2話 『いじられ夏目とドS翔と中立な玲奈』
──── 俺の名前は九 翔。
ぶっちゃけ、いたって普通の高校生。生徒会所属にしてそこまでクラスからの人気もない。
人気がないわけではないのだが、キャーっ!という事は決してない。
そんな派手なこともない、ゆっくりとした高校生活の中、それ は翔のゆっくりを壊すのには十分の効力をもっていた。
それの名前は夏目。いたって普通じゃない人間。
とりあえずうるさい...としかあげられないほど他の個性が死んでいる。
今日もそれは翔のゆっくりの時間を見事なくらいかっさらった。
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「おい!翔!あんた許さんよ!早くLINEのひとこと変えて!『夏目の声量=ティンパニー』とかまじでやめろ!」
夏目は怒りたくて怒っているわけではない。
怒らせるようなことをするから怒るのだ。そして、それがうるさすぎると、みんなから理不尽を投げかけられているのだ。
因みに今は前回の話の数時間後である。
「えぇー?なんでぇー?案外間違ってなくね?てか何も間違ってなくね?俺の目がおかしいのかなぁ」
「何もかもが間違っているよ!てか、この前チラッと見えたけど私のLINEの名前、メガホンにしてたでしょ!」
「うわー、人の携帯勝手に覗くとかサイテー」
「女子か!」
今日も夏目は叫ぶのである。うるさいのは夏目のせいだが、元凶は誰かというとどう考えても翔の方である。
だが、当の翔は反省する気なしで逆にまだ喧嘩を売っているような態度を示す。
「いや、女子とか関係なくそーゆーの駄目だと思うな。俺は」
「いや!まぁ...そうなんだけどね!...なんか腑に落ちないっ!」
────すると、教室のドアが思いきり開く。そこには玲奈が立っていた。開く音でビクッした2人が振り向きそれにビクッとした玲奈が少し2人から目をそらす。
そして、
「き、緊急報告!1組の翔馬と2組の風華がついに別れました!!」
「ねぇ玲奈、ドア思いきり開くような内容量じゃなくない!?めっちゃビックリしたんだけど!」
翔はこの事にかんして、全く興味がなかった。
そういうのにはかなり疎かったからだ。
「あんたのうるさいのって素なのかツッコミなのか分からんわ」
「10割ツッコミだね!素で叫ぶ必要ないから!」
「10割素だね。うるさいやつが下手なツッコミしてもただうるさいだけだから」
「いや...多分五分五分だと思うよ」
夏目は全力でツッコミと主張するが、当たり前のように翔は突っかかってくる。
玲奈はどちらの味方ともなく、1番反応しづらい中立な立場を選ぶ。
「まぁいいや。てか、玲奈はどこいってたの?」
「今日ほんとは学校なかったのに、私達だけ来たからここにいる生徒って私達だけじゃん?正直、あんた達と半日も話してたら喉と耳が死ぬわ」
「もうなんかあんたら、私の悪口言わないと気がすまない何かなの?病気なの?」
夏目は理不尽を叫ぶ。だがその声はこの薄情共達には全く響かなかった。
「病気なわけないじゃん。この前焼き肉食べたし」
「え、関係なくない?...あ、まだ私の質問の応え聞いてないやん」
すっかり忘れていたが、玲奈が今までどこにいたのか聞いていなかった。夏目はどうせ生徒会室だろうと予想している。
「そだったね。私、保健室にいた」
「ん、風邪ひいたの? ケガしたの?...とてもそんなふうには見えないけど...」
「あぁ、眠かったからベットで寝てた」
今日は教師+3人しか来ていないので、保健室があいていることはほぼまずないだろう。
「え、開いてたの?今日私達しかいないじゃん。そのためにヤツら(教師)が開けるかなぁ?」
「いや、窓開いてたから。そこから入った。私なら入れる位の大きさだったから」
中学生の時窓の鍵をあらかじめ開けといて、移動教室の時とかに侵入してたわぁと翔は現実からアウェイになる。
「まぁ、お前だからできたことだな。そのメガホンと違って胸部がオゾン層並だからな」
「3ミリって言いたいのかぁ!まな板より傷つくわ」
「へぇ、玲奈ってそんなちっさいんだ。前とか見づらいから私この体嫌なんだよねー」
「お前らまじ殺す!」
久々に玲奈の口が悪くなった。結構親しくしてきたがここまでキレられるのは初めてだった。堪忍袋が何十個か破裂したようは感じだった。
「そんな怒んなって。...あぁ、なんかお前ら青年マンガと少女マンガみたいだわ」
「死ね。とりあえず、数学教師に告って恥ずかしさで死ね!」
「なんだろう。私にたいしてもすごく失礼だと思うんだけど」
「は?何言ってんの。お前にそこまで気遣うわけねーだろ」
「口悪すぎるでしょ!」
それでもなお2人は無視しようかと考えた。だが、2人の考えは玲奈にはお見通しだったようだ。
「はぁ、そんな態度するなんでサイテー!せっかく夏目の水着姿の写真あげようと思ってたのに」
「ちょっ...!ちょっと!?」
「ほう、実に興味深い。話を聞こう」
夏目があたふたし始める。その行動は2人の視界には微塵も映ってなどいなかった。とくに翔には。
「ここに取り出したるは1枚の青年マンガの表紙でございます」
「それ私だよ!?あと、マンガの表紙ってハガキサイズじゃないから!」
「ほう」
「これを、あなたにお譲りしましょう。これはあなたが持っているべき代物です」
そう言い玲奈は写真をそっと差し出す。
それをこれでもかと言うスピード夏目が奪い取ろうとする。だが翔の方が1枚上手だった。
取得者は翔となった。
「君とはいい友達になれそうだ。よろしく」
「こちらこそ。たまたま、私達の利点が重なったにすぎませんよ」
「ちょっと!?そんなに私の写真ほしいの!?少し前に性的には見てないって言ってたじゃん!?」
夏目の写真が翔へ、密輸入され困惑する夏目。そして、いつものように夏目を無視して玲奈が全く違う話を始める。
「んでさぁ、明日学校終わってから翔の家いけない?一緒に勉強しよー」
「無視か!私の話は無視なのか!」
「うん。お前の話は聞くきないし。───そんで明日俺の家?別にいいけど。でも、俺絶対集中できない」
夏目の講義の声は相手にしてもらえず、虚しく散っていった。
「え?なんで?」
不思議そうな顔で疑問を投げかける。
夏目ももう怒るのも面倒くさくなったらしく、玲奈と同じように首を傾げた。
「いや考えてもみろよ。3人が同じテーブルにならぶってことだろ?」
「うん」
「そんでもって、俺の机きたないから必然的に丸いテーブルになるんだよな」
「あ、そなの?」
「考えてもみろよ。つまり並んだら正面に誰かいるってことだよな?」
「そだね...あぁ。そーゆーことね」
え?なになに?と言いたそうな目と口と鼻と耳でこちらを向く。玲奈は予想がついたものの、鈍感な夏目には分かっていないのである。因みに理由はというと...
「──夏目の胸が正面に来る確率が非常に高い!!」
「はぁ!?」
「やっぱりね。まぁそれはそれでいいんじゃない?眼福すぎるかもしれないけど。大体の男子からは妬み殺されるよ?」
「おぉぉぉ!!私を性的には見てないといっていた翔は何処へー!!!」
健全な男子諸君なら理解できるであろう?目の前にもちと大福を混ぜたようなものがあるというのに、勉強に集中せろなど、拷問でしかない。
「因みにテーブルの直径は?」
「約1.3メートルとのカンペが入った」
「カンペってなによ」
カンペとは、以前テーブルを購入する際に説明書とかをスマホで撮った写真のことである。
翔のスマホには今季アニメの超人気作の壁紙が映し出されていた。
因みに翔は生粋のアニメ好きである。
「じゃあ、6時くらいでいい?明日親いないからキッチンとかお風呂とかの掃除俺がしないといけないんよね」
「お、親が...いないだと!?何て、ベストシチュエーションなんだっ!というのはとりあえず置いといて、分かった6時ね。もちろん夏目もくるよね?」
「うん...来よっかな!1人でしてたら数分で集中切れるし。...あ、すっかり忘れてたけど私達勉強しにわざわざ休みの日に来たんだから!──それに翔、英語のやつまだ覚えてないでしょ!?」
夏目の参加は確定事項だったが、本人も行くと言っているのでそこはよかった。
だが、
「あぁー。またうるさくなってきた。お前のどと頭とあと胸どうかしてんだろ」
「頭と胸は余計だ!てか、関係ないでしょ!」
「あんたらほんとなかいいねぇ」
あまり叫ばなかったが、最後はやはり怒って叫んだ。
明日は3人がで勉強会。ついでに英語の発表。
勉強会でさえ波乱になりそうだ。




