第四怪 シャイニングボーイと除霊師(その3)
公民館から15分ぐらい経つ所に公園がある。
小さい公園だがよく小さい子たちが遊んでいるところを何度か見かけた事はある。
その公園に古い警察服を着たサエグサさんと制服姿のままのスズメさんが待っていた。
「お待たせしました。この子が前にお話しした桐生コウです。コウ。こちらはサエグサさんと朱堂スズメさんだ」
「初めまして。朱堂スズメです」
「どもども。サエグサです」
二人が挨拶を交わすとコウは堀が深く濃い顔で満面な笑顔を見せた。
「初めまして!桐生コウです!鎌倉東栄中学校 一年生です!みんなからジャパニーズ・ブラットピットって呼ばれています!」
「いや。全然呼んでないから。どちらかと言えば阿部寛に近い」
「趣味はスポーツと悪者退治です!夢はアベンジャーズみたいなかっこいいヒーローになる事です!!クマを素手で倒したのが121回。サメをミンチにしたのは81回。悪者をやっつけたのは何回か忘れましたがやった経験はあります!座右の銘は勧善懲悪!どうぞよろしくお願い致します」
相変わらず自己紹介はけっこうぶっ飛んでいる。
でも、この全力さと明るさは嫌いではない。
「女子がいるってことは。もしかしてジョー先輩のコレですか?」
意地悪そうに笑いながらコウは俺に向けて小指を立てたが俺は「違う友達だ」と頑なに拒否った。
「坊や。初めてあったばかりで恐縮だが、単刀直入にいくつか質問してもいいかな?」
物腰柔らかそうに話してくるサエグサさんにコウは「はい!」と元気よく返事した。
「その1 誰もいないはずなのに妙に物音がよく聞こえる」
「はい。よく聞きますね」
「その2 異様に腹が減る」
「ありますね。毎食一日四食じゃないと落ち着きませんね」
「その3 よく予感があたる」
「あります。この前、お店のくじ引きで一等賞が出る予感がしてやってみたら本当に一等獲りました」
「その4 今までの人生で選択に迷った事は?」
「特にありません!選択肢を選ぶよりそのまま直感ですぐ行っちゃいます。めんどくさいので!」
悠々と明るく質問に答えるコウだが物音以外はほとんど当てはまっている。
「うん。間違いない。この子は霊に憑かれやすいタイプだ。でも不思議だな。霊媒体質や憑依体質ならどこかしら体調不調を訴えるはずなんだが。この子にはそんな様子はない」
「コウはの直感力はすごいんですよ。練習試合でも自分がどう動けばゴールに近づけるのか?メンバーがどのポジションを取ってボールをパスしてくるのか?誰も言っていない事を瞬時に予測するんです」
「『誰もいないのに物音がする』『異様に腹が減る』『予感があたる』は霊障による影響が大きいが弱体化していないし病んでもいないからすると、コウくんは底抜けのポジティブマンだ」
「ポジティブと霊感って関係あるの?」
「基本、ポジティブシンキングな人間は霊障を受けにくい。コウくんみたいな太陽人間なら例え霊に憑かれたとしても何の影響も受けない。霊が入り込む隙がないからな。だが、彼みたいなシャイニング・ポジティブスターライト・ヒューマンが霊に憑かれやすいというパターンはごくわずかだ。霊は明るくて生き生きとしたエネルギーに目をつけて吸い寄せられるかのように集まる事がある。彼にはその体質と資質を持っているんだ」
霊は暗くて陰気な人に取り憑くイメージが強かったが元気が有り余るほどポジティブで明るい人間に近づくこともあるという事を今初めて知った。
まるで、光に集まる虫みたいだ。
「えっ?霊?幽霊?!幽霊がいるんですか?」
突然、コウがすごい好奇心旺盛な勢いで目を輝かせていた。
君の後ろにいるとスズメさんが伝えるとコウは振り向いた背中には何もいなかった。
というより、見えなかった。
「どこ?どこどこ?」
無邪気に後ろを振り向きながらも体ごとグルグルと回りながら背後にいる霊を見ようとする。まるで、犬が自分の尻尾を追いかけて遊ぶ様子を見ているみたいだ。
「受け売り早っ」
自分たちは幽霊の存在を受け入れるのに少し時間がかかったのにコウの場合は瞬きをする暇がないぐらい一瞬で俺たちの話に鵜呑みしすぐ信じ始めた。
「どこにいるの?全然見えない!」
後ろに霊がいるのか振り向いて探すも全然見つからずとても残念そうに落ち込むコウ。
「そんなに幽霊を見たいのかい?」
サエグサさんがさりげなく話すとコウは頷いた。
「はい!僕、心霊系とか不思議体験のお話は好きなんです。いつか本物の幽霊を見てみたいな~って思っていて。もし可能ならタイマン張ってみたいです!でも、全然見えない!」
残念がるコウにスズメさんは「見えない方が一番いいと思うよ」と霊感なしの方が楽だと教えるが彼はどうしても幽霊が見たいそうだ。
しかも、霊とタイマンを張るなんて思想は誰も思いつかないよ。
だって相手は物理攻撃が効かないんだから。
「霊に憑きやすいが霊感はないという流れだな。でも、スズメちゃんの言う通り霊が見えない方が一番いいぞ?」
「でもやっぱり幽霊見たいよー」
小さな子供みたいに駄々をこねるコウ。
「その顔で駄々こねるのやめてくれ」
まるで、大の大人が子供の真似事をしているみたいで見苦しくて目を逸らしたくなる。
濃くて堀が深い男が駄々をこねるとなんかインパクトを強く感じてしまう。
「こんなにたくさん霊が憑いていても平然としているし霊障を受けていないみたいだから特に問題はないと思うが」
「れいしょう?」
「霊に取り憑かれた人が体調不良や病気になってしまう現象だ。特に君たちみたいな霊感に鋭い人は取り憑かれやすい。コウくん。特に害はないが君にはたくさんの霊が取り憑いている。こんなに多くの霊に取り憑かれているのに霊障の影響を受けないなんて極めて珍しい。このまま放置しても問題ないと思うがどうする?」
率直な質問にコウは周りを見渡すが見えないものが見えないこの状況に困惑しながらも
「今もいるんですか?」
サエグサさんは頷きコウの背後にいる霊たちを見て教えた。
「ああ。男女問わずわんさか憑いてるよ。もし、放置でいいならそれでもいいけど女霊もいるからいつでも君の全裸姿見放題できるし毎日プライベートを見ながら面白がる奴もいれば何らかの癖に目覚めるかもしれないし。参考まで言うが今、君は男女問わずめっちゃ身体触られているぞ」
「コウって女子だけじゃなく男子にもモテるからな~」
心当たりがあるのでさりげなく言う。
霊は男女問わずコウの体を触ったりして変態心に目覚めかけている。
霊たちがコウの体を触ったり興味惹かれているのはそれほど彼を魅力的な人だと思っているのかもしれない。
その気持ちは分からなくないかもしれない。だって、コウのボディは理想に近い惚れ惚れしてしまうぐらい素晴らしい体つきだもの。
「WOW!!祓ってくださーーーい!!」
さすがのコウでもやたらにボディタッチされまくられた嫌だよね。
「よ~し。任せんしゃい」
そう言ってサエグサさんは腰に装備していた角灯を持って回したその時だ。
「おらぁぁぁぁぁ!!!そこの変態クソゴースト共!!濃いイケメンにやたらと好き放題ボディタッチすんじゃねーー!とっととあの世へ逝きやがれーー!!」
角灯をぶん回して霊を攻撃すると霊本人達もいきなり攻撃されてすごい驚いた。
何が起きたのかさっぱり分からなかった彼らは仰天した顔をしながら飛んで行った。
コウの背中に居続ける霊たちを穏便に話し合って立ち退いてもらうよう警察官らしい落ち着いた交渉をするのかと思ったらまさかの強制退去で雑な追い払い方をして俺とスズメさんはさすがにドン引きした。
「交渉するより力で解決ですか?!あんた一応警官でしょ?!そんな雑なやり方でいいんですか?!」
あまりにも乱暴な追い払い方だったのでスズメさんが鋭く指摘するとサエグサさんはなぜか平然とした顔をしていた。
「ああいう奴らはなかなか離れてくれないケースが多いんだ。だとしたら強制退去してもらうしか方法はない。それにな。この世の中には話し合っても『はい。わかりました』なんて素直に分かってもらえる奴なんていやしないんだ。殺やられる前に殺るのと同じであっちがやる気ならこっちもそれなりの対処をせねばならん。時には弾圧的にやる必要もあるんだ」
「怖いですよ!一体あなたの身になにがあったんですか?」
サエグサさんのやり方に納得いかないスズメさん。
俺も今のやり方は警察官らしくない気もした。それに、前から思ったが彼の言葉には妙に重みがあってまるで経験しているからこそ言える言葉だと思えるぐらい説得力感もあった。
なぜ彼が地獄へ堕ちたのかその理由はまだハッキリしていないが闇を抱えている部分はありそうだ。
「いいんですか?捕まえなくても」
霊が勝手に他人の背後に居ついて勝手にボディタッチをしまくっていたから捕まえてあの世へ強制送還してもいいのでは?と素朴ながら疑問に思った。
「ああ。別にいいよ。ボディタッチをしていただけだし。そこまでヤバい霊でもないから逮捕する必要はないよ。あれで十分だ。俺の仕事は別に逮捕してあの世へ強制送還するだけじゃない。霊の行いを止めたり話し合って円満解決する事も業務の一つだからな。追い払うだけでも成績が上がるのは変わりない」
角灯の中にある霊丹はあんまり溜まっていないが一年経てば今回分の霊丹の量が増えると期待しているのだろう。
「さて。これで一通り通常霊は追い払った。この件は万事解決ということでおしまいにしたいところだが──」
これで終わった。と思いきやサエグサさんはなぜか視線を別の方向に向けていた。
「一人だけ厄介な奴がいるな」
俺とスズメさんも彼の視線を追うと体が硬直した。
木の陰でこちらをジッと見ている若い男が姿を隠しながら密かに俺たちの方を傍観していた。体は細く丸顔で短髪の30代半ばぐらいの男。肌は色白いが体が黒く染まっていて何とも根暗そうな雰囲気がある少し不気味な奴だった。
「見るな。無視しろ。ああいう奴は極限的なかまってちゃんタイプで誰かが自分の存在に気づいてもらいたいんだ」
相手に気づかれず聞こえないぐらい小さな声でサエグサさんは話す。
「いわゆるさみしがり屋?」
「大まかに言えばそうだな。霊ってのは大半は自分が死んだ事すら気づいていない奴が多い。死の自覚を持たないままあちこち彷徨う霊ってけっこういるんだぜ?前に話したと思うが人間が死んだ後、必ず死神が迎えに来てあの世へ連れてってもらうのだが今はお迎えする人手が足りなくて彼らもいろいろと忙しいからいちいち現世まで行ってお迎えをする時間がなかなかないからな。大半はこの世に未練を残している霊が多いから果たしたら自らあの世へ逝くよう伝えてはいるが約束を守る霊はなかなかいない」
淡々と冷静に語るサエグサさんは近くに霊がいる事すら気づいていてもけっして見向きもしない。
「霊には現世に留まる期間がある。もし、その期間が過ぎれば例え善良な霊でも自然に悪霊化してしまう。この前の陽菜ちゃんみたいに憎悪を抱いている霊が凶霊になる事はあるが、例え憎しみがないとしても現世に留まり続ければ最悪の場合、暴走することさえあれば稀に自我を失って意識が保てずバーサーカー状態になってしまうことだってある。死者が生者に危害を加えず速やかに対処するよう俺ら煉網警官や代行人が派遣されているんだ。霊って影響を受けやすい存在だからな。霊は現世から流れ出ているマイナスエネルギーを自動的に徐々に蓄積している。だから現世での長期滞在は控えてもらわなくちゃいけないんだ」
全然知らなかった。
よく霊能関連の話では悪霊とか聞くがまさか憎悪も嫉妬にも囚われていない危害を加えない霊まで凶暴になるとは今まで聞いた事がなかった。
もし、身内の中でとても優しい人がマイナスエネルギーを受けたせいで悪霊化してしまったらすごく悲しい。
俺も爺ちゃんや婆ちゃんが自然に悪霊化して危害を加えたら悲観してしまうかもしれない。
「あの霊。体が黒いからもしかして悪霊ですよね?」
こちらを見つめる霊に気づかれないよう控えめな声で訊ねる。
「そうだな。悪霊にもいろんな奴がいて憎しみを抱いたり恨みがあったり強い執着心を持った奴がいる。要は拗らせ屋だ。生前の人間関係や体験したこと、今まで味わった屈辱や侮辱だったこと。そして心に囚われたまま死んで目的が果たせなかった者。人間の心情は複雑に絡み合う厄介な生き物だからな。死して尚、未練を抱えたまま誰かを恨んだり生前での強い執着心を抱えて悪霊になる奴もいる。あいつもその一人だろう」
「どうするんですか?」
「とにかく見えていない振りをしろ。通常霊は自分の存在に気づいてほしいんだ。いわば、かまってちゃんなんだよ。特に悪霊がやばい。もし、霊と目を遭わせたらこちらが見えている事に気づかれて最悪憑依されちまう。霊感に強く敏感で神経質な奴が一番取り憑かれやすく影響を受けやすいから二人とも気をつけろ」
それを聞いたらさすがに嫌だなと思う。そして、霊感なんか持たなきゃよかったと今更さら後悔しても時既に遅し。
「霊を取り締まるお巡りさんでしょ?何とかならないんですか?」
ヒソヒソ声で煉網警官の出番だとスズメさんは言う。
「ならなくもないが捕えるのは難しい。悪霊にも危険度があって黒色の濃度が高ければヤベー奴だと断定できる。前にスズメちゃんにセクハラしたおっさん霊も悪霊化していたがあれはそれほど危険度が低い奴だったから対処できた。あれはCランク以下の霊だったから僕でもうまく対処できた。だが、Cランク~Sランクの悪霊だとなかなか厄介で対処しにくい。言っておくが僕はマーベルヒーローみたいにかっこよく戦う事はできない。つーか、そんな身体能力もない。霊丹で体力向上しても適わない時もある。仮に僕が悪霊に取り憑かれたら霊障を受けて病んでしまう。そして最悪の場合、死に至り僕の第二の人生が終わってしまう。僕も君らとほぼ同等だからな。因みに言っておくが僕はお祓いとか呪術とか一切使えないしできない。そして、あいつの濃度の濃さと様子から見れば恐らくBランク。そのうえ、あいつは自分にしか興味がなく他人に対しては一切無関心。周りの霊がいなくなった事すら気づいていない。つまり、奴は『粘着質タイプ』の霊だ。しかも面倒な事に下手に刺激すれば何されるか分からん。自我があるとはいえあまり関わりたくないタイプだな」
サエグサさんの話を聞いてなんか分かる気がする。
あの男の霊を無視しても気配だけで分かる。肌に伝わるのだ。
木の陰に隠れながらジーッとこちらに視線を送り続けまるで自分たちを監視しているみたいで異様に悪寒がする。ちょっとでも振り向いたら視線が合って絡まれたら余計に怖い。
ニュースで見かける難癖つけてやたらと絡んでくる厄介な人間と同じだ。先日起きた元交際相手を殺害した男も被害者に執着しすぎたせいで殺害をしてしまった。
あの霊も同じ立場なのかどうかはしらないが取り憑かれでもしたらもともこうもない。
それに気のせいだろうか?男の霊の方から何だか淫らな声が聞こえた気がする。
「大方、コウくんを見て興奮してるんだろ。さて。ここからが問題だ。どうやってあいつを祓うかだ。さっきも言ったが僕はお祓いなんてものはできない。ランクが高い悪霊を転送するには除霊師の力が必要だ。除霊師は僕一人では対応するのが難しい霊を祓ってくれる心強い戦士だ。彼らはお祓いだけじゃなく霊の穢れや悪を取り除き清浄してくれるし浄化も得意。除霊師といった霊能者はそこら中いるが大半は悪徳商法という手を使った偽物の方が多く本物はけっこう少ないんだ。そして金もバカ高い。しかし、僕はそれをどうにかする方法を知っているしツテもある。もちろん本物の除霊師だ。しばらく会っていないが僕が頼めば協力してくれるはず」
本物が少ないという除霊師とサエグサさんは繋がっている。本物の除霊師だと言っていたがその話は本当なのか疑ってしまうがここは彼の言う事を信じるしかないと俺は思った。
コウはもちろん公民館も何とかしてほしいし頼れる本物の除霊師がいるのなら助かる。
それにしてもサエグサさんが知っている除霊師ってどんな人だろうか?
年相応なお爺さんかお婆さんか?それともYouTube活動をしている陰陽師みたいな人か?実際、本物の除霊師なんて見た事ないし心霊系番組とかのテレビの中の人ぐらいしか知らないから一体どんな人だろうかと気になったりもした。
サエグサさんの話を聞く限りよほど頼りになる人なのだろう。
「知り合いに頼めばどさくさに紛れてコウくんに蔓延っているあの霊を追い出せるかもしれない」
知り合いの除霊師ならあの男の霊をなんとかしてくれる。
全ては知り合いに任せようとする彼は完全にその知り合いの除霊師に全て任せようとしていた。
その時だ─
「・・・・もしかして。僕の事を話してる?」
隣から暗い男の声が聞こえた。
俺たちはついその声に反応して振り返ってしまった。男の霊がこちらが気づいているのを知って至近距離で近づいてきたのだ。
「ねえ。やっぱり、僕の事が見えるんだよね?僕の事を話してましたよね?悪口?悪口ですか?」
低くて重い声が俺たちの耳に入る。色白い顔をした男はギョロ目でこちらの表情を伺い不気味な姿で訊ねてきた。
どうやら俺たちが自分の悪口を言っているのでは思っていたみたいだ。
「やばい!!逃げるぞ!!!」
男に気づかれたサエグサさんは慌てた声で強く地面を蹴り全速力で走り出した。
俺たちもサエグサさんに連れて逃げ出す。俺は男の霊が全く見えていないコウの腕を摑んで一緒に走った。
「待って・・・。待って・・・」
後を追いかけてくる男の霊は構ってほしそうに俺たちを呼び止めようと何度も声かける。
しかし、俺たちはサエグサさんに「振り返るな!」と言われて後から追いかけてくる男の霊の顔すら見られなかった。見られないぐらい俺たちは必死で逃げた。
「あいつがどんな事を言っても絶対に答えるな!悪霊は時にずる賢くて相手に同情を買わせたその隙に憑依する悪知恵が働く厄介者でもあるんだ!振り返ったり返事をして話だけでも聞こうなんていう甘い考えは絶対にするな!ああいう霊は付け込まれたらマジでクソめんどくさい!特にジョー!君は親切過ぎるところがあるから気をつけろ!憑かれたら一発で霊障にかかって即病むぞ!」
えええ!?やだぁぁぁぁぁ!!!
憑かれてすぐに霊障を受けるなんて絶対に嫌だ!というか、憑かれたくもないし霊障にも遭いたくない!!
サエグサさんは親切過ぎると言っているけど俺からすれば人助けとしての親切は決して悪くはないと思っているが、まさか親切が不幸を招くなんて想像だにしなかったので話を聞いたらますます霊感なんて持たなきゃよかったと後悔する。
いや。そもそも霊感を持ち霊が視えるようになったのは、後にも先にもサエグサさんと偶然出会った事から始まっただろう。
だから、サエグサさんのせいでもある。かもしれない・・・・。
「ああいう執念執着がある霊はあんま関わりたくない!特に女性がもっとおっかねえ!女は執念深くて拗れやすいからすっげぇこえーんだ!僕も昔、付き合っていた女の子にめちゃめちゃ恨みを買われて殺されかけた経験がある!男と比べて女の方が強いから怒らせたら何らかの仕打ちを受けて最後は服従される劇的な展開なるから女を怒らせるとマジでヤバい!」
「異議あり!それは人によると思います!」
女は恐ろしくて怖い生き物だとサエグサさんが述べたからスズメさんは納得いかない顔で異議を申し立てた。
「とにかく。神社を探すんだ!神社ならどこでもいい!」
「神社だと助かるんですか?」
「助かるというより一時凌ぎにはなる。いわゆるセーブポイントだ。神社には霊が寄り付かない結界みたいなもんが張ってあるからそこに行けば何とか免れられる。神社は神様を祀る場所でもあるが穢れを清める神聖な所なんだ。ああいう霊に取り憑かれたらそこで清めてもらえば万事解決する。もちろん悪霊を祓うことだってでてきる。だが、悪霊の中には土足で神社に入り込む奴もいるからパーフェクトとは言えない。できれば大きい神社の方がいい。神社が大きければ効果は抜群だ」
「大きな神社って。鶴岡八幡宮だと方向が真逆ですよ?」
街の中の住宅街に神社なんてあったかな?
ここから鶴岡八幡宮だと方向が逆で距離は遠い。今更Uターンなんてできない。
後ろにはあの男の悪霊が追いかけてきて何度も俺たちを呼んでいる。あんな根暗で沈んだ怪しげな男に声をかけられ追いかけられたら誰だって逃げる。




