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12 コミュ障な魔王の過去語り

遅刻(* ̄□ ̄*;

ごめんなさい(*_ _)

 いつか話さなければいけないだろう――そういう予感はしていた。ただ生後半年で疑われるとは思っていなかった……。

 そもそもこんなに治安悪いなんて思ってなかったし、身近に誘拐犯いるなんて想定外だし、被害者いるなら放っておけないし、しかもあの魔法使われているなんて嫌な予感しかしないし……。転生早々波瀾万丈な雰囲気しか無いってどういうことだ……?

 私は平穏を愛しているというのにっ!! なぜ平穏は私を愛してくれないのっ!?


 そんな風に現実逃避をしていたが、そろそろ真面目にこれから話す内容を考えなければならない。

 なぜなら二人には私の過去について話すために、今日の夕食後に時間をとって貰っているのだ。あんな風に言われてしまったら私も覚悟すべきだろう――私の過去について話すことを。


 私は話しても問題ない内容と、まだ非確定で話すべきでは無い内容を分けていく。

 そしてまだ話せない内容も、ある。


(『一人で抱え込まないで』とは言われたけど二人を無駄に心配させるべきでは無いだろうし……。何よりまだ憶測の域をでないことを口に出すべきじゃない)


 私は人に頼るのが得意で無いらしい。らしいと言うのは魔王時代に周りからそのように言われていたからだ。

 私の仲間達にかつて「苦手なことでも自分一人で解決しようとし抱え込んでいる」と言われたことがあったのだ。

 そのとき言われてもあまり実感は無かったが、転生しても変わらなかったらしい。どうしても人に頼る前に自分だけで解決出来るようにプランを練ってしまう。


 ――実は前前世(最初の人生)でも「お前は人に頼れよ」とよく言われていた。でもいざ頼もうとする時、どうしても考えてしまう。


「本当に頼っても大丈夫なのかな、今実は忙しくて断られたらどうしよう、それで嫌われたらどうしよう」って。


 これは私にとって一種のトラウマなんだと思う。あの事(・・・)を自分でもまだ引きずっていると思うとバカらしいなとは思うけど変われなかった。

 前世の時は魔王という役を演じ、本来の自分に仮面をつけて皆に接した。本当の自分(・・・・・)を知られるのを恐れ、偽りの自分を演じて好かれようとした。

 でも自分を偽るのにも限界が来てしまった。いくら好かれようともそれは本来の私自身ではなく、『魔王としての私』に対してだ。


 皆と過ごした時間は紛れもなく本物と言える。だから余計に私だけ本来の自分を偽って接することに嫌気が差した。そして最大の敵を封印して治世が磐石なものになった後、本当の私として生きていけるように転生することにしたのだ。


(でもこんなカッコ悪い話出来れば誰にも聞かせたくないなあ……)



 そんなこんなでとうとう話し合いの時間が来てしまった。私は話す内容を未だに決めかねていた。


 私は両親に向かい合うように座ると最高難度の防音魔法と結界魔法を部屋全体に幾重に掛けた。その様子を見て両親は息を呑むと姿勢を正していつでも良いと言うように私の眼を見た。


 その様子を見て私も覚悟を決めて口を開いた。

 ここまで来て何も言わないなんてそれこそ不誠実だ。


「ごめんなさい父さん、母さん。今まで話せてなくて。私は――かつて魔王と呼ばれたミナ=ダグリアの転生体なの」


 流石に両親も驚いたようで目を見開くと少しだけ震えた声で言葉を紡ぐ。


「……リアが、魔王様?」


 私はひとつ頷くと更に続ける。


「私は魔王として様々な事を成し遂げたんだよ。でもそのせいで私には友達って呼べる人が殆どいなかった……。だから転生して新しく普通の人生を歩もうとした。そこに魔王であった過去は必要ないって考えてた。それと魔王と知られて普通の家庭じゃなくなったら嫌だった。だから二人にも話さなかったの。ごめんなさい……」


 私がそう締め括ると二人はしばらくの沈黙の後、それぞれ口を開いた。

 私は少し怖くて俯いていたため、その時の二人の顔を見れずにいた。


「……正直、リアが魔王様の転生体って聞いて驚いたわ。けどねリア? さっきも言った通り今のあなたは紛れもなく私達の子どもよ。それはあなたの過去が魔王様だったとしても変わらない。だからどんなことがあってもリアが正しい道を進んでいる限り、私たちはリアの味方。そしてもし貴女が道を踏み外そうとしたら全力で止める。それが親ってものでしょう?」


 その言葉を聞いて私は思わず顔を上げた。

 すると母さんが同意を求めるように父さんの方に向いた。

 父さんも母さんに同意を示すように「ああ」と頷いてから話し始める。


「母さんの言う通りだ。どんなことがあっても僕たちはリアの親だよ」


 二人ならそう言ってくれるんじゃないか――そうは思っていても、実際にその言葉を聞いて安堵している自分がいて。

 私は自分が魔王と知った二人に今と接し方を変えられるのを恐れていた。だから隠して、騙していた。私は二人に向かって微笑むと、


「……うん、ありがとう」


と泣きそうになりながらなんとか笑顔で言った。

 多分その笑顔は今までの中で一番みっとも無かったと思う。けど二人も目尻に少し涙を溜めていたからお互い様だろう。


 だけどごめんなさい。

 私は多分、二人を泣かせることになる。なぜなら私にはまだ、話せない秘密があるのだ。その秘密は世界を巻き込んでしまう。だからそれだけは誰にも話せない。

 私は心の中で謝りながら二人に笑いかけた。



 その後、使用人の皆にも二人に話したことを説明した。

 このとき彼らの願いで誓約魔法を施した。この魔法は誓う。

 彼らは『話せないようにしとかないと不安なのです……!』と言って聞かなかったのだ。

 この時私は魔王だったことを証明するために間接型魔法(インタイレッド)の攻撃複合魔法をブッパして、庭に大穴を開けて二人にこっぴどく怒られたのだった。


 流石にここまで破壊する気は無かったんだ……。ごめんなさい。


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