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第5話 森で戦う男たち

「フィナンシェさんに、神のご加護を」

オリビエに見送られて、深緑色のジープに乗る。


「初任務だな」

仮面軍人セシールは、表情がわからないが、意気揚々と話しかけてくる。

「あ、ああ。そうだね…」

迷彩柄の軍服のフィナンシェ。

二人は、ジープの後ろの席に並んで座っていた。

ジープに乗るなんて、はじめてのこと。

ジープは、軍人の運転で動く車だ。

増援部隊の物資輸送の護衛。

フィナンシェは、それを実行することになった。

初任務だ。

「強く言われたら、断れないじゃないか…」

「どうした?」

「いや…、いいよ」

フィナンシェは、自覚もしている気の弱さを発揮して、初任務を二つ返事で了解した。

あの後、女性長官に、直に指令を受けて断れなかった。

強気な女性の押しに弱い。

それが、フィナンシェの弱点だ。

お菓子屋の娘・マドレーヌからの告白で、恋人同士になったくらいだ。

そういえば、マドレーヌは、どうしているだろう。

心配してくれているだろうか。

突然、消息を絶った、この僕を…。

「セシールさん。今、市民はどうしていますか?」

「このイースト大森林公園の外では、様々な憶測が飛び交っているらしい」

イーストエリアの市民に、未知なる怪物、ベヒーモスのことは秘密になっている。

軍が、手を焼く怪物がいる…。

そんな情報が流れたら、市民は、大混乱となることだろう。

「市民に危害が及ばないように戦うのが、軍人の役目だ」


第5話 森で戦う男たち


イースト大森林公園。

広大なる森の公園。


森の中。

輸送部隊の通り道に、紫色の怪物が確認された。

軍人たちは、戦っていた。

相手は、ベヒーモス。

木々に次々と移る敏捷性。

小型ながらも、圧倒的な威圧感。

レーザースコープで、照準を合わせようとするが、上手くいかない。

その場にいる軍人たちは、男たちは、注意深く辺りを見回す。

怪物は、一匹。

なのに、男たちは、振り回される。

怪物は、小さい。

30センチ程の標的。

見失わないように、目で追う。

「獣軍人が到着した」

報告を受けても、尚、男たちは油断しない。


「ベヒーモスが、いるのか…」

ジープを降りた。フィナンシェは木々を見上げる。

不吉な気配がする。

「少年。いつでも戦う心の準備をしよう」

その隣で、セシールがレーザー銃を構える。


キャーオ…


独特の鳴き声が響く。

ベヒーモスだ。

近くにいる。

「今までは、姿のみ確認。木々の上です」

軍人が、セシールに報告する。

「了解した。…少年。聞いての通りだ。ベヒーモスは、木々の上にいるぞ」

「あ、…はい」

次の瞬間、木々の上から、セシールの足元に、ベヒーモスが降りてきた。

「…セシールさん!」

「うぬ…!」

レーザー銃を撃つ。

しかし、素早くかわされる。

ベヒーモスは、再び、木の上に飛び移った。

そのまま、静かになる。

気配は、する感じだ。

次は、どう来る?


「ぐわああ…!」


少し離れた方向から、悲鳴がする。

「大丈夫か…!」

フィナンシェは、思わず走る。

身体が軽く動く。

頭の耳が、場所をとらえる。

一人の軍人が、ベヒーモスにしがみつかれている。

「助ける…!」

フィナンシェは右の拳で、怪物にアッパーをしかける。


ドゴーーーーンッ…


ベヒーモスは、比較的大きな大木にまで、吹っ飛ぶ。

そのまま、溶けて消える。

「ナイスファイトだ。少年!」

セシールは、ガッツポーズをした。

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