残高は現実を映す
給料日は、まだ遠い。
地雷ちゃんがカラオケ店で働き始めてから、まだ数日しか経っていない。
たった数日。
だが、おんぼろ荘ではそれだけで大事件だった。
遅刻しない。
制服を忘れない。
洗濯する。
干す。
持ち物を確認する。
仕事に行く。
帰ってくる。
どれも普通のことだ。
普通のことなのだが、地雷ちゃんがそれをやると、なぜか住人全員が少しだけ安心する。
まるで、初めて補助輪なしで自転車に乗れた子供を見守る家族のようだった。
もちろん、神谷優人は家族ではない。
ただの隣人だ。
監視員でもない。
保護者でもない。
関係ない。
そのはずだった。
その日の昼休み。
優人は会社近くのコンビニで弁当を選んでいた。
棚には唐揚げ弁当。
生姜焼き弁当。
鮭弁当。
どれも似たような値段で、どれもそれなりに疲れた社会人の味方だった。
優人が鮭弁当に手を伸ばした時、スマホが震えた。
地雷ちゃんからだった。
『残高ってどうやって見るの』
優人は弁当を手にしたまま固まった。
昼のコンビニ。
弁当棚の前。
サラリーマンが残高の見方を聞かれて固まっている。
なかなか情けない絵面だった。
『銀行のATMです』
そう返す。
すぐに返信が来た。
『ATMこわい』
『怖くありません』
『吸い込まれそう』
『カードだけです』
『金も吸われる』
『それは引き出した時です』
『現実こわ』
優人は額を押さえた。
地雷ちゃんは今日、休みだったはずだ。
勤務のない日。
本来なら部屋で寝ているか、廊下でだらけているか、翔と意味のない会話をしているか。
そのどれかだと思っていた。
だが、どうやら銀行に行こうとしているらしい。
いや、まだ行っているかは分からない。
『なぜ残高を見るんですか』
送る。
返事。
『家賃にどれくらい近づいたか知りたい』
優人は少しだけ言葉に詰まった。
それは、かなりまともな理由だった。
まともすぎて、逆に不安になる。
地雷ちゃんは少しずつ変わっている。
いや、変わろうとしている。
その事実を突きつけられると、優人は妙に落ち着かなくなった。
『黒崎さんに聞いた方が早いです』
そう返した瞬間、地雷ちゃんからの返事が来た。
『もう銀行前』
「……行動が早い」
優人は思わず呟いた。
コンビニの店員がちらりと見た。
優人は咳払いをして、鮭弁当を持ってレジへ向かった。
その頃。
地雷ちゃんは駅前の銀行の前に立っていた。
平日の昼前。
銀行の入口には、スーツ姿の会社員や買い物帰りの主婦、年配の人たちが出入りしている。
地雷ちゃんはその流れから少し離れ、看板を見上げていた。
銀行。
大人が行く場所。
お金がある人が行く場所。
お金がない人間が近づくと、何かを見透かされそうな場所。
地雷ちゃんの中では、だいたいそんな認識だった。
「うわぁ……」
思わず声が漏れる。
建物は明るくて綺麗だ。
自動ドアもぴかぴかしている。
おんぼろ荘のドアとは違う。
あちらは開けるたびに「ぎぃ」と鳴る。
こちらは静かに開く。
格差を感じた。
地雷ちゃんはスマホを見た。
優人からのメッセージ。
『黒崎さんに聞いた方が早いです』
「黒崎さん、仕事中だろ……」
そう呟いた時だった。
「地雷ちゃん?」
背後から声がした。
地雷ちゃんが振り返る。
黒崎真琴が立っていた。
スーツ姿。
名札。
きっちりした髪。
いつもの黒崎より、さらに銀行員らしい。
というか、本当に銀行員だった。
「黒崎さん」
「何をしているんですか」
「銀行を見てる」
「入り口で立ち止まらないでください」
「もう刺すじゃん」
「邪魔になります」
「はい」
地雷ちゃんは素直に横へずれた。
黒崎の職場前で逆らう勇気はない。
「残高を見に来たんですか」
「なんで分かったの」
「神谷さんから連絡が来ました」
「監視網すご」
「あなたが不安だからです」
「否定できない」
黒崎は小さく息を吐いた。
「休憩時間なので、少しだけなら説明できます」
「黒崎さん、神」
「神ではありません」
「銀行の女神」
「帰ります」
「ごめんなさい」
地雷ちゃんは即座に頭を下げた。
銀行前で黒崎を怒らせるのは危険だ。
地雷ちゃんにも、それくらいは分かる。
黒崎はATMコーナーを指さした。
「残高照会だけなら、あちらでできます」
「残高照会」
「残高を見ることです」
「言葉が強い」
「普通です」
「普通って難しい」
地雷ちゃんはATMコーナーへ向かった。
黒崎が隣につく。
まるで銀行員に案内されている客のようだ。
実際そうなのだが、地雷ちゃんは妙に緊張していた。
ATMの前に立つ。
画面が光っている。
文字が並んでいる。
カードを入れる場所。
通帳を入れる場所。
現金を入れる場所。
機械なのに、妙な威圧感がある。
「これ、怒らない?」
「怒りません」
「間違えたら?」
「やり直せます」
「爆発しない?」
「しません」
「ATMって優しい?」
「正しく使えば」
「正しくが難しいんだよ」
黒崎は横から、必要な操作だけを説明した。
カードを入れる。
暗証番号を入力する。
残高照会を選ぶ。
地雷ちゃんは一つずつ慎重に操作した。
ボタンを押すたびに、なぜか少し肩が上がる。
数秒後。
画面に残高が表示された。
地雷ちゃんは固まった。
「……」
黒崎は画面を見ないよう、少し視線を外している。
職業柄なのか、個人情報への距離感がきちんとしていた。
「どうですか」
「黒崎さん」
「はい」
「残高って、こんなに正直なの?」
「正直です」
「嘘つかないの?」
「つきません」
「少し盛ってくれてもいいのに」
「無理です」
「現実じゃん」
「現実です」
地雷ちゃんは画面を見つめたまま、静かに息を吐いた。
少ない。
思ったより少ない。
いや、分かってはいた。
金がないことくらい、本人が一番分かっている。
だが、数字で見ると違う。
財布の中が寂しいのと、画面に数字で出されるのは違う。
逃げ道がない。
「これで家賃いける?」
地雷ちゃんが聞く。
「一ヶ月分には足りません」
黒崎ははっきり答えた。
「だよな」
「でも、ゼロではありません」
「うん」
「ここから増やせます」
地雷ちゃんは少しだけ黒崎を見た。
黒崎は画面を見ずに、地雷ちゃんだけを見ていた。
「働いて、使いすぎなければ増えます」
「使いすぎなければ」
「はい」
「唐揚げ我慢した」
「良い判断です」
「また褒めた?」
「はい」
「銀行前で褒められると、なんか重い」
「なぜですか」
「金のプロだから」
「その言い方はやめてください」
黒崎は少しだけ眉を寄せた。
地雷ちゃんは慌てて画面の操作を終え、カードを取り出した。
カードを財布にしまう。
その動きが、いつもより少し丁寧だった。
「黒崎さん」
「はい」
「残高見るの、ちょっと怖かった」
「はい」
「でも見た方がいいな」
「はい」
「見ないと、ないことにもできないんだな」
「そうです」
黒崎は静かに頷いた。
「現実を見たくない時ほど、数字で確認した方がいいです」
「銀行員っぽい」
「銀行員です」
「そっか」
地雷ちゃんは少し笑った。
その笑いは弱かったが、逃げてはいなかった。
「とりあえず」
黒崎は言った。
「今月は、一ヶ月分を目標にしましょう」
「全部じゃなくて?」
「全部は難しいでしょう」
「うん」
「でも、一ヶ月分なら目標になります」
「一ヶ月分」
「はい」
「遠いな」
「近づくしかありません」
「地味だな」
「生活は地味です」
「神谷と同じこと言う」
「正しいからです」
その頃、優人は会社の休憩室で弁当を食べていた。
鮭弁当。
いつも通りの味。
昼休みの会社員にはちょうどいい。
スマホが震える。
黒崎からだった。
『残高確認できました』
優人は箸を止めた。
続けてもう一通。
『一ヶ月分を目標にすることになりました』
優人は画面を見つめる。
一ヶ月分。
三ヶ月分の滞納からすれば、まだ遠い。
でも、目標ができた。
それは大きい。
地雷ちゃんにとっては、たぶんかなり大きい。
『良かったです。ありがとうございます』
そう返す。
すぐに黒崎から返事が来た。
『私は仕事に戻ります。甘やかさないように』
黒崎らしい。
優人は少し笑った。
すると今度は、地雷ちゃんからメッセージが来た。
『残高見た』
『お疲れ様です』
『少なかった』
『これから増やしましょう』
『現実』
『はい』
『でも一ヶ月分目標にする』
優人は少し迷ってから返信した。
『いいと思います。目標があるのは大事です』
返事。
『褒めて』
『残高を見て逃げなかったのは偉いです』
『もっと』
『仕事中なのでここまでです』
『ケチ』
優人はスマホを伏せた。
いつも通りのやり取りだった。
だが、少しだけ違う。
地雷ちゃんの「ケチ」が、今日は少し軽く見えた。
夕方。
地雷ちゃんは銀行を出たあと、駅前の商店街を歩いていた。
今日は仕事が休みだ。
本当なら部屋で寝ていてもよかった。
だが、残高を見たせいで妙に目が冴えてしまった。
お金が少ない。
家賃には足りない。
でもゼロではない。
この「ゼロではない」という言葉が、頭に残っていた。
商店街にはいろいろな店が並んでいる。
安い惣菜屋。
古い八百屋。
百円ショップ。
小さな本屋。
地雷ちゃんは百円ショップの前で足を止めた。
「節約グッズ……」
店頭にそんな文字が貼られている。
節約。
最近よく聞く言葉だ。
黒崎が言いそうな言葉。
神谷も言いそうな言葉。
翔はたぶん言わない。
地雷ちゃんは店内に入った。
店の中は明るく、商品が多い。
多すぎる。
見ているだけで少し楽しい。
だが、ここで気を抜いてはいけない。
自分は家賃一ヶ月分を目指す女。
無駄遣いは敵。
地雷ちゃんは小さなカゴを持った。
まず目に入ったのは、可愛い猫柄のマグカップ。
「かわいい」
カゴに入れそうになる。
止まる。
マグカップはある。
部屋のどこかに。
たぶん。
次に、ふわふわの靴下。
「かわいい」
手に取る。
だが、靴下はある。
左右違うだけで。
たぶん。
次に、お菓子。
「これは必要」
カゴに入れる。
そしてすぐ戻す。
「いや、必要じゃない」
自分で戻せた。
地雷ちゃんは少し感動した。
「私、今すごくない?」
小さく呟く。
店員がちらりと見た。
地雷ちゃんは咳払いをした。
結局、買ったのは洗濯ネット一枚と、安いメモ帳だけだった。
洗濯ネットは制服を洗うため。
メモ帳は持ち物リストを書くため。
どちらも黒崎に言われそうなものだった。
会計を済ませ、外に出る。
レシートを見る。
少ない金額。
だが、ちゃんと必要なものだけ買えた。
地雷ちゃんは少しだけ胸を張った。
その足で、商店街の本屋の前を通りかかる。
小さな本屋だった。
古いが、雰囲気は悪くない。
店先には文庫本と雑誌が並んでいる。
地雷ちゃんは何となく足を止めた。
本を読む習慣はあまりない。
昔は少し読んだこともあった気がするが、最近はスマホばかりだ。
店内から、小柄な女性が本を抱えて出てきた。
かなり小柄だ。
遠目には中学生にも見える。
しかし、エプロンをしている。
店員らしい。
その女性は店先の棚に本を並べていた。
地雷ちゃんは何となく見てしまう。
目が合った。
「……いらっしゃい」
小柄な店員が言った。
声は淡々としている。
地雷ちゃんは少し戸惑った。
「あ、どうも」
「本、見る?」
「いや、通っただけ」
「そう」
会話が終わった。
早い。
地雷ちゃんはなぜか負けた気がした。
「えっと、店員さん?」
「うん」
「子供?」
「大人」
即答だった。
地雷ちゃんは一瞬固まる。
「ごめん」
「よく言われる」
「怒ってる?」
「別に」
小柄な店員は表情を変えずに本を並べている。
不思議な人だった。
地雷ちゃんは妙に気になった。
「何の本が面白い?」
「人による」
「正論」
「あなたは何が好き?」
「楽なやつ」
「本に楽とかある?」
「分厚くないやつ」
「じゃあ短編集」
小柄な店員は棚から一冊の文庫本を取った。
地雷ちゃんに差し出す。
「短い話が入ってる」
「へえ」
「一話ずつ読める」
「それなら読めるかも」
「買う?」
「金ない」
「そう」
店員は本を棚に戻した。
押し売りしない。
驚くほど淡々としている。
地雷ちゃんは少し安心した。
「今度、金あったら買う」
「うん」
「名前は?」
「棚橋栞」
「しおり?」
「本屋っぽいでしょ」
「自分で言うんだ」
「よく言われる」
地雷ちゃんは少し笑った。
「私は地雷ちゃん」
「本名?」
「違う」
「そう」
「聞かないの?」
「聞かれたくなさそうだから」
その一言に、地雷ちゃんは少しだけ黙った。
この人、変だ。
だが、嫌な変さではない。
「じゃあ、地雷ちゃん」
「うん」
「お金できたら、また来て」
「買わせる気だ」
「本屋だから」
「そりゃそうか」
地雷ちゃんは笑って、商店街を歩き出した。
後ろから栞の声がする。
「洗濯ネット、落ちそう」
「え?」
見ると、袋から洗濯ネットが半分出ていた。
地雷ちゃんは慌てて押し込む。
「ありがと」
「うん」
棚橋栞。
小柄で、淡々としていて、本屋っぽい名前の店員。
地雷ちゃんはその名前を、何となく覚えた。
夜。
優人が仕事を終えておんぼろ荘へ帰ると、地雷ちゃんが二階の廊下ではなく、階段の途中に座っていた。
「場所を変えればいいと思ってます?」
「景色が違う」
「そういう問題ではありません」
「おかえり」
「ただいま」
地雷ちゃんは紙袋を掲げた。
「今日、節約した」
「何を買ったんですか」
「洗濯ネットとメモ帳」
「まともですね」
「もっと驚けよ」
「驚いてます」
「褒めて」
「必要なものだけ買えたのは偉いです」
「やった」
地雷ちゃんは嬉しそうに笑った。
そして、メモ帳を取り出す。
表紙には、丸い字でこう書かれていた。
『家賃一ヶ月分までの道』
優人は少しだけ目を見開いた。
「それ、自分で?」
「うん」
「偉いですね」
「今のは本気のやつ?」
「本気です」
「よし」
地雷ちゃんは満足そうだった。
「あと、本屋で変な子に会った」
「変な子?」
「小さいけど大人で、栞って名前」
「本屋の店員さんですか」
「そう」
「へえ」
優人は何となく、その人物を想像した。
この商店街には小さな本屋がある。
何度か前を通ったことはあるが、入ったことはあまりない。
「今度、本買うかも」
「いいですね」
「金あったら」
「家賃を優先してください」
「現実」
「大事です」
地雷ちゃんはメモ帳を開いた。
最初のページに、今日の残高らしき数字。
その下に、一ヶ月分の家賃。
さらにその差額。
字は綺麗ではない。
計算も少し怪しい。
だが、ちゃんと書いてあった。
「黒崎さんにあとで見てもらう」
「いいと思います」
「神谷も見る?」
「見てもいいなら」
「本名は書いてないから」
「そこは気にしてません」
「ちょっとは気にしろよ」
「面倒ですね」
地雷ちゃんは笑った。
その時、102号室のドアが開いた。
黒崎が顔を出す。
「声が聞こえました」
「黒崎さん!」
地雷ちゃんはメモ帳を見せに行った。
「残高書いた」
「見せてもいいんですか」
「うん。黒崎さんは金のプロだから」
「その言い方はやめてください」
「銀行の管理者」
「もっとやめてください」
黒崎はメモ帳を受け取り、数字を確認した。
少しだけ眉が動く。
「計算が少し違います」
「え」
「ここです」
「うわ、減った?」
「いいえ。差額が少し小さくなります」
「増えた?」
「正確には、必要額が少し減りました」
「やった!」
地雷ちゃんは本気で喜んだ。
数字が少し変わっただけ。
でも、家賃一ヶ月分までの距離が少しだけ近づいた。
それが嬉しいらしい。
黒崎はペンを取り、丁寧に数字を書き直した。
「こうです」
「黒崎さん、字きれい」
「普通です」
「普通強い」
「毎日記録するといいです」
「毎日?」
「使った金額と、残った金額です」
「面倒」
「家賃を払うためです」
「現実」
「はい」
優人は二人のやり取りを見ていた。
地雷ちゃんが数字を見る。
黒崎が計算を直す。
それだけなのに、妙にちゃんとした生活の一場面に見えた。
数日前まで、地雷ちゃんは財布すらなくしていた。
それが今は、残高を書いている。
人間、意外と変わるものなのかもしれない。
かなりゆっくりだが。
「神谷」
地雷ちゃんが振り返る。
「何ですか」
「今日の私、何点?」
「点数ですか」
「うん」
「七十点」
「低くない?」
「高い方です」
「理由は?」
「銀行で残高を見た。節約して買い物した。メモ帳に目標を書いた」
「じゃあ百点だろ」
「階段に座っていたのでマイナスです」
「そこ?」
「そこです」
地雷ちゃんは不満そうに唇を尖らせた。
黒崎が静かに頷く。
「廊下や階段に座るのはやめましょう」
「黒崎さんまで」
「共有部分です」
「共有部分こわ」
その時、一階から翔の声が響いた。
「何の話だー!」
「声が大きいです!」
三人が同時に言った。
翔は階段の下で大笑いしている。
優人はため息を吐いた。
結局、最後はいつものおんぼろ荘だ。
だが今日は、銀行にも行った。
百円ショップにも行った。
本屋にも寄った。
地雷ちゃんはアパートの外で、少しずつ現実と向き合っている。
それは悪くない変化だった。
地雷ちゃんはメモ帳を大事そうに抱えた。
「一ヶ月分、いけるかな」
「いけますよ」
優人は自然にそう言っていた。
地雷ちゃんが少し驚いた顔をする。
「ほんと?」
「ちゃんと続ければ」
「出た、条件付き」
「大事です」
「でも」
地雷ちゃんは少しだけ笑った。
「条件付きでも、いけるって言われたからいいや」
その笑顔は、いつもより少しだけ素直だった。
優人は視線をそらす。
黒崎も何も言わなかった。
翔だけが階段の下から叫んだ。
「よし! 一ヶ月分到達祝いの準備だな!」
「まだ早いです!」
今度も三人同時だった。
おんぼろ荘は、今日も騒がしい。
だが地雷ちゃんのメモ帳には、確かに一歩分の数字が書かれていた。




