第9話 国家を動かす者
春。
山の寺を改造した
戦国大学の庭に桜が咲いていた。
長い戦いの時代を経て、
ここに一つの節目が訪れる。
第一期生の卒業。
鐘が鳴る。
学生たちは静かに並んでいた。
農民の子。
浪人。
商人の息子。
だが今は違う。
彼らは
国家を動かす者たちになろうとしていた。
卒業式。
講堂の前に
学長が立つ。
戦国随一の文化人。
細川幽斎
幽斎は静かに学生たちを見渡した。
「武士の世は長かった。」
「だがこれからの世は違う。」
「知で国を治める時代じゃ。」
学生たちは静まり返る。
幽斎は続ける。
「そなたらは武士ではない。」
「だが国を守る者だ。」
「知の武士じゃ。」
卒業生たちは
それぞれの道へ進む。
ある者は
軍師となり
大名の戦略を支える。
ある者は
官僚となり
国の政治を動かす。
ある者は
外交官となり
外国と交渉する。
ある者は
商社を作り
日本の経済を動かす。
大学の門から
若者たちが旅立っていく。
その姿を僕は見ていた。
そして静かに言った。
「武将は歴史を作る。」
学生たちが振り向く。
僕は続けた。
「だが――」
「国家を動かすのは知識だ。」
夕方。
学生たちが去った後。
大学は静かだった。
焼けた門は修復され、
新しい柱が立っている。
その前で
僕と幽斎が並んでいた。
僕が言う。
「最初は皆に笑われましたね。」
幽斎は微笑んだ。
「戦国に大学など必要ない。」
「そう言われたの。」
僕は空を見上げる。
「でも」
「この大学から国を動かす人間が出た。」
幽斎は静かにうなずく。
そして言った。
「戦は国を守る。」
「だが」
「学問は国を作る。」
風が吹く。
寺の屋根の上に
戦国大学の旗が揺れている。
幽斎は遠くを見ながら言った。
「この大学から」
「未来の日本が生まれる。」
僕は笑った。
「まだ始まりですよ。」
幽斎も笑う。
「そうじゃな。」
山の上の大学から
新しい時代の人材が
次々と旅立っていく。
軍師。
官僚。
外交官。
経営者。
日本はまだ小さな国だ。
だがこの大学から
世界へ出ていく者も現れるだろう。
僕は最後に呟いた。
「知は国を動かす。」
戦国大学。
それは
日本初の国家頭脳養成機関。
そして物語はまだ続く。
新しい時代へと。
【僕の戦国時代外伝 細川幽斎と僕の戦国大学創設記】
完結




