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第4話 獣軍人になる

「フィナンシェ・サザン。獣軍人に任命する」

短髪の女性長官が、声高く宣言する。

すぐさま、迷彩色の軍服が支給される。

それに、着替えて、これからの軍事行動に参加するようにと言われる。

軍事行動は、未知なるモンスターの対処のみ。

未知なるモンスターは、研究チームにより名称がつけられた。


“ベヒーモス”。


空想上の怪物の名前だ。

これ以降は、紫色のモンスターを、ベヒーモスと呼称する。

それが、定められた。


「あ、あの…」

「獣軍人、これからの活躍を期待する。以上!」

作戦指令室から、軍人たちが解散する。


第4話 獣軍人になる


「はあ…」

フィナンシェは、休憩室にいた。

ため息をついている。

座席には、手渡された迷彩柄の軍服。

何で、こんなものを…?

着るのか…?

軍服?

わからない。


「少年。同じ迷彩柄の軍服だな。これから、よろしくな」

謎の仮面軍人、セシール。

迷彩柄の軍服を着ている。

彼は、すでに軍人なのである。

「僕は、平民だ。軍人じゃないよ」

フィナンシェは、チーズ菓子店のお菓子配達員。

配達の途中で、検問に止まっただけだ。

そこで、紫色のかたまりに左足を噛まれた。

「少年。キミは、獣軍人だ」

「獣…軍人…?」

身体の尻尾がゆれる。

頭の上の耳も動く。

フィナンシェは、獣化している。

軍でも、原因不明。

ただ、軍の医療スタッフが見つけた。


“攻撃力”の特化。


軍は、一撃で、紫色のモンスター=ベヒーモスを倒したフィナンシェを、獣軍人とした。


「ワタシは、少年の指導役を任された。共に、ベヒーモスと戦おう」

「あの紫色の化け物は、また、この施設に現れるんじゃ…」

フィナンシェは、背すじが寒くなる。

怖かった。

一度、左足が痛かったこと。

あれが、すごく痛かったこと。

「痛いのは、嫌だよ…」

フィナンシェは、ふさぎ込む。

「基地へは、増援部隊が大量投入されている。もう、この基地内に侵入することはない。安心しろ」

「…そうなのかい?」

「そうだ。それに、少年は、ベヒーモスを一撃で倒す力を持っているではないか」

「…」

「とにかく、この軍服に着替えてくれ。キミの最初の任務は、増援部隊の物資輸送の護衛だ」

「…」


フィナンシェは、軍服に手をかける。

「やはり、やってくれるか。少年」

「…僕は、獣人になった自覚はあるから」

耳と尻尾が、反応して動く。

やればいいんだろ。

少し、投げやりに考えた。


「フィナンシェさん…」

休憩室に、オリビエがやって来た。

「初任務の件を聞きました。もしも、お怪我をしても、私が治せますから、安心してください」

「え…?治せる…?」

オリビエは、自分に治癒能力があると言う。

幼い時に、目覚めた超能力“ヒーリング”が使えるらしい。

「それで、僕の左足を治してくれたのかい?」

「はい…。獣化は、治癒できませんでしたが…」

ヒーリングの治癒力を買われて、オリビエは、軍直属のシスターに所属している。

これから、軍人となるフィナンシェに、自分の能力のことを、きちんと伝えておきたかったのだ。

「キミは、すごい女の娘なんだね…」

フィナンシェは、素直に褒める。

「はい…」

オリビエは、笑顔になる。


「獣軍人。初任務だ。早く出るぞ」

軍人たちが、フィナンシェを迎えに来た。

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