聞いてみよう。絶対
もう、澪ちゃんが食堂に来なくなって、一週間と3日。
梅雨も明けた。夏が近づいてきた。
澪ちゃんはどうしてるんだろう。
やっぱり、今度の診察の時、聞いてみよう。
今週の診察はもう終わっちゃったから、早くても来週。
もしかしたら、その前に澪ちゃんに会えるかもしれない。それからも、私は毎日お昼になると食堂へ向かった。
もしかしたら、今日はいるかもしれない。
そんな期待を、捨てきれなかった。
けれど、何日経っても澪ちゃんは現れなかった。
いつもの席に座る。
入口を見る。
違う人だった。
また入口を見る。
そんなことを繰り返しているうちに、食事も少しずつ味気なく感じるようになっていた。
澪ちゃんと一緒に食べるお昼が、いつの間にか私の楽しみになっていたんだと思う。
「結香ちゃん、今日も一人?」
看護師さんに声をかけられ、私は小さく頷いた。
「うん。お友達、最近来なくて。」
「そうなの。寂しいね。」
「……うん。」
それ以上、何も言えなかった。
澪ちゃんがいない理由を知らない。
体調が悪いのかもしれないし、検査や治療で忙しいのかもしれない。
考えれば考えるほど、わからないことばかりだった。
午後になると、私は窓の外を眺めた。
梅雨が明けて、空はすっかり夏らしくなっていた。
日差しが強くなり、木々の緑も濃くなっている。
澪ちゃんと一緒に屋上へ行った日を思い出す。
日陰に並んで座って、他愛もない話をした。
あのとき、こんな時間がずっと続けばいいなと思った。
また、一緒に行きたい。
「……澪ちゃん。」
名前を呼んでも、返事はない。
ふと、スマホに目を向けた。
連絡先を交換していれば、今どうしているのか聞けたのに。
そんなことを考えても、今さらどうしようもない。
絶対、来週の診察で、夏希先生に聞いてみよう。
澪ちゃんのことを知っているかもしれない。
それまで待つしかない。
私は窓の外に目を戻した。
夏は、もうすぐそこまで来ている。
澪ちゃんと一緒に、またあの景色を見られたらいいな。
そう思いながら、私は静かに目を閉じた。




