーーーーー------!?」×19人

その瞬間男子18人+佐々木は、レジストも発動せず、防御魔法が勝手に解除され、

毒になり出血して火傷をおい凍傷になり、感電して骨折して麻痺して沈黙して暗闇になりHPが1になりMPも1になった。

そして佐々木以外、シュッときえた。

「ふぅ~、助かったわね。なんとか勝てたわ、危なかった。」

キリッと今井さんがそんなことをぬかす。なんて恐ろしい女なんだ。

「佐々木くん、大丈夫?」

見てわからないか?大丈夫じゃねえよ。

おれはまぢで動けねぇ・・・喋れねぇ・・・目もみえねぇ・・・綾音助けてくれ。


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