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(仮タイトル)天墜が還る日  作者: 久遠 ゆのか
第一章 黄の国ティワン
17/22

[トウエンの町-17] ルーシェの迷い

昨日ふと見たら…

記念すべき初めてのブクマをくれた方が!

まさかこんな早くいただけるとは…

ありがとうございます(´;ω;`)


感謝を込めて、このあともう1本upします。

楽しんでもらえたら嬉しいです♪


 事件から二週間が経過した。

 その間、俺はギルドの小さな依頼をこなしながら日々を過ごし、次第に他の冒険者たちとも打ち解けていった。


「お、今日はどうだ?一緒にクエストでも行こうぜ!」


そんな風に声をかけてきたのは、顔なじみの冒険者だ。最初はぎこちなかったが、今ではこんなふうに気軽に話せるようになった。俺も以前のように遠慮せず、返事をするようになった。


「洞窟探索か…。面白そうだけどけど、他にも受けてる依頼があるからな。また今度また誘ってくれ。」

「了解!次の機会に絶対だぞ!」


 こうして顔を合わせる人々が増えることで、少しずつではあるが、俺もこの町に溶け込んでいる実感が湧いてきた。


 ギルドの受付で、依頼の報酬を受け取るために窓口へ向かう。

アリアは手慣れた動きで書類に押印しながら、俺を見上げて問いかけた。


「ちょうどよかったわ。今、首都までの護衛依頼が二本入ってるんだけど、興味はないですか?」


 俺は少し考えた。

 今までトウエンの町を離れるような依頼を受けたことはない。首都への護衛任務となれば、何日も町を離れることになるだろう。


「少し考えさせてくれないか?」

「ええ、もちろん。受けるなら早めに教えてくださいね。」


 そう言ってアリアは微笑みながら書類をまとめ、俺はギルドを後にした。


−−−−−


 夕食の終わり。

 ミャクリの屋敷の食堂には静かな時間が流れ始めた。食卓には、残された料理の皿や、まだ少し温かいスープの入った器がいくつか並んでいる。

 ルトはセバスの指導を受けて、食膳の下げ方を練習していた。セバスは厳しくも優しい表情で、器の扱い方を教えている。ルトは何度も手順を確認しながら、慎重に動いていた。


 ルトの目はこれまでと違い真剣で、少し前の彼とは違う雰囲気を纏っている。先日、外出したあの1日がルトの意識を大きく変えたのかもしれない。


 食卓に座っているミャクリとアルネは、食後の余韻に浸りながら軽い雑談を楽しんでいた。アルネがにこやかに話すと、ミャクリも微笑んで相槌を打ち、楽しげな雰囲気が食堂を包み込んでいた。


「ルーシェ、ぼんやりしてどうしたの?」


 アルネは不思議そうな顔をして、俺に尋ねてきた。

 食事が終わってしばらく、俺は無意識に遠くを見つめながら考え事をしていたようだ。アルネの声に反応して、ふと我に返る。


「いや、なんでもないよ。」


 そう言って軽く頭を振り笑顔を作ったが、内心ではその笑顔も少しぎこちなかった。


「そう?」


 アルネはしばらく黙って俺を見つめていたが、やがて何も言わずに視線を戻し、食後の片付けを手伝い始めた。その無言の理解に感謝して、俺は食堂を後にした。


−−−−−


 屋敷が静まり返る頃、俺は庭園に足を運んだ。

 空気がひんやりと冷たく、夜の静けさが包み込んでいる。庭園のベンチに座り、俺は深く息を吸い込んだ。

 夜空には無数の星が輝いていて、その光景を見ていると少しだけ心が落ち着いた。


 だが、その心の中にある”しこり”のような疑問は、消えることがなかった。


「最近、考え事が多いみたいだな。」


 その声に、俺はハッとして声のする方向へ顔を向けた。ミャクリが静かに歩み寄ってきた。


 ミャクリは何も言わず、ただ静かに俺の隣に座った。風だけが話す沈黙の時間は、少しだけ俺を支えてくれた。


「……自分のことをわからないことで悩んでるわけじゃないんだ。」

「ふむ…?」

「ミャクリさんとアルネのおかげで生活できてるし、ギルドを通じて仲間も増えた。そしてこの町が好きになった。」

「そうか。」


 ミャクリは小さく相槌を打つ。


「だけど、こうして平穏に過ごすだけでよいのか、本当は何かするべきことがあるんじゃないのかって最近よく考えるんだ。どうすることが正しいのかと…。」


 俺は言葉を続けることができなかった。頭の中で整理しきれていない思いが絡みついて、自分自身なにを話せばよいのかわからなかったからだ。


 ミャクリは無理に言葉を引き出すようなことはしなかった。ただ、静かに俺の隣に座り、しばらく黙っていた。俺はその間、言葉にする勇気を少しずつ集めていった。


 ミャクリはまっすぐ前を向いたままだ。俺は言葉を絞り出すように続けた。


「自分の過去がわからない俺には、判断ができなくてさ。未来まで見えないから、どこへ向かうべきなのか、どうしていいのかわからないんだ。」


 ミャクリは俺の言葉を聞いた後も、しばらくの沈黙を保った。

まもなくして彼が優しく静かに答えてくれた。


「新しい人生として、このままの生活を送るのも一つの選択だと思うよ。でも…もし、どうしても決められないなら……首都に行きなさい。」


「首都……?」


「そこには大地の神ヴォーロスを信仰する教会があって、聖女メイホア様が居られる。黄の国ティワンの聖女は『先読みの聖女』と言われていて、未来を見通す力を持っているんだ。彼女に会えば、何かがわかるかもしれない。」


 ミャクリは、俺の肩をポンポンと2つ叩きながら…


「1つだけ言っておくよ。君がここにいたいなら、遠慮なくいつまでもいるといい。どんな選択をしても、私は君を応援するよ。」


 そう告げて、ミャクリは屋敷へ戻って行った。

その言葉はとても温かく、心に沁みた。


 俺はしばらくその場に座ったまま、静かに夜空を見上げた。


「先読みの聖女……。」


 言葉を呟いた瞬間、一筋の流れ星が夜空を横切った。



あまり影響ないと思いますが、作者名を変更しました。

タイトルはまだ…難しいですね( ̄︿ ̄;)ウーン


確定すると変えるのは容易じゃないので、当分の間は仮タイトルのまま行きます!

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