診察の日。
翌週の月曜日。
朝から、ずっと落ち着かなかった。
今日は夏希先生の診察がある。
澪ちゃんのことを聞ける。
そう思うと、診察の時間が待ち遠しかった。
「結香ちゃん、どうぞ。」
名前を呼ばれ、私は診察室に入った。
いつものように、最近の体調について話し、いくつかの診察を受ける。
そして、一通り終わったところで、私は先生に声をかけた。
「あの、夏希先生。」
「ん?どうしたの?」
「澪ちゃんのことなんですけど……。」
先生の手が、少し止まった。
「澪ちゃん?」
「はい。最近、食堂に来なくなっちゃって。もう一週間以上会えてないんです。」
少し間を置いて、私は続けた。
「先生、何か知ってますか?」
夏希先生は、すぐには答えなかった。
「そっか。そんなに会えていないんだね。」
「……はい。」
先生は私の顔を見て、静かに言った。
「ごめんね。患者さんのことだから、私から詳しいことを話すことはできないの。」
「あ……そうですよね。」
わかっていた。
そんなこと、最初からわかっていたはずなのに。
「でも、結香ちゃんが心配していることは、きっと伝わると思うよ。」
「……ありがとうございます。」
診察室を出ると、廊下の窓から夏の日差しが差し込んでいた。
結局、何もわからなかった。
澪ちゃんは今、どうしているんだろう。
元気にしているのかな。
また一緒にお昼を食べられる日は来るのかな。
私は、スマホを握りしめた。
もう一度、あの声が聞きたい。
「結香ちゃん」
そう呼んでくれる、あの声が。




