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第21話「情報収集」(上)

奏は、そのあと椿からの紹介の情報屋と連絡を取った。


その情報屋というのは、お金にうるさいフリーランスの情報屋、

“ミーアキャット”猫川美亜のことだった。


指定された待ち合わせ場所は、都内のラーメン屋という色気もへったくれもない場所だ。


奏は待ち合わせのラーメン屋に到着すると、のれんを潜って店内へと普通に入る。


「へイラッシャーイ」


眼鏡をかけた店主の威勢のいい声が聞こえてくる。


奏が店を見回すと、聞いていた特徴の少女がカウンター席に座っていた。


「あの…」


少女は奏に気づくと、くるりと顔を向ける。

猫目とつんつんした髪が特徴の少女だ。外見的に奏と歳はさほど変わらないだろう。


「んにゃ?お前が待ち合わせてた“創生の輝光(ジェネシス)” 槇原奏かにゃ?」


「あ、うん。そうだよ。」


特徴的なしゃべり方をする少女…猫川美亜に、奏は軽くうなずいた。

奏はそのあと、美亜の隣のカウンター席に座る。


「情報はナマモノにゃ。ちゃんと報酬は持ってきたかにゃ?」


「うん。ちゃんとあるよ」


奏は裕子から預かっていた茶封筒を美亜に手渡す。

そうしてると、店主が威勢のいい声をかけてきた。


「お客サン。注文は何に致します?」


「ああ、美亜はこの『でぃあぼろすラーメン』をお願いするにゃ。」


封筒の中身を確認しながら、美亜はメニューの一角をさした。


「あ、じゃあ…塩ラーメンで…」


店主は「かしこまっ☆」と決めポーズをしながら、厨房の方に下がっていく。

奏はその店主に既視感を覚えつつ、変な店だなぁと頭の中で呟いた。


「さて…。ちゃんときっちりあるみたいだにゃあ。じゃあ情報を渡すにゃ。」


美亜は茶封筒をしっかりと荷物の中にしまってから、肘をついて指を軽く組んで話し出す。


「まず、結構ヤバいことになってるにゃ。」


「ヤバいこと…?」


奏がそう尋ねると、美亜は横目で奏の方を見ながら続ける。


「あんたら『ジゼル』の秋家舞の兄、秋家湊がFHのセル『トラベラーズ』に捕えられたみたいだにゃ。

FHは彼を人質として、秋家舞に圧力をかけるつもりみたいだにゃあ。

UGNにはもうこの情報は行ってるかにゃ?」


奏にとってその情報は初耳だった。

奏も春樹の顔を思い浮かべ顔をしかめる。


「なんか、無効としてはピンポイントの切り札として使うつもりらしいにゃ。

『ジゼル』の戦闘能力はかなりのもんだからにゃ。

土壇場で人質を使って形勢逆転。ってのが向こうの狙いにゃから、対策は用意しておくべきだにゃあ。」


「そんな…!」


「それで、この切り札があることから、FHは今回の事件にも強気に出るつもりだにゃ。」


「お兄さんを人質にして、UGNに手出しをさせないようにして、鏡を奪いにくるってこと?」


「そうにゃ。えっと、“オペラ座の怪女(ファントムマザー)”ってのが持ってる『八咫鏡』だっけかにゃ?

FHはその遺産(レガシー)を奪うつもりだにゃ。


“オペラ座の怪女(ファントムマザー)”の正体がオーヴァードだろうがジャームだろうが知らずに、サクッと殺ってヒョイと奪ってく寸法だにゃ。」


奏は真剣な顔をして、軽く拳をぎゅっと拳を握る。

最初に会った時、あいつはそんなことをする奴に見えなかったのに。

FHだけれど、変な奴で、普通を愛してると。そう言っていたのに。

春樹は敵なのに、奏はすっかり裏切られた気分だった。


「……変わり者とか、平和主義とかいうけど…やっぱり|あいつ(春樹)もFHだったんだな…」


FHへの嫌悪は、奏の中でかなりのものだった。

やっぱりFHはろくでもなかったんだ。奏の頭の中で、そんな感情が芽生えて止まらない。


「あー、兇刃(ブレイド)のことかにゃ? 奴はFH内で奇人なことで有名にゃ。

って言ってもUGN向きの人間かと言われるとそーでもにゃい男だからまためんどくさいにゃあ


…んで、その奪還任務を言い渡されたのも、人質を持っているセル『トラベラーズ』だにゃ」


「…あんまり、来てほしくないんだけどな…」


そこまで美亜が言うと、店主が二つ湯気の立ったどんぶりを持ってやってくる。


「ヘイ。でぃあぼろすラーメンと塩ラーメンお待ち。」


普通の醤油よりもずっと真黒な醤油ラーメン「でぃあぼろすラーメン」と塩ラーメンが二人の目の前におかれる。


「あ、どうも。」


「さんきゅーにゃ!美味そうだにゃ!」


そういうと、美亜と奏は割り箸をパキッと折り、ラーメンを食べながらまた再び話し出す。


「…ずるずる……それで、今回は『トラベラーズ』全員出動みたいだにゃ。

ってもあのセル二人しか構成員いないけど……もぐもぐ」


「…もぐもぐ……いずれ相方を連れてくるって言ってたもんなぁ…その相方の人って、どんな人なの?」


「“連なる鼓動(リンケージ)”加東佐奈(かとうさな)。シンドロームはノイマン/ソラリスのクロスブリード。

二丁拳銃を扱い支援を得意とする女だにゃ。歳はブレイドと同年代。一応ブレイドの方が年上だったかにゃ?」


「なるほど…」


二人はもぐもぐとラーメンを食べ続けながら会話する。


「二人のコンビネーションは抜群。

単騎でマスターエージェントに及ぶレベルを持つと言われてる兇刃(ブレイド)にゃけど、連なる意思(リンケージ)を加えることでそれは軽々とマスタークラスを超えるにゃ。

だからこそ、兇刃(ブレイド)みたいな異端な男がFHでマイペースでいられるし、たった2人のセルなんてものも認められてるのにゃ。

ま、美亜は『ジゼル』の力も負けてにゃいと思うにゃ。

兇刃(ブレイド)は何を考えてるかよくわからにゃいから、いつも全力とは限らにゃいし」


「…うん、ありがとう。

……あぁ、でもやっぱり避けられないとしても出来る限り対峙したくはないかな…」


そこで美亜は軽く立ち上がり、手を上げて声を上げる。


「テンチョー!替え玉お願いするにゃー!


…あ、替え玉代はお前が出すにゃ。これでも結構多めに情報引っ張ってきたんだにゃ。」


「あ、うんわかった…。」


奏は、お冷のおかわりを注ぎながら頷いた。


「金払いのいいお客は大好きだにゃー。…それに、あんたのこと気に入ったにゃ。もうちょい調べてやってもいいにゃ。もちろんお代はもらうにゃ。

奴らの欲望(ネガイ)は前々から美亜も気にはなっていたんだにゃあ。」


「わかった。またお願いするよ。」


「ふふふ。今の美亜はとっても機嫌がいいにゃあ。

トッピングの味玉おごってくれれば、前金として次回にサービスしてやるにゃ。」


「お小遣いあるし…それぐらいだったら、いいよ。」


奏がラーメンを食べ終え、自分の財布を出しながら言った。


「テンチョー!!味玉くれにゃー!!」


店長は相変わらず変な決めポーズをすると、美亜のどんぶりに味玉をのっけた。


「まぁ、今あげられる情報はそのくらいだにゃ。

美亜は味玉と替え玉を食すのに忙しいから、別に待たずに行ってもいいにゃ」


「うん、ありがとう。じゃあ、払っておくね。」


奏はそういうと、荷物を持って席を立つ。

美亜はその姿を見て、ラーメンをすすりながら手を振った。


自分たちの卓では、よくディアボロスさんがこういったお店の店主とかになって出てきますw(むろんただのネタ)

因みに一章にでてくるお弁当屋さんも店員はディアボロスさんでした。小ネタ中の小ネタです。


美亜にゃんも、GMの好みでにゃんにゃんいってます。

大好きです。


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