13 家庭教師と相対する
…お久しぶりです。
中々時間が取れず更新お待たせしました(*・ω・)*_ _)ペコリ
1話から4話まで少し改稿しました。(2021/07/23)
あの事件から一週間が経った。
犯人達は当初、見張り役を務めていた者達以外行方知れずになっていた。しかし事件から三日ほどが経った頃、駐屯所の前に縛り上げられた状態で放置されいるのが発見された。
犯人達は発見されるまでどこに居たか、何をしていたかなどは語らずに自分達の罪を自白したそうだ。
こうして一連の事件は幕を閉じたのだった。
※
私は起きると自分の姿を鏡で再確認する。その姿は幼少期の魔王そのものだった。
流石に寝ている時まで魔法を使うのはかなりの負担になるため出掛ける時や来客があるときのみ、姿を変えているのだ。
(これは昔の私知ってるヤツなら絶対気付くな……)
今の私は大人姿の魔王をそのまま小さくしたような容姿をしている。色はもちろん紫黒だし、顔立ちも似通ったところが多くある。
実は魔王時代に一度だけ子どもの姿になったことがあった。詳しい話は省くが、そのときに多くの人にその姿を見られている。そのため、もし記録などに残っていた場合、怪しまれる可能性があるのだ。……実際、ノーリや子どもたちにはバレたわけだし。
私は一つ頷くと前に掛けた魔法を少し変えて、掛けなおしてから部屋を出た。
食堂では両親達がすでに食事の準備が整ったテーブルに座って待っていた。両親だけでなく使用人達も私の姿を見て「おや?」と呟くと不思議そうにこちらを見遣った。そんなみんなを代表して母さんが私に声をかける。
「あら、前と同じ魔法を掛けたの?」
「ううん、この前とは少し術式を変えたの。……変じゃないかな?」
そう、私の今の髪色と瞳の色は茶色なのだ。
前回のお出かけの際に掛けた魔法は他の幻惑系の魔法を掛けると解除されてしまう。その場合、騒ぎになってしまう可能性を考えて少し術式を変えたのだ。
今かけている魔法は魔力を多く必要とするものの、専用の解除魔法を使わなければ解除出来ない仕様になっている。これで急に魔法が解けるという事故も防げるだろう。
紫黒は珍しい色の組み合わせ、というよりかは魔王のみが持つ色とされている。
黒とは真に黒きものが纏うことを許された色と言われており、紫は魔を代表とする色と言われる。
魔族は成長や力の強さ、属性で色が変わり、子どもの時はその両親の色をもつことが多い。そして両親の色に黒も紫も混ざっていない。つまり私がそんな色を纏っていたら流石に怪しまれるので対策をした、というわけだ。
その後朝食の時にこれからどうするかについての説明をされていた。今世界は平和だがいつ争いが起きても問題ないように、次世代の育成に力をいれているらしい。
そのため、六歳になると魔法や学問を学ぶための学園に入学する義務がある。
これはいわゆる小学校のようなものだ。国営のためどんな身分の者でも通うことができ、将来働くためにも必要な基本的なことを学ぶ。
初等部・中等部・高等部に分かれている。初等部は六歳から十二歳、中等部は十二歳から十五歳、高等部は十五歳から十八歳と日本の学校制度を模範している。
そこから上は研究機関があり、研究者になる場合はこちらに進むことも出来る。
しかし中等部を卒業するのもなかなかに難しいので庶民は小等部のみで社会に出る場合が多い。そして見習いとして仕事を学び、必要な技術をつけていく。
中等部から上は大商人や貴族が通うことが多い。ここでは統治学などの国で働くための知識を学ぶ。庶民にはあまり関係のない学問のため、進学を希望する者も当時は少なかった。
高等部は軍人や文官になる者が通う。ここからは軍人コースと文官コースに分かれて授業を受ける。高等部まで通うのはほぼ貴族のみなどで、今の私には関係ないだろう。……だよね?
また文字の書き取りや計算などは初等部で学ぶもので十分事足りるため、中等部以上は顔つなぎの意味を含まれる。
この学園は国の政策だったため私自ら創設に関わっている。そのとき定めた教育方針が
『長所を伸ばし、短所を知れ。己の唯一で以て、他者を助けよ。不可能は告げ助け、を求めよ。さすれば物事は進むだろう――』
という言葉で子ども達の教育に反映させていた。……今はどうかは知らないが。
この言葉は私の実体験を元に残した言葉だ。私は人の何倍も強い。
だが後方支援や武器の整備はともかく、人の前に立つことは苦手……というより、恐怖だ。私は人に頼らないと魔王として在位することは出来なかった。それは魔王だけでなく他の人も然りだ。万能者など存在しない。
だから出来ることで支え合うしかないのだ。そんな私の考えを教育方針とした学園に、自らが通うことになるとは夢にも思わなかった。そして今私が創立当時の私に言いたいことがある。それは──、
「制服もっと地味なのも用意しとけ……っ!!」
というものだった。
……当時の私は学校嫌いだったため、自分がその制服を着る可能性に考えていなかった。そのため完全に私の趣味で、女子の制服をドレス風の激かわ系にしてしまったのだ……。
自分は着ないから良いや、とか思ってた当時の私殴らせろ。フリルやリボンを多用した制服は私にはハードルが高すぎる。多少は選べるものの、基本がワンピースな時点で恥ずか死ぬ。
が、しかし。私はリア充を目指すのだ。ここでフリルに怖じ気ついてはいられない。標準的な物を選ぶとここに宣言しよう!! ……誰にも聞かれちゃいないけど。
それより今は学園の話の後に話された今日の予定についてだ。今日から家庭教師が来るそうだ。学園に入学するための基礎知識や魔法教養、その他諸々を教えてくれる人らしい。
今の私は魔力や筋力、一般常識が不足している。魔力・筋力は鍛えればなんとかなるが、常識は誰かに教えてもらう必要がある。
流石に昔のままという訳ではあるまいし、今の情報は必須なのだ。私は魔王と気づかれたくないのだ。日本で充実したオタクライフをしていた時に読んだラノベの主人公じゃあるまいし、そんな気づかれるようなヘマなんてしないように用心するに越したことはないのだ。
私は朝二人から言われた内容を思い出しながら準備を進める。教師は女性で年齢は十八歳。私の従姉妹に当たる人で性格は温厚、今は高等部で勉強する傍らで教えてくれるらしい。その人には私が魔王であることを話していないため、バレないように注意が必要だ。今日は午後から顔合わせのだ。今のうちに魔力を抑える練習でもしておこう。
※
そうして向かえた午後。
私は部屋着からシンプルなワンピースへ着替え、先生となる人を待った。
十分後──。玄関のベルが鳴り、話し声がこちらに近付いて来ると椅子から立ち上がり、出迎える準備をする。挨拶のマナーは母さんから習って鏡に向かって何度も、もとい何度か練習した。緊張はある。吐き気もするが、人は第一印象が大事だ。ヘマするわけにはいかない。第一印象は視覚から五十五パーセント、聴覚から三十八パーセントの情報と言われている。
そして扉の前に慣れた気配と初めての気配を感じ取る。緊張はピークに達しつつも顔に出さないように頑張りながら(いっそ無表情になってやる)、ついに扉が開く。息を吸い笑顔を作ろう――として少しぎこちないものが出来上がった。
「初めまして。私はクラナ家が長女、リーリアでございます。よろしくおねがいいたしますわ」
教わった通りに挨拶をする。入ってきた女性は少し苦笑になりつつも、笑顔で挨拶を返してくれた。
「こちらこそ初めまして。私はローベリと申します。よろしくお願いしますね、リーリアさん」
彼女──ローベリはそういうと優しく言葉を返してきた。私も笑顔を絶やさないように頑張りながら奥へと案内する。
ここは私の私室とは別で用意された部屋であり、私専用の客間だ。部屋のレイアウトは好きに変えて良いと許可を貰っているので今はローテーブルとソファ、調度品があるのみだ。
ここまで案内を勤めた執事と私の部屋付きメイドがお茶の準備を終え退出すると、彼女は話し始めた。
「ではまずはおしゃべりをしましょうか」
「おしゃべり、ですか?」
私が頭にはてなマークを浮かべているのが分かったのか、説明を補足してくれる。
「はい。まずは自己紹介の続きからしましょうか。相手のことも分からず教えるより、好きなものや嫌いなもの、特技や苦手なことを知っているほうが教えやすいのよ」
「なるほど……。分かりました。では私からしますね」
それから私達は授業と称したお茶会をした。話していくうちにぎこちない笑顔は剥がれ、本当の意味で笑えるようになった。話の内容は自分の好きなものシリーズから洋服の話題や食べ物、さらには魔法に至るまでいろんな話をした。
そうして初の授業は幕を下ろしたのだった。
お読み下さりありがとうございます!(´▽`)
残りも順次改稿します




