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第7話 ビッグ出現

オオカミに、一目惚れした。

耳と尻尾が好き。

動物のオオカミさん。

その写真を、ジッと見つめる。

軍からは、こんな小さな資料しか手にはいらない。

自ら、牢獄の外に行って、“愛を告白”したい。

そうすれば、両想いになれる。


『クイーン様』

魔物の配下が、集まった。

『牢獄の外に行くのですキャ?』

クイーンは、行くつもりだ。

『我々、魔物は、この牢獄から外へ出られないですキャ』

牢獄…。

いまいましい、軍が、魔物を閉じ込めた。

魔物である、我々を。

我々は、軍の脅威である。

『暴れるキャオ』

クイーンは、言った。

この牢獄を抜け出して、外に出て行く。

動物のオオカミさんに、告白する。

にやにや。

クイーンは、口元で笑う。


第7話 ビッグ出現


イーストエリア。

イースト大森林公園。

森の中。


獣軍人・フィナンシェに、新しい任務がまかされた。

大きなベヒーモスの討伐。

討伐。

すぐ、倒せという指令だ。

「ここで、大きなベヒーモスが発見されました」

軍人は、休憩小屋を指差す。

イースト大森林公園の遊歩道の途中の小屋。

ウォーキングなどをする市民のための、休憩場所だ。

「そうか。大きさは、2メートルか?」

「目測で、2メートルは超えていたとのことです」

「わかった」

仮面軍人セシールは、フィナンシェに目をやる。

「少年。大きなベヒーモスは、ここに出たようだ」

「大きなベヒーモスか…」

フィナンシェは、少し震える。

恐怖心がある。

耳と尻尾も、震えている。

2メートルを超える、大きなベヒーモス。

今まで戦ったベヒーモスは、30センチメートルくらいの小型だった。

30センチ定規くらいだ。

小学生より小さい。

2メートルは、男のフィナンシェより大きい。

成人の平均身長より上だ。

怖い。

漠然と、そう思う。

警戒を続けて、数十分後。


キャーオ…


ベヒーモスの鳴き声がした。


キャーオ…

キャーオ…


鳴き声が、何度も聞こえる。

「出たか!複数か!」

レーザー銃を構えるセシール。

「少年。油断するな!」

「は、はい」

フィナンシェも身構える。


『動物のオオカミ、お前カア…?』


声がした。

その方向に、大きなベヒーモスがいた。

足元には、従来の小型ベヒーモスを数匹引き連れている。

「え…?喋ってる…?」

フィナンシェは、思考が止まった。

ベヒーモスは、喋るのか?

人間の言葉を?


『お前、クイーンの元に連れてくカア…』

どしっ…。どしっ…。

ゆっくり、大きなベヒーモスは、近づいてくる。


「少年。どうする…」

「セシールさん。ベヒーモスは、喋るんですか?」

「知らぬ。…少年。戦えるか?」

「は、はい…」

フィナンシェの見つめる先で、大きなベヒーモスは、視線を合わせてくる。

「一撃でっ…!」

勇気をふりしぼったフィナンシェは、駆け出して、右手でなぐりかかる。

『止まって見えるカア…』

大きなベヒーモスは、ジャンプして、これを避ける。

大型とは、思えないジャンプ力だ。

「わわっ…」

攻撃を不発したフィナンシェは、そのまま、うつぶせに倒れてしまう。


『お前、クイーンのオオカミだカア…』

がしっ…。

大きなベヒーモスは、フィナンシェをかつぎ上げる。

「…うわああっ」

慌てて悲鳴をあげるフィナンシェ。

「…少年!」

セシールの声もむなしく。

大きなベヒーモスは、フィナンシェをかついだまま、逃走して行った。

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